
税理士が顧問先と初回面談する時の進め方と面談後のフォロー方法
税理士として開業後、顧問先を獲得するためには「初回面談」の質が重要です。初めて顔を合わせるこの機会で、相手に安心感や信頼感を与えられるかどうかが、その後の顧問契約の成否を左右します。しかし、初回面談に不安を感じる方や、どのように話を進めればよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、開業税理士が顧問先候補と初回面談を行う際の進め方と、面談後に信頼関係を深めるためのフォロー方法について、実践的なポイントを解説します。
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目次[非表示]
- 0.1.初回面談の進め方
- 0.1.1.アイスブレイク(5分)
- 0.1.2.ヒアリング(40分)
- 0.1.3.提案(5分)
- 0.1.4.クロージング・質疑応答(10分)
- 0.2.初回面談後のフォロー
- 0.3.初回面談を成功させて顧問先獲得につなげよう
初回面談の進め方
初回面談では、限られた時間の中で相手の課題を把握し、適切な提案につなげなければなりません。そのため、面談の進行とその時間配分は、面談を有意義なものにする上で欠かせない要素となります。
ここでは、60分間の面談を想定し、理想的な進行の流れをご紹介します。
アイスブレイク(5分)
初回面談の相手は、少なからず緊張しています。できるだけ早い段階で話しやすい空気をつくるために、面談の冒頭で、軽いアイスブレイクを取り入れることが理想です。
【アイスブレイクの例】
・天気に関する話題
例:「来週から一段と暑くなるそうですね」
・相手を褒める話題
例:「素敵なホームページ、拝見しました」「明るいオフィスですね」
・相手の業界や地域に関係するニュース
例:「◯◯がまた値上がりしているそうですね」
ニュースを取り上げる場合は、相手の様子を見ながら、相手が話しやすそうなテーマを選ぶようにしましょう。ただし、政治(税制を除く)や意見が分かれる社会問題などは、初対面では避けたほうが無難です。
ヒアリング(40分)
アイスブレイクで場の空気が和らいだら、本題のヒアリングに入ります。いきなり事務所のサービスについて説明を始めてしまうと、相手から「事務所の紹介を受けただけだったな」という印象で終わってしまいかねません。まずは相手の話にじっくり耳を傾け、「どのような課題を抱えているのか」「税理士に何を期待しているのか」を把握することに集中しましょう。
面談相手によっては、自らスムーズに話してくれる場合もありますが、口の重い方もいます。後者の場合は、税理士側から答えやすい質問をするようにしましょう。「どのようにして当事務所を見つけていただいたのですか」「現在、顧問税理士はいらっしゃいますか」といった質問から、現在抱えている経営上の悩みや税理士への要望を引き出せることもあります。
また、相手が話している間は、その話をただ受け止めるだけでなく、悩みや希望を頭の中で整理しながら、必要に応じて問いかけを加えていきましょう。相手への理解に徹することで、より良い提案につながるはずです。
提案(5分)
ヒアリングを通じて相手の課題や期待が見えてきたら、いよいよ提案に入ります。
提案の際には、相手が特に重要だと感じているポイントや、税理士に期待しているポイントに的を絞り、自分の事務所がどのように役立てるのかを明確に伝えることに意識を集中させましょう。用意した資料をただ読み上げるのではなく、相手が話してくれた課題に対する「応答」として提案することで、より魅力的な税理士に映るはずです。
料金設計などの具体的な情報については、事前に準備した提案資料を活用し、不安や疑問を解消しやすいようにしましょう。
クロージング・質疑応答(10分)
初回面談を通じて「契約したい」と感じた相手であれば、提案に対する相手のリアクションをただ待つのではなく、こちらから積極的に引き出していきましょう。
面談の終盤になっても、相手はまだ何かしらの懸念や不安を抱えていることが多々あります。それらを見過ごさないよう、提案時のやり取りを思い出しながら「◯◯についてはご安心いただけそうでしょうか」など、具体的な問いかけをすることが効果的です。「何かご不明な点はございますか」といった抽象的な確認よりも、具体的な問いかけであるほうが、相手が気になる点を伝えやすくなります。
さらに、「何なりとご質問ください」「少しでも気になる点があればおっしゃってくださいね」といった、話しやすい雰囲気を作る一言を添えることも、面談相手に安心感を与えるポイントになります。
初回面談後のフォロー
顧問契約を検討してもらえることになった場合は、面談の場で得た信頼感を維持するために、面談後のフォローが重要になります。
当日のフォロー
面談が終わった当日、または遅くとも翌日には、お礼のメールを送りましょう。面談の機会をいただいたことへの感謝とともに、「ご不明な点があれば、いつでもお尋ねください」といった一言を添えることで、相手が安心して質問しやすい雰囲気をつくることができます。
また、面談中に時間が足りずに説明しきれなかった点や、相手の関心が高かったテーマについて補足資料を添付することも効果的です。
その後のフォロー
面談から1週間ほど経ったタイミングで、「その後、いかがでしょうか」といった連絡を入れると、相手の記憶を喚起しつつ、次の行動を促すことができます。その際、面談時に伝えていない新しい情報があれば、押しつけがましくならないよう配慮しながら添えると、より効果的なフォローになります。
初回面談を成功させて顧問先獲得につなげよう
本記事では、初回面談の進め方と面談後のフォローについて実践的なポイントを解説しました。
初回面談は、顧問契約の成否を左右する重要な接点です。計画的な進行と丁寧なヒアリングを通じて相手の信頼を得ることができれば、提案の説得力も高まり、良好な関係の土台が築かれます。さらに、面談後のフォローを怠らず、相手の不安や疑問に寄り添う姿勢を示すことで、「この税理士と契約したい」と思ってもらえる可能性が高まるでしょう。
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