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税理士資格の維持費|毎年かかるコストをわかりやすく解説

税理士資格を取得した後も、その資格を維持していくためには継続的な費用がかかります。
税理士登録を検討している方や、資格の維持費が気になっている税理士にとって、何のためにどの程度の費用が発生するのかを知っておくことは、今後のキャリア設計や資金計画において欠かせません。

本記事では、税理士資格を維持するうえで毎年必ずかかる費用と、必要に応じて発生する費用について、具体的な金額を交えてわかりやすく解説します。

関連記事:「 税理士登録にかかる費用と税理士会の入会金・年会費(全国本会一覧)

目次[非表示]

  1. 1.毎年必ずかかる維持費
    1. 1.1.税理士会の年会費・支部会費
      1. 1.1.1.税理士会(本会)の年会費
      2. 1.1.2.税理士会支部の年会費
      3. 1.1.3.年会費の目安
      4. 1.1.4.研修受講にかかる費用
  2. 2.必要に応じて発生する費用
  3. 3.税理士資格の維持費を正しく把握しよう

毎年必ずかかる維持費

税理士会の年会費・支部会費

税理士資格を維持するためには、税理士会に登録し、会員となることが必要です。これに伴い、毎年の会費が発生します。

税理士会には、各国税局・沖縄国税事務所の管轄区域ごとに設立された全国15の「税理士会」と、その下部組織として税務署の管轄区域ごとに設置されている「支部」とがあります。税理士会員となる際には、税理士事務所や税理士法人の所在地を基準に、その区域に設けられた税理士会と支部の両方に所属する必要があります(※1)。

税理士の資格を維持するための年会費は、税理士会と支部のそれぞれに発生します。

(※1)税理士法第第四十九条の六第一項および第九項(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_6-At_49_6

税理士会(本会)の年会費

税理士会の年会費は72,000円〜96,000円であり、税理士会によって異なります。
北陸税理士会は96,000円、名古屋税理士会・四国税理士会・九州北部税理士会は72,000円です。東京税理士会では81,000円となります。詳しくは下表を参照してください。

税理士会名

区域

年会費(本会)

年会費(支部)

東京税理士会

東京都

81,000円

支部によって異なります















東京地方税理士会

神奈川県、山梨県

84,000円

千葉県税理士会

千葉県

84,000円

関東信越税理士会

茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、長野県

75,600円

近畿税理士会

大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県

82,800円

北海道税理士会

北海道

95,000円

東北税理士会

宮城県、岩手県、福島県、秋田県、青森県、山形県

88,000円

名古屋税理士会

愛知県(名古屋市、他)及び岐阜県

72,000円

東海税理士会

愛知県(名古屋税理士会の区域を除く)、静岡県、三重県

84,000円

北陸税理士会

石川県、福井県、富山県

96,000円

中国税理士会

広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県

82,800円

四国税理士会

香川県、愛媛県、徳島県、高知県

72,000円

九州北部税理士会

福岡県、佐賀県、長崎県

72,000円

南九州税理士会

熊本県、大分県、鹿児島県、宮崎県

84,000円

沖縄税理士会

沖縄県

93,000円


参考:日本税理士会連合会:登録の流れ・手数料(令和7年6月現在)
https://www.nichizeiren.or.jp/prospects/entry/howto/

※ 上記は執筆時点の情報です。最新の情報は、各税理士会や支部のホームページでご確認ください。

税理士会支部の年会費

税理士会支部の年会費も、支部ごとに異なります。
詳細は問い合わせる必要がありますが、参考として、東京都税理士会の各支部の年会費は36,000円〜60,000円(※2)、近畿税理士会の各支部の年会費は、最大で36,000円程度(※3)とされています。

(※2)東京税理士会|東京税理士会に税理士登録申請書を提出する方へのご案内(PDF 5/17)2ページ目
https://www.tokyozeirishikai.or.jp/upload/pdf/touroku_20250401.pdf

(※3)近畿税理士会|税理士登録申請の手引き(PDF 15/49)14ページ目
https://www.kinzei.or.jp/sites/default/files/document/tebiki.pdf

年会費の目安

税理士資格を維持するにあたり、税理士会および支部に支払う年会費の合計は、年間で10万円〜15万円程度が目安となります。この金額が、税理士資格を維持するために最低限負担しなければならない費用です。

研修受講にかかる費用

税理士には、年間36時間以上の研修(いわゆる「36時間研修」)の受講が会則で義務付けられています。罰則はないものの、高度な識見や倫理観を維持するための制度であり、受講状況は日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で公開されています。信頼性を保つためにも、計画的な受講が求められます。

36時間研修に該当するのは、以下の3種類です。

  • 日本税理士会連合会、各税理士会や支部が実施する研修
  • 税理士会が事前に認定した「認定研修」
  • 会員の事後申請により認められた「その他の研修」

このうち、税理士会等が実施する研修は多くが無料または低額です。一方、「認定研修」や「その他の研修」は民間企業などが主催し、基本的に有料で、3時間相当で6,000〜8,000円程度が目安です。

無料の研修を活用すれば費用を抑えられますが、希望のテーマがない場合もあります。その際は、関心の低い無料研修に時間を費やすより、有料でも実務に役立つものを選ぶ方が効果的です。こうした点を踏まえ、年間の研修費用として2〜3万円程度を見込んでおくと安心です。

必要に応じて発生する費用

最後に、必須ではありませんが、税理士として稼働するにあたって発生する可能性のある費用をご紹介します。

・会報・定期刊行物の購読費

税法改正などの最新情報を把握するために、会報や専門誌を購読することがあります。年間費用は数千円〜数万円ほどで、内容の専門性によって価格に差があります。開業税理士は個人負担が基本ですが、所属税理士であれば事務所の購読物を利用できる場合もあります。

・専門書の購入費・セミナー受講料

税務以外にも経営や法務などの知識が求められる場面があり、必要に応じて専門書を購入したり、セミナーに参加したりすることがあります。これらは36時間研修の対象外となることもあるため、特に開業税理士は自己負担分として一定の予算を見込んでおくと安心です。

・税理士登録の変更手数料

登録区分や事務所所在地、氏名などの変更には2,500円の手数料がかかります。変更に伴い税理士証票の書き換えが必要な場合は、追加で2,500円、合計5,000円が必要です。発生頻度は多くありませんが、節目のタイミングで生じることがあります。

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・税理士証票の書き換え・定期交換・再発行費用

証票の書き換えや10年ごとの定期交換にはそれぞれ2,500円がかかります。紛失・破損時の再発行には6,000円が必要です。頻度は少ないものの、税理士資格を維持するうえで想定しておきたい費用のひとつです。

関連記事:「 税理士証票とは?有効期限や更新の手続きも解説

税理士資格の維持費を正しく把握しよう

税理士資格を維持するには、税理士会および支部への年会費として、毎年10万円〜15万円が発生します。
これに加えて、毎年の研修受講費用として、2万円〜3万円程度を見込んでおくと安心です。さらに、登録内容の変更や証票の再発行、専門書・セミナー費用など、状況に応じて発生する費用もあります。
特に開業税理士はすべて自己負担となるため、年間を通じた資金計画が重要です。安心して税理士として活動を続けるために、必要なコストを正しく把握し、備えておきましょう。

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