
開業税理士はリスティング広告を出稿するべきか?運用のポイントも合わせて解説
開業税理士がリスティング広告を出稿すべきかを判断するために、広告の特徴やメリット・デメリット、運用のポイントを詳しく解説。キーワード設計、地域ターゲティング、広告アセットの活用法に加え、競合状況や費用対効果を踏まえた導入判断の考え方も紹介しています。
目次[非表示]
- 1.開業税理士はリスティング広告を出稿するべきか?運用のポイントも合わせて解説
- 1.1.リスティング広告とは
- 1.2.リスティング広告のメリット
- 1.2.1.キーワードによるターゲティングができる
- 1.2.2.潜在顧客層にもアプローチできる
- 1.2.3.少額から開始できる
- 1.3.リスティング広告のデメリット
- 1.3.1.継続的に費用や運用工数がかかる
- 1.3.2.広告停止後に資産として残らない
- 1.3.3.クリック単価が高騰する可能性も
- 1.4.リスティング広告運用のポイント
- 1.4.1.キーワード設計の考え方
- 1.4.2.差別化できる強みの把握
- 1.4.3.広告の配信設定で意識するポイント
- 1.5.開業税理士はリスティング広告を出稿するべきか?
- 1.5.1.即効性か、持続性か
- 1.5.2.地域の競合は多いか
- 1.5.3.アピールしやすいサービスはあるか
- 1.5.4.リスティング広告の負担を軽減するなら
- 1.6.リスティング広告の特徴を把握して集客に活用しよう
開業税理士はリスティング広告を出稿するべきか?運用のポイントも合わせて解説
開業税理士の集客手段の一つとしてリスティング広告があります。この記事では、リスティング広告のメリット・デメリットや運用のポイント、リスティング広告を検討する際に考慮する点について解説します。
関連記事:開業税理士の集客手段について
「開業直後でも取り組みやすい税理士・会計事務所の営業手法とは?」
リスティング広告とは
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索結果の上部や下部に表示されるWeb広告のことです。ユーザーが検索したキーワードに連動して関連する広告が表示され、ユーザーがクリックすると広告出稿者が指定したURLに遷移する仕組みになっています。
遷移先のページにはホームページやLP(ランディングページ:お問い合わせに繋がるための訴求を強めた、広告用に特別に用意されたWebページ)を指定することが多く、これらのページにユーザーを誘導し、問い合わせや成約に繋げることが目的になります。
リスティング広告のメリット
キーワードによるターゲティングができる
リスティング広告では、税理士に相談したいユーザーが検索しそうなキーワードを選択することで、問い合わせに繋がりやすいユーザー層にターゲットを絞って広告を配信できるため、不特定多数に向けた広告よりも早期に広告効果を得やすいという利点があります。
潜在顧客層にもアプローチできる
キーワードによっては潜在的な顧客層にもアプローチできます。例えば「会社設立 費用」や「相続税 土地」などのキーワードでは、明確なお問い合わせの意図がなかったユーザー層に対してもアプローチすることができます。
少額から開始できる
リスティング広告の料金は、クリック課金制(PPC:Pay Per Click)であり、広告が実際にクリックされるごとに費用が発生します。広告が表示されただけでは料金は発生しません。また、一日あたりの広告予算を自由に設定できるため、少額から試験的に運用することも可能です。
リスティング広告のデメリット
継続的に費用や運用工数がかかる
リスティング広告は、運用を続ける限り費用が発生します。また、広告を配信して終わりではなく、広告の成果を踏まえてキーワードや説明文、クリック単価(CPC:Cost Per Click)を見直す必要があるため、継続するには手間や知識が求められます。
広告停止後に資産として残らない
ホームページやコンテンツマーケティングなどは一度構築すれば長期的な営業ツールとして活用できます。一方でリスティング広告は広告を停止するとそうした資産が残りません。
クリック単価が高騰する可能性も
成約に結びつきやすいキーワードは、税理士紹介サービスや大手事務所との競争が激しく、クリック単価(CPC)が高騰しやすい傾向にあります(例:「確定申告+税理士」など)。キーワード選定後にクリック単価が高騰し、予算内での運用が難しくなることもあります。
リスティング広告運用のポイント
税理士事務所がリスティング広告を利用する際、効果的に運用するためのポイントを解説します。
キーワード設計の考え方
リスティング広告を運用する上で最も重要なのが、広告を出稿するキーワードの設計です。
事務所のサービスとマッチするユーザーが検索するキーワードを想定して選択するのが基本ですが、その際に用いるのがキーワードの検索回数を示す「検索ボリューム」という指標です。検索ボリュームが大きければよく検索されるキーワードなので、その分クリックの期待値も上がります。
例えば、一般的に「税理士+業務名」や「税理士+エリア名」のようなキーワードは検索ボリュームが大きい傾向にあります。
例:「税理士+業務名」
「税理士 確定申告」「税理士 法人設立」「税理士 顧問契約」「税理士 節税相談」
例:「税理士+エリア名」
「税理士 港区」「税理士 大阪市」
ただし、検索ボリュームの大きいキーワードは競争も激しく、クリック単価が高くなる傾向にあります。そのため、自身の事務所が強みを持つ分野にターゲットを絞ったキーワードを選定する視点も重要です。
例えば、「税理士 確定申告」よりも「税理士 不動産売却 確定申告」や「税理士 FX 確定申告」のようなキーワードは、検索ボリュームでは劣るものの検索された際にはより効果的なキーワードになります。また「税理士+エリア名」を設定する場合、都市部では「税理士 渋谷区」のような細かい地域名の設定が有効ですが、人口が少ない地方では「税理士+県名」といった広めのエリアを指定する方が効果的なこともあります。
差別化できる強みの把握
ターゲットを絞ったキーワード設計をするためにも、事務所の強みや訴求ポイントを明確にしておくことが重要になります。例えばリスティング広告の文言に「300件を超える飲食業の支援実績あり」「クラウド会計対応の税理士がオンラインですべて解決」のような具体的な訴求があれば、ユーザーの関心を引きやすくなります。広告の遷移先となるLPでも、その強みをより詳細に繰り返し伝えることで、お問い合わせに繋げやすくなります。
広告の配信設定で意識するポイント
地域ターゲティング
地域ターゲティングとは、特定の地域にいるユーザーに対してリスティング広告を配信する設定のことを指します。地域密着型のサービスを提供することが多い税理士事務所では、広告の配信エリアを絞り込むことで、広告費用の無駄を抑えて費用対効果の高い集客が期待できます。
広告アセット
広告の見出しや説明文に追加情報やリンクを設定できる「広告アセット」という設定を上手く活用することで、広告の訴求力を高める効果が期待できます。主な広告アセットの例としては以下があります(配信プラットフォームによって仕様や呼称は異なります)。
・コールアウト
「初回相談無料」「オンライン対応可」といった強みを短くアピールできます。
・電話番号
ユーザーがワンクリックで問い合わせできるため、相談のハードルを下げることが期待できます。
・画像やロゴ
広告の視認性や信頼感が向上し、ユーザーに安心感を与えることが期待できます。
開業税理士はリスティング広告を出稿するべきか?
最後に、ここまでの情報を踏まえて、リスティング広告を出稿すべきかの判断ポイントを紹介します。
即効性か、持続性か
リスティング広告は短期間での集客が可能ですが、運用には継続的な費用と工数がかかり、配信を停止すると即座に効果がなくなります。特に開業して間もない時期であれば、運用の手間が少ない税理士紹介サービスへの登録や、資産を残して持続的な集客が可能な事務所のホームページの構築やSEO対策を優先する戦略も有効です。
地域の競合は多いか
競合する税理士事務所がそれほど多くない地域であれば、「税理士+地名」のクリック単価が比較的高騰しにくいといえます。こうした地域で開業する場合、リスティング広告を活用して顧客基盤を固めることは有効な手段となります。
アピールしやすいサービスはあるか
税理士事務所が多い地域でも、他の事務所と差別化されたアピールしやすいサービスがあれば、リスティング広告の効果を発揮しやすくなります。広告アセットを活用するなどし、ユーザーがクリックしたくなる魅力を分かりやすく伝えることがポイントです。
リスティング広告の負担を軽減するなら
リスティング広告では上限クリック単価を設定できるため、まずは低予算でスモールスタートを切ってみることも選択肢の一つです。また広告運用を専門業者に外注することで負担を減らしつつ効果的な運用も可能になります。事務所の体制・予算に応じて検討するとよいでしょう。
リスティング広告の特徴を把握して集客に活用しよう
リスティング広告は、効率的に広告を配信できる一方で、継続的な運用コストや負担が伴う集客手段です。配信の際には、キーワードの設定や広告アセット、地域ターゲティングを活用しながら、費用対効果の高い広告配信を目指しましょう。
税理士事務所の特徴によってリスティング広告の向き・不向きがあるため、自身の事務所に向いているかはよく検討しましょう。ただしリスティング広告は低予算で始めやすいため、まずは小規模に運用を開始して効果を検証するのも一つの方法です。
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