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開業税理士が顧問先との初回面談の前にするべき準備とは

税理士として開業後は、自らの手で顧問先を開拓していく必要があります。その中でも、初めての対面となる「初回面談」は、相手に信頼してもらえるかどうかを左右する重要な場面です。この面談で好印象を与え、確実に顧問契約へとつなげるためには、事前の準備が欠かせません。

本記事では、開業税理士が初回面談を通じて顧問契約を獲得するために、面談前にしておくべき準備について説明します。

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目次[非表示]

  1. 1.初回面談とはどんな場か
  2. 2.初回面談に必要な準備
    1. 2.1.顧客についての情報収集
      1. 2.1.1.会社の基本情報
      2. 2.1.2.経営者(面談相手)の経歴や考え方
    2. 2.2.提案資料の作成
    3. 2.3.接続環境の確認(Webの場合)
      1. 2.3.1.基本操作の確認
      2. 2.3.2.通信環境のチェック
      3. 2.3.3.資料共有時の事故防止
  3. 3.入念な準備で初回面談を成功させよう


初回面談とはどんな場か

初回面談は、面談相手である顧問先候補と税理士が、初めて直接対話する機会です。面談の場では、相手が抱えている課題や希望を丁寧にヒアリングし、事務所のサービス内容や料金をわかりやすく提案することが求められます。

ただし、初回面談を「税理士のプレゼンテーションの場」と捉えることは失敗の元といえます。初回面談でもっとも重要なことは、「相手の話を聞くこと」にあるからです。相手の考えや期待に真摯に耳を傾け、相手の目線に立ち、自分が提供できる価値をわかりやすく伝えることができれば、「この税理士なら任せられる」と、信頼を獲得することができるでしょう。

言い換えれば、開業税理士の初回面談に、プロのセミナー講師のような話術や営業職の経験などは必要ありません。相手との信頼関係を築くことができれば、初回面談は十分に成功と言えるのです。

初回面談に必要な準備

初回面談では、限られた時間で相手の背景や期待を理解し、それを踏まえた提案を行う必要があります。
ここでは、初回面談を有意義なものにするために必要な準備を解説します。

顧客についての情報収集

初回面談の相手の社名や氏名が判明している場合は、事前に分かる範囲で相手の情報を収集しておきましょう。相手の状況を知り、抱えていそうな課題をあらかじめ想定しておくことで、面談がスムーズに進み、相手に安心感を与えることができます。特に、以下のような点について情報収集しておくと、面談に活かしやすくなります。

会社の基本情報

面談相手の会社について、業種や所在地、創業から現在までの沿革、提供している商品やサービス、事業規模(資本金や従業員数、グループ会社の有無)といった基本情報をあらかじめ確認しておきましょう。これらは会社ホームページの「会社概要」や「About Us」ページなどから取得できることがあります。

収集した情報をもとに、企業のフェーズ(創業間もないのか、成長期にあるのか、など)や経営者の年齢などの現状を読み取り、面談時の提案に活かします。

経営者(面談相手)の経歴や考え方

会社のホームページに掲載されている「代表者挨拶」「経営理念・ミッション・バリュー」などから、面談相手の経歴やどのような考え方を大切にしているのかを事前に把握できる場合があります。また、面談相手が創業者なのか後継者なのか、後継者であれば親族承継か第三者承継かといった点も、経営スタンスや相談の背景を読み取るうえで有益な情報といえるでしょう。

さらに、面談相手の名前でインターネット検索を行い、SNSや業界メディアでのインタビュー記事などを確認しておくと、その人柄や、最近どのようなテーマに関心を持っているかなどを把握できることがあります。

提案資料の作成

初回面談に備えて、事務所のサービスや魅力を伝えるための提案資料を作成しておきましょう。必須ではありませんが、資料を作成する過程で自分の提案内容を整理できるため、可能な限り準備しておくことが望ましいです。

ただし、面談中に資料の内容を一から順を追って説明してしまうと、面談相手に「一方的な事務所紹介」と感じさせてしまうおそれがあります。そのため、作成した提案資料は、まず相手の話をしっかりと聞いたうえで、必要に応じて補足的に使うようにしましょう。

資料の内容は、面談相手の状況に応じてカスタマイズして構いません。一般的には、事務所の特徴や強み、サービス内容とその料金体系、顧問契約後のサポート体制といった内容を盛り込んでおくと、相手はその事務所について理解しやすくなります。

また、初回面談の段階では、他の税理士と比較検討されていることもあります。特にサービス内容とその料金体系については比較されることを前提に、相手に不安や疑問点を残さない、わかりやすい資料にすることを心掛けましょう。

接続環境の確認(Webの場合)

相手が対面での面談を特に希望していなければ、初回面談の方法が、ZoomやGoogle Meetなどを活用したオンライン面談となることもあります。

オンライン面談では、通信環境やツールの操作スキル、映像・音声の品質といった要素が、そのまま税理士への信頼感につながります。税理士の本質とは異なる部分で「この税理士で本当に大丈夫か?」という印象を与えてしまう場合があるため、面談前に以下の点をしっかり確認しておきましょう。

基本操作の確認

日頃あまりWeb面談に慣れていない場合は、使用するツールの基本操作を事前に確認しておきましょう。資料を提示する際の「画面共有」、対話中の「ミュート・アンミュート」、チャットの使用など、面談中に操作で戸惑うことがないよう、ひと通り練習しておくことが大切です。

通信環境のチェック

通信環境は、面談の質に大きな影響を与えます。特に、周囲の雑音が入らないか、映像や音声が途切れないかを確認しておきましょう。

雑音対策としては、会議室や応接スペースなど、静かな環境で面談を行うことが効果的です。マイク付きイヤホンを使うことで、音質の安定やノイズ・ハウリングを防ぐことができます。通信が不安定な場合は、ルーターの接続状況を確認し、必要に応じてデバイスの再起動や有線接続などを検討しましょう。

資料共有時の事故防止

Web面談中の画面共有では、意図せず別のファイルや他の顧客の情報を共有してしまうリスクがあります。共有された顧客に迷惑がかかるだけでなく、そのような税理士と契約したいとは誰も思わないため、面談中に絶対に起こしてはならないミスです。面談前に不要なウインドウやアプリケーションはすべて閉じ、デスクトップの整理を徹底しておきましょう。

入念な準備で初回面談を成功させよう

本記事では、開業税理士が顧問先との初回面談の前にしておくべき準備について解説しました。

初回面談は、単なる業務説明の場ではなく、相手との信頼関係を築く第一歩です。事前準備を丁寧に行い、相手の立場に寄り添った対話を心がけることで、「この税理士なら安心して任せられる」と感じてもらえるでしょう。

初回面談当日の進め方や面談後のフォローについては「税理士が顧問先と初回面談する際の進行例と面談後のフォロー」もご覧ください。

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