開業時に必要な税理士登録の変更手続きとは

開業時に必要な税理士登録の変更手続きとは

すでに税理士登録を行っている社員税理士や所属税理士が独立開業する場合、改めて税理士登録をするのではなく、開業税理士の区分に変更する手続きを行います。

一般的には、税理士登録をして個人の会計事務所に勤めて税理士業務を行う所属税理士が自身の個人事務所を立ち上げる場合や、税理士法人の社員税理士である税理士が退社して自身の個人事務所を立ち上げる場合に行う手続きとなります。

(注)この記事では、代表的な例として東京税理士会で変更手続きをする場合の手続きを説明しています。実際に変更手続きをする際には、所属する税理士会に手続き方法をお問い合わせください。


目次[非表示]

  1. 1.登録区分・事務所等の所在地の変更手続き
    1. 1.1.必要書類
    2. 1.2.手数料
    3. 1.3.必要書類の調達方法
    4. 1.4.申請方法
    5. 1.5.申請先
    6. 1.6.変更手続きの流れ
    7. 1.7.提出する時期
  2. 2.登録区分・事務所等の所在地を変更する時の注意事項
    1. 2.1.税理士会の変更を伴う場合
    2. 2.2.日税連の電子証明書の取得について
  3. 3.開業時に必要な税理士登録の変更手続きのまとめ


登録区分・事務所等の所在地の変更手続き

税理士は、社員税理士・所属税理士・開業税理士の区分に応じて、自身が税理士業務を行う事務所の所在地や名称を登録しています。そのため、社員税理士や所属税理士から開業税理士に転身する場合、登録区分に変更が生じることから、遅滞なく変更登録の申請を行わなければなりません(税理士法第18条、第20条 ※1)。

(※1)税理士法 | e-Gov 法令検索
(https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_3-At_18)

具体的には、これから開設しようとする事務所の所在地や事務所名を申請し、開業税理士として書き替えられた新しい税理士証票を交付してもらう必要があります。

必要書類

  • 変更登録申請書
  • 変更登録申請に関する届出書(所属支部で収受印を押してもらったもの)
  • 顔写真(縦3.0㎝×横2.4㎝)1枚(税理士証票に貼付する写真。所属支部が変わる場合は2枚必要)
  • 本人確認のための書類

本人が来会して申請する場合

税理士証票または運転免許証などの提示

代理人が来会して申請する場合

委任状または税理士証票のコピーの提示

郵送による申請する場合

税理士証票のコピーを同封

  • 開設する新事務所に関する下記の書類

自己所有の建物で開業する場合

  • 登記事項証明書(未登記の場合は固定資産税の公課証明書)
  • 税理士事務所設置同意書(または税理士事務所設置に関する誓約書)

親族所有の建物で開業する場合

  • 登記事項証明書(未登記の場合は固定資産税の公課証明書)
  • 税理士事務所設置同意書(共同所有の場合は物件所有者全員の同意が必要。同意が得られない場合は税理士事務所設置に関する誓約書)

自身が賃借している建物で開業する場合

  • 賃貸借契約書の写し(賃貸借の場合)
  • 登記事項証明書(使用貸借の場合)
  • 税理士事務所設置同意書(賃貸借で、賃貸借契約に使用目的として「事務所」と明記されている場合は不要)

他の開業税理士が賃借している事務所を借りる場合

  • 他の税理士と建物オーナーとの賃貸借契約書の写し
  • 自身と他の税理士との賃貸借契約書の写し(転貸借の場合)
  • 税理士事務所設置同意書
  • 業務執行に関する誓約書(他の税理士との間に雇用関係がある場合)
  • 他の税理士からの承諾書(他の税理士との間に雇用関係がある場合)

「税理士事務所設置同意書」とは、建物のオーナー等から税理士事務所を開設することについて同意を得ていることを証明するための書類であり、「住居専用」と明記されている建物など事務所としての使用を想定していない建物で開業する場合に必要となります。この同意書は、賃貸借契約によらない「使用貸借」の場合でも必要になります。

税理士自身が所有する建物であっても、それが居住用マンションであれば、その管理組合などからの同意を得て提出することとなります。ただし、自身が所有する建物について管理組合などの同意が得られなかった場合は、自己責任で開業することを誓約する「税理士事務所設置に関する誓約書」を提出することも認められます。

参考:東京税理士会:登録区分・事務所等所在地の変更の場合(そのほかに必要な書類)
(https://www.tokyozeirishikai.or.jp/tax_accountant/certify/change/document_address/)

手数料

現金5,000円(変更登録手数料2,500円+税理士証票書替手数料2,500円)

必要書類の調達方法

必要書類(変更登録申請書、同意書、誓約書など)は、税理士会のホームページに掲載されています。

申請方法

変更登録の申請は、税理士会の事務局に書類と手数料を本人が直接持参するか、それを代理人に依頼するか(委任状または手続きをする税理士の税理士証票のコピーが必要)、郵送となります。郵送の場合は、手数料を現金で同封するため、現金書留を利用します。通常の書留やレターパックで現金を送ることはできません。

申請先

所属する税理士会事務局に対して行います。

変更手続きの流れ

書類提出(手数料納付)→税理士証票の書き替え(1ヶ月ほど)→新事務所宛てにハガキにて通知→ハガキ、旧証票、印鑑(認印)を税理士会に持参して税理士証票を交替

提出する時期

変更しようとする場合、遅滞なく行います(税理士法第20条)。

なお、開業後に事務所の場所や名称を変更する場合にも同様の手続きが必要になります。

登録区分・事務所等の所在地を変更する時の注意事項

税理士会の変更を伴う場合

開業後の事務所が税理士会の変更を伴う場合は、変更前の税理士会に対して手続きを行います。変更前の税理士会への退会届と、変更後の税理士会への入会届も別途提出する必要があります。

日税連の電子証明書の取得について

社員税理士や所属税理士として電子証明書を取得していた税理士が開業税理士になったとしても、電子証明書を取得し直す必要はありません。なぜなら、電子証明書に格納されている情報は、税理士の氏名と税理士登録番号であり、税理士の登録区分や事務所所在地などの情報がそもそも含まれていないからです。(※2)

(※2)日本税理士連合会:よくある質問と回答(第五世代電子証明書):10.その他【Q3】
(https://www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/auth/fifth_faq/#q03j)

一方で、開業税理士になって初めて電子証明書を申し込む場合は、取得までの期間に注意が必要です。
日本税理士連合会は、事務所の所在地に関する変更申請をした後に電子証明書を申し込みたい場合、送付先に齟齬が生じないよう、新しい税理士証票を受け取ったタイミングで電子証明書の申し込みをするよう呼びかけています。
そうすると、変更申請から新しい税理士証票の受け取りまでに約1ヶ月かかり、さらに電子証明書の送付には通常2~3週間が必要です。
開業してすぐに電子申告をする必要がある税理士は、この期間を考慮し、変更申請の時期を早めるなどの工夫をする必要があります。

開業時に必要な税理士登録の変更手続きのまとめ

すでに税理士登録を行っている社員税理士や所属税理士が独立開業する際に開業税理士の区分へ変更する手続きについて紹介しました。

事務所新設時の書類については事務所とする建物の状況によって提出する書類が変わるので注意が必要です。電子証明書についても新規で発行する場合は一定期間かかりますので、その点も注意が必要です。

本記事では東京税理士会での手続きを代表例として紹介しております。実際に登録変更手続きを行う際は所属の税理士会にお手続き方法の詳細についてご確認ください。

freeeでは税理士が独立開業する上で必要な準備について詳しく紹介している「事務所開業ハンドブック」を提供しております。独立開業を検討中でしたら、ぜひご覧ください。


参考記事:その他の税理士変更手続きについて
「旧姓を使用する際の税理士の変更手続き」
「婚姻等により氏名が変わる際の税理士の変更手続き」
「自宅住所や本籍・電話・FAX番号が変わる際の税理士の変更手続き」


人気記事ランキング

タグ一覧

操作方法バナー
ページトップへ戻る