freee Seasonal Meetup 2022年5月「会計事務所の新たな働き方を考える1日」開催レポート
5月24日(火)に、freee認定アドバイザー限定イベント「freee Seasonal Meetup」をオンラインにて開催しました。
freee Seasonal Meetup(通称:フリシズ)とは、freeeの旬な情報とちょっとした交流をお届けするイベントです。
今回のテーマは「会計事務所の新たな働き方を考える1日」。
今回は、株式会社レッツ総合事務所代表取締役・魚住正博さんにご登壇いただき、顧問先増加に伴う業務の逼迫を乗り越えた方法と新たな働き方づくりに向けた取り組みについてシェアしていただきました。
目次[非表示]
- 1.株式会社レッツ総合事務所・魚住正博さん
- 1.1.社会貢献にもつながる方法でスタッフを増員
- 1.2.障害者も働きやすい職場環境づくり
- 1.2.1.(1) ITツールの徹底活用
- 1.2.2.(2)OJTの充実
- 1.2.3.(3)業務マニュアルの共有
- 1.2.4.(4)コミュニケーションの工夫
- 1.3.脱・労働集約型産業に向けた新たな取り組み
- 2.質疑応答
- 2.1.Q1:施設外就労スタッフの方が会計業務をするうえで、freeeの使いやすさはいかがでしょうか。
- 2.2.Q2:施設外就労スタッフさんのメンタルケアはどのようにしていますか。
- 2.3.Q3:事業所全体でfreeeを活用する風土をつくるために工夫したことを教えてください。
- 3.Meet up!
株式会社レッツ総合事務所・魚住正博さん
レッツ総合事務所は、1991年に魚住さんのお父様(税理士)らが立ち上げた医業向けコンサルティングサービスから始まりました。以来、税務や経営に関する悩みに寄り添いながらお客様を支援し続け、現在は主に財務会計コンサルティングやバックオフィス周りのBPOサービスを提供しています。
魚住さんは2012年に代表取締役に就任しました。freeeをプラットフォームにした経理代行サービスのリリースなどの施策によって、就任当初は160社だった顧問先を10年間で350社にまで増やしています。
顧問先の件数が増えるにつれて、社内は常に多忙を極めた状態に。特に繁忙期にはリソース不足に陥り、深夜まで業務に追われる日々が続いてしまいます。そこで魚住さんは、この状況から脱却するためにスタッフの採用に取り掛かりました。
社会貢献にもつながる方法でスタッフを増員
採用活動に苦戦していたある日、魚住さんは障害者の就労を支援する顧問先の方に出会います。この出会いをきっかけに「障害者に会計業務をお願いできないか」と考えるように。採用する人材の選択肢が広がって早期に人材を確保できるだけでなく、障害者の就労機会を増やすことで社会貢献にもつながるはずだと、魚住さんは考えたのです。
自身の考えを顧問先の経営者に話してみたところ「就労先の選択肢が増えて障害者の方々も喜んでくれるだろう」とポジティブな意見を返してもらえました。この意見が後押しになって、2018年から施設外就労の障害者の受け入れを始めました。
障害者も働きやすい職場環境づくり
魚住さんは、受け入れたスタッフにfreeeの明細や取引の登録業務を任せました。しかし、社内が多忙を極める中で業務を任せてしまった影響で、彼らは十分な力を発揮できずにいました。この状況を受けて魚住さんは、「生産性」「品質」「コミュニケーション」の改善に向けた取り組みを始めました。
具体的な取り組みは以下の通りです。
(1) ITツールの徹底活用
日々の連絡や案件の進捗管理など、あらゆる場面でITツールを活用して生産性を高める。
業務管理:freee for kintone
案件ベースの連絡:Slack
プロジェクト管理:Repsona
(2)OJTの充実
併設する税理士事務所の税理士による実務研修を実施。
月次決算時のチェックリスト実施
科目内訳書・申告書の作成
(3)業務マニュアルの共有
いち早く業務を覚えてもらうためにマニュアルを作成。
必要な情報をすぐに探し出せるよう、保管方法も工夫している。
仕様書やマニュアルは、GoogleDrive上に共有。
案件に関連するノウハウやナレッジは、Repsonaのノート機能で共有。
(4)コミュニケーションの工夫
挨拶や笑顔を大切にしたコミュニケーションで、就労スタッフの方々が安心して働ける雰囲気をつくる。これらの取り組みが課題の改善につながり、現在も5名の施設外就労スタッフが活躍しています。中には働きながら税理士試験の勉強を続け、現在までに4科目合格している人も。その方はリーダーとして仮締めも任せられるほどの戦力になっています。
脱・労働集約型産業に向けた新たな取り組み
スタッフの人員増で繁忙期を乗り越えられるようになった魚住さんですが、一方で顧問先が増えるたびにスタッフの増員に迫られるループから脱したいとも考えるようになりました。会計事務所の事業だけでは労働集約型産業から脱却できないと考えた魚住さんは現在、施設外就労スタッフの受け入れで得たノウハウを活かして新たに就労支援A型事業所を設立すべく、準備に取り掛かっています。
設立準備中の事業所では、障害者がfreeeのエキスパートになることで新しい働き方を創出することを目指します。20名程度の障害者を受け入れてfreeeのプロフェッショナルに育成し、全国の認定アドバイザーの記帳代行業務をサポートできる体制を作る予定です。
最後に魚住さんは「いずれは自分たちの事業ノウハウやスキームを全国に展開して、より多くの障害者が活躍できる社会づくりに貢献していきたい」と今後の抱負を語り、freeeトークは終了しました。
株式会社レッツ総合事務所 魚住正博さん
freee認定アドバイザーページは こちら
質疑応答
freeeトーク終了後、参加者から寄せられた質問にお答えいただく時間を設けました。
Q1:施設外就労スタッフの方が会計業務をするうえで、freeeの使いやすさはいかがでしょうか。
魚住さん
「私が見た感じだと、施設外就労スタッフさんとfreeeの相性は良いですよ。若干カジュアルな言い方に聞こえるかもしれませんが、freeeはゲーム感覚で楽しく使えるUIになっているので、感覚的に操作方法を覚えやすいみたいです」
Q2:施設外就労スタッフさんのメンタルケアはどのようにしていますか。
魚住さん
「基本的に、就労移行支援事業所の管理者にメンタルケアをお願いしています。私どもも関わりすぎると、かえってスタッフさんの心理的負担になってしまうリスクもあるからです。業務レクチャーとメンタルケアの役割を明確に分けたうえでスタッフさんを支援することが大切だと思います」
Q3:事業所全体でfreeeを活用する風土をつくるために工夫したことを教えてください。
魚住さん
「いきなり全てのスタッフがfreeeするのは難しいと割り切って、最初のうちはfreeeに興味関心があるスタッフや若手のスタッフだけにレクチャーしていました。freeeを提案する商談に同席させたり、freeeのカスタマーサクセスマネージャーさんに研修していただいたりするうちに習熟していきましたね。freeeを導入する顧問先が増えるにつれて、少しずつ周りのスタッフもfreeeを使うようになりました」
Meet up!
フリシズの後半には「会計事務所の新しい働き方を考える」というテーマでMeetupを実施。今まさに事務所の働き方を模索しているアドバイザーさんと既に新しい働き方を実践しているアドバイザーさんをバランスよく混ぜた少人数のグループに分かれ、freeeのカスタマーサクセスマネージャーによる進行のもとでざっくばらんに語り合いました。
それぞれのルームで活発な議論が進み、参加者の皆さんにとって新たな気づきや発見を得られる場になったようです。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!