
開業税理士が新規顧客を獲得するために必要な営業ツール
税理士の開業後、多くが直面する課題が「新規顧客の獲得」です。どれほど知識や経験が豊富でも、事務所の存在を知ってもらわなければ仕事につながりません。特に開業直後は認知度が低く、紹介だけでは案件が不足しがちです。
また、顧客が増えても「ほったらかし」にせず関係を維持することが重要です。信頼を築く前に離れられると、常に新規獲得に追われることになります。
そこで役立つのが「営業ツール」です。新規・既存顧客との接点を作る「営業担当者」として活用し、その特徴を理解しながら効果的に運用することが大切です。
目次[非表示]
- 1.新規顧客開拓に必要な基本営業ツール
- 1.1.名刺・封筒
- 1.2.事務所パンフレット
- 1.3.ホームページ
- 1.4.SNS・ブログ
- 1.5.メルマガ(ニュースレター)
- 2.営業ツールを活用し、安定した顧客基盤を築く
新規顧客開拓に必要な基本営業ツール
それでは、新規顧客の開拓や既存顧客の維持に役立つ、基本的な営業ツールを紹介します。
名刺・封筒
事務所名やロゴを入れた名刺や封筒は、重要な営業ツールです。
名刺は、顧客候補との初対面で活用される「税理士の顔」ともいえるアイテム。事務所のイメージに合ったデザインや、会話のきっかけとなる要素を取り入れることで、自己紹介やブランディングにつながります。
封筒もまた、事務所のイメージアップに役立ちます。オンライン化が進む中でも、契約書類や案内状などは紙で送る機会が多く、特にクラウドを利用しない顧問先とは書類の受け渡しが頻繁に発生します。その際、事務所の名称やロゴ入りの封筒を使うことで、仕事への姿勢が伝わり、顧問先の安心感につながります。
事務所パンフレット
事務所パンフレットは、サービス内容や強みを整理して伝えられる営業ツールです。見込み客に渡すことで、税理士選びや変更の検討資料として活用してもらえます。
作成の際は、以下の内容を中心に、見やすいデザインを心がけましょう。
- 代表税理士のプロフィール
- 事務所の理念や強み
- 提供サービス
- 料金の目安
- 事務所所在地・連絡先
パンフレットの最大のメリットは、口頭説明より多くの情報を伝えられることです。対面では主要なサービスしか説明できなくても、後で詳細を知ってもらい、新規顧客獲得につながることがあります。
また、新人の顧問先担当者を雇った際も、営業先で事務所の魅力を伝えやすくなります。作成したパンフレットは手渡しだけでなく、PDF化してホームページに掲載したり顧客情報を獲得するためのダウンロードコンテンツとするのも効果的です。基本的な営業ツールとして、ぜひ用意しましょう。
ホームページ
税理士事務所のホームページは、公開している限り新規顧客の問い合わせ窓口となる強力な営業ツールです。
新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客が知人の経営者を紹介する際にも役立ちます。ホームページがあれば、「どんな税理士なのか」を説明しやすく、紹介の流れがスムーズになります。
掲載内容は自由で、パンフレットのように代表税理士のプロフィールやサービス内容を伝えるだけでなく、紙面の制約がないため、詳しい経歴や理念、料金、顧客の声、説明動画などを掲載することも可能です。
関連記事:開業税理士のホームページの役割と制作方法
SNS・ブログ
SNSやブログは、信頼できる税理士や親しみやすい税理士としてのブランディングに役立つ営業ツールです。
経営や税務に関する情報を定期的に発信することで、見込み客の増加や既存顧客のイメージアップにつながります。
一方で、プライベート用アカウントとの混同には注意が必要です。また、ユーザーとの距離が近いため、政治的な話題などセンシティブな内容を避け、炎上リスクを回避することも大切です。
税理士の営業ツールとして活用しやすいSNSには、次のようなものがあります。それぞれの特性を簡単にまとめてますので、どのSNSが自分にあっているか参考にしてみてください。
・LINE
日本国内で最も利用者数の多いSNSです。ビジネス用途でも活用が進んでおり、「LINE公式アカウント」を作成することで、顧客との直接的なコミュニケーションが可能になります。
・Facebook
実名制であるため、相手に信頼感を与えやすいSNSです。公式アカウントを作成してホームページのように情報発信することはもちろん、長文での投稿も可能となります。
・X(旧:Twitter)
リアルタイムでの情報発信や拡散力に特徴があるSNSです。税理士の場合、業界の情報から身近な税務まで、信頼できる情報を手軽な短文で多くの人々に発信することができます。
・Instagram:視覚的な訴求力が高いSNSです。事務所の写真やサービス説明動画などの発信と相性が良いといえます。近年の総務省の調査では、X(旧:Twitter)よりも若干利用者が多く、特に女性の利用割合が高い傾向にあります。
全年代 |
10代 |
20代 |
30代 |
40代 |
50代 |
60代 |
男性 |
女性 |
|
LINE |
94.9% |
95.0% |
99.5% |
97.9% |
97.8% |
93.7% |
86.3% |
93.3% |
96.5% |
56.1% |
72.9% |
78.8% |
68.0% |
57.2% |
51.7% |
22.6% |
48.8% |
63.6% |
|
X |
49.0% |
65.7% |
81.6% |
61.0% |
47.3% |
37.0% |
19.6% |
49.9% |
48.1% |
30.7% |
10.0% |
28.1% |
44.4% |
39.3% |
32.6% |
18.9% |
32.8% |
28.5% |
(参考)総務省HP:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書より作成
(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000122.html)
・LinkedIn
採用目的で利用されるイメージのあるSNSですが、経営の意思決定権を持つ人も多く利用しているため、営業ツールとしても注目されています。企業向けの情報発信と相性が良く、税理士の営業ツールに向いています。
メルマガ(ニュースレター)
メルマガは、顧客との関係構築や情報共有に役立つ営業ツールです。
税務ニュースや経営者向けの事業承継関連情報などを定期的に配信することで、信頼される税理士としての認知を高め、良好な関係を築くことができます。
配信にはメールアドレスのリスト化が必要です。名刺交換やホームページの申し込みフォームを活用し、リストを作成しましょう。また、配信停止の希望に対応できる仕組みも整えておくことが大切です。
営業ツールを活用し、安定した顧客基盤を築く
新規顧客の獲得や既存顧客とのさらなる信頼関係の構築は、開業税理士にとって重要な課題です。そのためには、基本的な営業ツールを効果的に活用することが求められます。
各ツールには異なる特徴や役割があり、複数を組み合わせることで、より広範な層にアプローチすることもできます。自分に合った営業ツールを選び、ブランディングのための長期的な視点で活用しながら、安定した顧客基盤の構築を目指しましょう。
開業直後の税理士・会計事務所が取り組みやすい営業手法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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