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税理士事務所のスタッフ採用|適切なタイミングと費用、直面する課題

税理士事務所の運営には、スタッフ採用が欠かせません。適切なタイミングでの採用はサービス向上や事務所の成長につながる一方、コストや人材確保の課題も伴います。

本記事では、採用のタイミング、費用、課題について詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.税理士事務所のスタッフ採用を考えるタイミング
    1. 1.1.顧問先の増加で業務が逼迫する場合
    2. 1.2.新しい事業に挑戦する場合
  2. 2.スタッフ採用時に考慮しておきたいこと
    1. 2.1.スタッフ採用時における人件費の目安
  3. 3.税理士事務所のスタッフ採用における課題
    1. 3.1.「税理士事務所=きつい」というイメージの払拭
    2. 3.2.即戦力の採用が難しい
    3. 3.3.未経験者にとっては「難しい」イメージが障壁に
  4. 4.新しいスタッフ採用して事務所を1段階ステップアップしよう


税理士事務所のスタッフ採用を考えるタイミング

開業税理士がスタッフ採用を考えるタイミングとして、主に以下の2つのケースが挙げられます。

顧問先の増加で業務が逼迫する場合

1つ目のケースは顧問先が増え、記帳代行や確定申告のデータ入力作業が増加して手が回らなくなりそうな時です。このような場合には、次のようなスタッフを採用することで業務効率が向上します。

  • 入力作業の経験があるスタッフ
  • 簿記資格を持つスタッフ

早めの採用によって、業務がスムーズに進む体制を整えることが重要です。

新しい事業に挑戦する場合

2つ目のケースは相続対策や保険販売、経営コンサルティングなどの新たな事業に取り組む場合です。この際には、次のようなスタッフを採用することで、事務所の成長を支えられます。

  • 既存顧問先の対応を任せられる補助スタッフ
  • 新しい事業に必要なスキルを持つスタッフ

これらの状況を的確に見極め、タイミングよく採用を行うことで、税理士事務所の継続的な成長を実現できます。

スタッフ採用時に考慮しておきたいこと

スタッフ採用時における人件費の目安

それでは、税理士事務所においてスタッフを一人採用する場合、どの程度の人件費が発生するかを見ていきましょう。
令和5年賃金構造基本統計調査によると、「会計事務従事者」のフルタイムでの平均年収は287万円です(※1)。年齢別では、以下のようになります。
​​​​​​​

会計事務従事者

平均給与(賞与含む)

平均

約287万円

 ~19歳

約208万円

20~24歳

約255万円

25~29歳

約291万円

30~34歳

約319万円

35~39歳

約250万円

40~44歳

約311万円

45~49歳

約308万円

50~54歳

約277万円

55~59歳

約282万円

60~64歳

約339万円

65~69歳

約438万円

(※1)令和5年賃金構造基本統計調査(10~99人規模の企業に勤める、勤続年数0年の会計事務従者)
(https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003426418)

これに加えて、社会保険料や労働保険料、備品の購入費用、会計ソフトのアカウント追加費用、研修費用などの諸経費が発生します。これらを含めると、フルタイムでのスタッフ一人につき年間300万〜500万円のコストの発生が見込まれます。

​​​​​​​スタッフを迎えるための事務所対応

オフィスの規模や収容能力によっては、スタッフを迎えるためにオフィスの移転や整備も必要になるでしょう。

また、税理士事務所では顧問先の機密情報を多く扱うため、セキュリティ対策を強化する必要性も高まります。スタッフが増えることで情報の取り扱いが複雑になる可能性があるため、事務所全体で安全性を確保する取り組みが求められます。
​​​​​​​

税理士事務所のスタッフ採用における課題

採用にかかるコストの他にもう一つ重要なことは、採用時に直面しやすい課題を理解し、適切に対応することです。
税理士事務所はその業務の性質から、他業種とは異なる採用のハードルが存在します。さっそく税理士事務所ならではの課題について具体的に見ていきましょう。

「税理士事務所=きつい」というイメージの払拭

税理士事務所は、常に人手不足であり、特に繁忙期には残業や休日出勤が増える「きつい職場」と思われがちです。
こうしたきついイメージのある職場は、「必要な時に休めないのではないか」「スタッフに対する指導が必要以上に厳しいのではないか」という不安を与えてしまい、応募のハードルを高める原因になります。まずはこうしたイメージを持たれやすい職場であるということを認識し、そのイメージを払拭できるような工夫が求められます。

即戦力の採用が難しい

税理士事務所の業務は専門性が高く、即戦力として会計事務所経験者や簿記資格保有者を求めることが一般的です。
しかし近年、人材不足が深刻化しており、経験者を採用するのは容易ではありません。都心部の事務所においても「応募はあるけれど、求める人材はいない」というケースがあるようです。
この背景には、会計業務に携わる人材が税理士事務所だけでなく、事業会社の経理部門やコンサルティング業界など、幅広い選択肢を持っていることが挙げられます。
即戦力を採用したい場合は、働きやすさや待遇の良さをアピールできるかどうかが採用のポイントになります。

未経験者にとっては「難しい」イメージが障壁に

未経験者を採用することは、税理士事務所の採用戦略として有効な方法の一つです。他の事務所でのやり方に染まっていない分、自分たちのスタイルに合わせて一から教えられるというメリットもあります。
一方、未経験者の多くは、税理士事務所という職場に敷居の高さを感じたり、専門性の高い仕事についていけるかどうかを不安に感じたりすることがあります。
こうした不安を解消できる採用募集をすることにより、幅広い応募の中から優秀な未経験者を採用するチャンスを広げることができます。

新しいスタッフ採用して事務所を1段階ステップアップしよう

スタッフの採用は、税理士事務所が次のステップに進むための大きな転機です。顧問先の増加や新事業への挑戦には、優れた人材の力が不可欠です。一方で、「きつい職場」というイメージや未経験者の不安といった採用時の課題にも適切に対応する必要があります。

これらの課題については、別記事「税理士事務所のスタッフの求人募集方法と掲載のポイント」で詳しく解説しています。柔軟な働き方や研修体制の整備、魅力的な職場環境づくりなど、課題解決に向けた具体的なポイントをぜひチェックしてみてください。

優秀な人材を迎え入れることは、顧客対応力や業務効率を向上させ、事務所全体の信頼性を高めることにもつながります。適切な採用活動を通じて、新たな人材と共に事務所を1段階成長させましょう。

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