税理士事務所がM&A支援に参入する方法|業務内容から収益化まで解説
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近年、顧問先の経営者の高齢化や後継者不在により、事業承継に関する相談が増えています。こうした課題に対し、税理士がM&A支援で貢献できる領域は広がっています。
本記事では、税理士事務所がM&A支援へ参入する意義から、具体的な業務内容、事務所の規模に応じた段階的な収益化モデルまで解説します。
なぜ税理士事務所がM&A支援に取り組むべきか
M&A支援は、顧問先の未来を守り、事務所の成長を加速させる重要な経営戦略です。税理士がこの分野に取り組むべき理由を3つの視点から解説します。
顧問先の事業承継問題という喫緊の課題
多くの中小企業が後継者不在という深刻な問題に直面しています。黒字経営にもかかわらず廃業を選択せざるを得ない状況は、顧問税理士にとっても大きな課題です。
M&Aは、親族や従業員への承継が難しい場合の有力な選択肢となります。税理士がM&A支援の窓口となることで、顧問先は安心して相談でき、事業と従業員の雇用を守る道筋を見つけられます。事業承継税制のような専門知識を活かし、顧問先の未来を共に考える役割が求められています(※1)。
(※1)国税庁|事業承継税制特集
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/index.htm
税務顧問だからこその強み
税理士は、日々の税務顧問業務を通じて、顧問先の財務状況や事業内容、経営者の価値観まで深く理解しているという独自の強みを持っています。
この深い信頼関係があるからこそ、M&Aというデリケートな相談にも親身に寄り添えます。数字の裏側にある経営者の想いを汲み取り、最適な相手探しや条件交渉に活かせるのは、長年伴走してきた税理士ならではの価値です。
事務所の付加価値向上と収益構造の多角化
M&A支援は、事務所経営にも大きなメリットをもたらします。月々の顧問料に加え、M&A支援のようなスポットでの高付加価値業務は、事務所の収益構造を多角化し、経営基盤を強固にします。
激化する競争の中で他事務所との差別化を図る上でも、M&A支援は有効です。時代のニーズに応じた専門性を持つことは、事務所のブランド価値を高め、新たな顧問先の獲得にも繋がります。
関連記事:「税理士の独占業務とは|業務内容や非独占業務との違いを解説」
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税理士が担うM&A業務の全体像
M&Aのプロセスは多岐にわたり、税理士は初期の相談から最終契約まで様々なフェーズで関与できます。ここではM&Aのプロセスを4つのフェーズに分け、税理士の役割を解説します。
フェーズ1:ソーシング・マッチング支援
M&Aの第一歩は、売り手と買い手を見つける「ソーシング」と、両者を引き合わせる「マッチング」です。日頃のコミュニケーションから、事業承継に悩む顧問先や事業拡大を考える顧問先のニーズを掘り起こします。
この段階では、信頼できるM&A仲介会社やプラットフォームと連携し、顧問先の希望に合う候補先を紹介するだけでも価値のある支援となります。
フェーズ2:バリュエーション(企業価値算定)
売り手と買い手の交渉の基礎となるのが、企業の価値を算定する「バリュエーション」です。税理士は財務諸表を深く理解する専門家として、客観的かつ中立的な立場で企業価値を算定する役割を担います。算定根拠を明確に示し、双方が納得できる価格交渉の土台を築く重要な業務です。
フェーズ3:デューデリジェンス(DD)
基本合意後、買い手が売り手企業の経営実態や潜在的リスクを調査するプロセスが「デューデリジェンス(DD)」です。特に財務DD・税務DDの領域は、税理士の専門性が最も発揮される分野です。
具体的には、正常な収益力、簿外債務の有無、税務リスクなどを調査し、買収価格の妥当性や買収後のリスクを洗い出します。この結果は、最終的な意思決定に大きな影響を与えます。
フェーズ4:スキーム構築とクロージング支援
M&Aの実行手法(スキーム)には株式譲渡や事業譲渡など複数の選択肢があり、選択によって税負担が大きく変わります。税理士は、税務の専門家として、当事者の状況を総合的に勘案し、税負担を最小化できる最適なスキームを検討・助言します。組織再編税制の適用可否などを判断し、円滑なクロージングまでを税務面からサポートします。
M&A支援事業を立ち上げる4ステップ
M&A支援への参入を具体的に進めるための4つのステップを解説します。
Step1:専任チームの設置と知識の習得
まず、所内でM&A支援の担当者を決めます。担当者は、研修やセミナーなどを積極的に活用し、実務的な知識や最新動向を習得することが第一歩です。
Step2:顧問先情報のデータベース化とニーズの可視化
M&Aの潜在ニーズを捉えるため、顧問先情報の管理が鍵となります。経営者の年齢や後継者の有無、事業承継に関する発言などをデータベース化し、定期的に更新することで、アプローチすべき顧問先を可視化できます。
Step3:外部専門家ネットワークの構築
M&Aは、弁護士や司法書士、M&A専門会社など、各分野の専門家との連携が不可欠です。日頃から地域の士業交流会などに参加し、信頼できるパートナーを見つけておくことで、質の高いワンストップサービスを提供できる体制が整います。
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Step4:サービスメニューと料金体系の設計
自事務所がM&Aプロセスのどこまでを担うのか、サービスメニューを明確に定義します。例えば「M&A仲介会社への紹介まで」「財務DDの受託まで」のように対応範囲を具体的に定め、それに応じた料金体系(相談料、着手金、成功報酬など)を設計します。
【事務所規模別】M&A支援の段階的参入モデル
全ての事務所がいきなりM&Aの全プロセスを支援する必要はありません。事務所の規模やリソースに応じて段階的に関与を深めることが成功の鍵です。
モデル1:情報提供・紹介パートナー型(スモールスタート期)
最もリスクが低く始めやすいモデルです。顧問先から事業承継の相談を受けた際に、提携するM&A仲介会社などを紹介する役割に徹します。紹介料が主な収益となり、M&Aの実務を学びながら経験を積む最初のステップとして最適です。
モデル2:DD・バリュエーション特化型(専門性追求期)
税理士の専門性を直接活かすモデルです。M&A仲介会社などから、財務・税務DDや企業価値算定の業務を受託します。専門業務に特化することで高い付加価値を提供でき、安定した収益源となり得ます。
モデル3:総合アドバイザリー型(事業拡大期)
FA(フィナンシャル・アドバイザー)として、案件の初期相談からクロージングまでを一気通貫で支援するモデルです。高度な専門知識と経験、広範なネットワークが不可欠ですが、高額な成功報酬が期待でき、事務所の収益を大きく飛躍させることが可能です。
M&A支援における注意点
M&A支援では、利益相反リスクへの対応が求められます。FAの場合、売り手と買い手の双方から契約を結ぶと中立性を保つことが困難になるため、どちらか一方の立場に立つことを明確にする必要があります。両者の支援を行う仲介の場合、追加手数料を支払った者やリピーターへの優遇禁止など、中小企業庁のガイドラインに定められた禁止事項にも留意しましょう(※2)
また、秘密保持の徹底も重要です。M&Aの情報漏洩による悪影響は多方面に及びます。そのため、徹底した情報管理体制の構築が不可欠です。
(※2)中小企業庁|中小M&Aガイドライン(第3版)5 仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(PDF 98/139)98/139ページ
https://www.meti.go.jp/press/2024/08/20240830002/20240830002-br.pdf
顧問先の未来に貢献し、事務所の成長を加速させるM&A支援
M&A支援への参入は、顧問先の事業存続という重大な課題に向き合い、その未来に貢献できる、非常にやりがいのある業務です。
日々の税務顧問業務で培った知見と信頼関係を土台に、まずは小さな一歩から始めてみませんか。M&A仲介会社への紹介や研修への参加といった一歩が、顧問先との絆を深め、事務所の持続的な成長を加速させる原動力となるはずです。
M&A支援のような新しい事業領域への挑戦は、事務所の成長戦略を考える上で非常に重要です。
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(この記事は、生成AIによって作成された原稿を基に、編集者が内容の正確性・構成を精査し、最終的な調整を行っています。)



