
税理士の印鑑(職印)は必要?作成する場合のポイントや費用の目安
開業税理士として独立をした際に「印鑑(職印)を用意するべきか」悩む方もいるのではないでしょうか。実は、税理士に職印の登録義務はなく、押印が求められる場面も少なくなっています。
しかし、職印には信頼感を与えたり、業務で役立つ場面もあります。
この記事では、税理士の印鑑にまつわる必要性や作成時のポイントについて詳しくご紹介します。
目次[非表示]
- 1.税理士の印鑑の必要性
- 1.1.税理士は印鑑(職印)の登録義務がない
- 1.2.税理士が印鑑を使う機会は減少している
- 2.印鑑が必要なケース
- 2.1.印鑑が慣習的に求められる場面
- 2.2.印鑑(実印)が必要となる場面も
- 2.3.収入印紙の消印
- 3.印鑑を作成するときのポイント
- 3.1.形・書体・素材の選び方
- 3.2.購入方法
- 3.3.印鑑の価格帯と目安
- 4.信頼感を演出するために印鑑を活用しよう
税理士の印鑑の必要性
税理士は印鑑(職印)の登録義務がない
「職印」とは、氏名と資格名を組み合わせた印鑑のことで、士業の中には職印を業務や登録に使う仕組みがあります。たとえば弁護士は「弁護士◯◯之印」(◯◯は氏名)という職印を用意し、弁護士会に登録して身分証明書の発行などに利用しています。
一方、税理士には職印の制度はありません。しかし、仕事の流儀として「税理士◯◯之印」といった職印を作成し、税務書類などに押印することは可能です。実際、税理士向けの職印を扱う印鑑店もあり、その迫力あるデザインを紹介する店舗も見られます。
税理士が印鑑を使う機会は減少している
職印だけでなく通常の印鑑についても必要な場面が減少しています。
2021年4月1日から、国税と地方税における税務関係書類の押印は、例外を除き不要となりました。(※1)
例えば、法人税の申告書様式では、かつては「税理士署名押印」と「㊞」の欄がありましたが、令和3年4月1日以後終了事業年度分の様式から、この欄が「税理士署名」に変わり、「㊞」のマークもなくなっています。
【法人税申告書別表一】(※2)
(※1)税務書類の押印義務の見直しについて - 日本税理士会連合会
(https://www.nichizeiren.or.jp/whats-new/201225a/)
(※2)(画像出展)国税庁HP:法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)に掲載中の様式より作成
(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/01.htm)
印鑑が必要なケース
税理士が業務で印鑑を使用する機会は減少していますが、商慣習や一部の業務では、まだまだ印鑑が求められます。
印鑑が慣習的に求められる場面
商習慣として、書面契約を交わす際に押印する文化があります。
すでに電子契約サービスなどを利用しハンコレス化している取引も多くありますが、相手が書面での契約を望む場合には、それに合わせて書面で契約を交わすこととなります。
税理士は顧問契約がサービス基盤になることが多く、地域の中小企業におけるデジタル化の進展状況はさまざまですので、書面での契約を交わす機会は依然として多いと言えるでしょう。
印鑑(実印)が必要となる場面も
多くの税務関係書類では押印が不要となりましたが、相続税や贈与税に関しては、税理士の実印による押印が必要となる書類もあります。
【実印が必要な書類の例】(※3)
- 延納申請のための納税保証書や不動産抵当権設定登記承諾書
- 物納申請のための所有権移転登記承諾書
- 納税猶予の申請などにかかる担保提供関係書類
など
実印とは、市町村に登録された印鑑であり、資格名などを含むことができない印鑑のことです。
(※3)南九州税理士会:税務書類への押印(令和5年11月23日掲載) | 税のはなし(https://mkzei.or.jp/zei/2528/)
収入印紙の消印
書面の契約書などに貼付した収入印紙には「印章または署名」による消印を行いますが、この消印も、業務における印鑑使用の一例として挙げられます。
ただ、消印はスタッフ等が行っても構わない作業ですし、個人税理士の領収書は「営業に関しない受取書」にあたることから、税理士の印鑑の用途として、そこまで気にする必要のない業務かもしれません。
印鑑を作成するときのポイント
書面の契約書などに貼付した収入印紙には「印章または署名」による消印を行いますが、この消印も、業務における印鑑使用の一例として挙げられます。
ただ、消印はスタッフ等が行っても構わない作業ですし、個人税理士の領収書は「営業に関しない受取書」にあたることから、税理士の印鑑の用途として、そこまで気にする必要のない業務かもしれません。
形・書体・素材の選び方
印鑑の形は円形の「丸印」と四角形の「角印」がありますが、一般的には丸印がよく使われます。書体は偽造防止効果のある「篆書体」や「印相体」が人気です。
素材は木材、金属、樹脂など多種多様で、耐久性や美しさを重視するならチタン、手軽さを求めるなら木材が適しています。
購入方法
印鑑は専門店、ネット注文、自動販売機などで購入可能です。専門店では相談しながら選べ、ネット注文は素材やデザインの選択肢が豊富、自動販売機なら短時間で完成します。
印鑑の価格帯と目安
印鑑の価格は素材によって異なり、以下が一般的な目安です
- 1万円以下: 木材や水牛の角などシンプルな素材。
- 1万円~2万円: チタンや高級木材、琥珀など。
- 2万円以上: 希少素材の象牙など。
信頼感を演出するために印鑑を活用しよう
税理士には職印の登録義務はなく、印鑑を使用する機会も減少しています。2021年4月以降、ほとんどの税務書類で押印が不要となりましたが、一部の相続税や贈与税関連の書類では実印が必要です。
また、商慣習として顧問契約書などの書面契約で印鑑を使う場面は依然としてあります。
職印を準備することは必須ではなくとも、信頼感やプロフェッショナリズムを印象付けるため、自分にふさわしい印鑑を用意しておくと安心です。
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