
税理士の独立開業時に重要な人脈|成功に欠かせない理由を解説
税理士として独立開業を目指す際、専門知識やスキルだけでは成功を収めるのは難しいものです。顧問先を安定的に増やし、事務所運営をスムーズに進めるためには、「人脈」が重要な役割を果たします。
本記事では、人脈がなぜ税理士の成功に不可欠なのか、具体的な活用方法や築くべき繋がりについて解説します。
目次[非表示]
- 1.税理士にとって人脈が重要な理由
- 2.税理士の人脈が役立つ場面
- 2.1.新規顧問先の獲得
- 2.2.サービス品質の向上と他事務所との差別化
- 2.3.事務所経営におけるマネジメントの強化
- 3.独立開業時に築いておきたい人脈とは
- 3.1.同業の税理士仲間
- 3.2.他業種の経営者
- 3.3.弁護士・司法書士・社労士などの他士業
- 3.4.関連業界とのネットワーク
- 3.5.友人・知人
- 3.6.税理士の成功を支える人脈の力
税理士にとって人脈が重要な理由
開業税理士には顧客獲得や事務所運営のマネジメント能力が求められますが、すべてを一人で行うのは非現実的です。
中小企業の抱える課題に対応するため、他の専門家や同業者との連携が必要不可欠です。
経験豊富な税理士や経営者からのアドバイスは、新たなアイデアや実践的な知見を提供し、顧問先への価値あるサービスを実現します。人脈は、業務の質向上や事務所運営の強化に直結する重要なリソースです。
税理士の人脈が役立つ場面
新規顧問先の獲得
新しい顧問先を獲得するには、顧問先候補との接点をもつ人脈づくりが重要です。
例えば、企業の経営者が税理士を選ぶ際、自身で選ぶ場合もあれば、信頼できる経営者仲間、自社の役員や従業員、金融機関、取引先、商工会・商工会議所などを頼る場合もあります。そのため、こうした「経営者に頼られる相手」との人脈を築くことで、紹介を通じて新しい顧問先を獲得するチャンスが広がります。(※1)
また、同じ地域の税理士との人脈づくりも有効です。
例えば、他の税理士が対応しきれない案件や専門外の分野の顧問先を紹介してもらったり、後継者がいない高齢の税理士から顧客を引き継いだりできることがあります。
(※1) 中小企業庁:2020年版「小規模企業白書」 第3部第2章第4節 日常の相談相手の活用
( https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b3_2_4.html )
サービス品質の向上と他事務所との差別化
税理士のみで顧問先の幅広い経営課題に対応するには限界があり、司法書士や社会保険労務士、行政書士などの他の専門家との連携が欠かせません。
これらの専門家との人脈を築くことで、ワンストップで相談対応ができるようになり、より経営者に寄り添った支援が可能になります。
顧問先からの信頼が深まることはもちろん、サービスの幅が広がることにより、他の事務所との差別化にも繋がります。
事務所経営におけるマネジメントの強化
顧問先が増えると、価格設定の見直しや業務プロセスの改善、人材採用や育成といった課題が次々に発生します。
しかし、税理士が初めから経営のプロであるわけではありません。
このような場合、事務所経営について相談できる人脈が非常に役立ちます。
特に、経験豊富な開業税理士との人脈があることで、実践的なアドバイスを得られるはずです。早期に信頼できる相手との人脈を築くことで、大きな失敗を回避しつつ、新たな事業展開のヒントを得られるでしょう。
独立開業時に築いておきたい人脈とは
それでは、独立開業する税理士にとって優先的に築いておくべき人脈の種類と、その具体的な目的を解説します。
同業の税理士仲間
税理士や会計事務所の職員など、同業者との人脈づくりは欠かせません。こうした人脈は、新しい顧問先の紹介に繋がるだけでなく、業務の効率化や事務所運営の幅を広げるチャンスとなります。
特に、経験豊富な開業税理士との人脈は、事務所運営に関する貴重な情報源です。成功例や失敗談を共有することで、独立後の事務所運営に役立てることができるでしょう。
また、経営方針や価値観が似ている税理士同士で協業したり、事務所を統合して事業拡大を成功させたりできるケースもあります。
同業者との積極的な交流は、事務所の成長と安定に繋がるため、さまざまな機会を活用して人脈を広げていきましょう。
他業種の経営者
他業種の経営者との人脈は、独立開業時だけでなく、その後の事務所経営においても大きな財産となります。
交流を続けることにより、顧客を紹介してもらうチャンスが増えるだけでなく、税理士が専門とする財務や会計とは異なる視点からアドバイスを受けることもあるでしょう。
また、将来的には、その経営者自身が顧問先となってくれたり、保険や不動産販売といったサブビジネスの顧客となってくれたりする可能性もあります。
このように、経営者との人脈は、新たな顧客の獲得、事務所運営のヒントの発見、多角的な価値の創出といった多くのメリットをもたらします。
他業種の経営者がもつ経験や柔軟なアイデアを吸収することで、税理士事務所の新たな可能性に気づき、同業者との差別化を図るきっかけにもなることもあるでしょう。
弁護士・司法書士・社労士などの他士業
税理士の業務には、弁護士、司法書士、社会保険労務士など、他士業との人脈が不可欠です。
例えば、相続に関する法律相談や、不動産登記が必要な案件では、これらの他士業との連携が欠かせません。
こうした他士業との人脈を築くことで、顧問先の多様なニーズに対応し、より満足度の高いサービスを目指せるようになります。
さらに、支援を必要としている顧客をお互いに紹介し合うことで、新しい顧問先を獲得するチャンスが広がります。
加えて、日常の業務で発生するちょっとした疑問や不明点を迅速に確認し合える関係性を築いておくと、業務を円滑に進めることができ、トラブルの防止にも繋がります。
こうした連携によって、顧問先への対応力が高まり、信頼関係を深めることができるでしょう。
関連業界とのネットワーク
金融機関や商工団体など、中小企業の支援に関わる組織の担当者との人脈も、税理士にとって欠かせないネットワークです。これらの人脈は、顧客の紹介や情報交換の場として活用できるだけでなく、経営者を集めたセミナーでの講師の依頼など、新しい顧客層にアプローチする機会を提供してくれることもあります。
また、不動産会社や保険会社など、経営者の節税やリスクマネジメントに関わる業界の担当者との連携も重要です。より付加価値の高いサービスを提供することで、収益化の幅を広げることに繋がります。
友人・知人
長期的な視点で考えた場合、友人や知人との人脈も欠かせません。
若い世代の友人から顧問先を紹介されることは少ないかもしれませんが、30代や40代になると、独立して税務顧問を依頼してくれる人や、勤務先で管理職となり、仕事を発注してくれる人が増えてくる可能性があります。
また、親の相続に悩む年齢になれば、信頼できる税理士として相談を受ける機会も増えるでしょう。
こうした状況で、日頃から築いてきた信頼関係が力を発揮します。
友人の仕事やプライベートの課題に税理士として貢献することにより、さらに深い信頼を得ることができるでしょう。
税理士の成功を支える人脈の力
税理士にとって人脈は、顧問先の獲得やサービス向上、事務所運営の安定に欠かせない基盤です。他士業や異業種の経営者との連携を通じて、業務の幅を広げ、顧問先に価値あるサービスを提供できます。
独立開業時から積極的に人脈を構築し、信頼される税理士としての基盤を築いてください。
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