税理士顧問契約書の作成・見直しポイント:トラブル防止と顧問先との信頼構築

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顧問先との良好な関係を築き、事務所経営を安定させる上で、顧問契約書は非常に重要な役割を果たします。しかし、多忙な業務の中で、契約書の作成や見直しが後回しになることもあります。

この記事では、顧問契約書を明文化する意義から、必須項目、顧問先との信頼を深めるための実践的なポイントまで解説します。

目次[非表示]

  1. 1.顧問契約書を明文化する重要性
    1. 1.1.「言った・言わない」を防ぐ
    2. 1.2.税理士を守る:業務範囲と責任の明確化
    3. 1.3.顧問先を守る:サービスの透明化
  2. 2.顧問契約書に必須の7項目
    1. 2.1.1.契約の当事者
    2. 2.2.2.業務範囲と報酬
    3. 2.3.3.契約期間と更新・解約条項
    4. 2.4.4.秘密保持義務
    5. 2.5.5.損害賠償(責任の範囲と上限)
    6. 2.6.6.資料提供等の協力義務
    7. 2.7.7.反社会的勢力の排除
  3. 3.顧問先との良好な関係を築く条項設計のポイント
    1. 3.1.業務範囲の線引きを具体例で示す
    2. 3.2.報酬改定条項で事業規模の変化に対応する
    3. 3.3.中途解約の取り扱いで円満な関係終了を目指す
  4. 4.契約書の運用・見直しにおける注意点
    1. 4.1.契約締結時の説明責任
    2. 4.2.電子契約の活用
    3. 4.3.顧問契約書を見直すべきタイミング
  5. 5.顧問契約書を事務所経営の戦略的ツールに

顧問契約書を明文化する重要性

顧問契約書は、トラブル回避のための形式的な書類ではなく、事務所の価値を高め、顧問先との長期的な信頼を築くための戦略的なツールです。なぜ契約書の明文化が重要なのか、その役割を確認します。

「言った・言わない」を防ぐ

口頭での契約は、「この業務は顧問料の範囲内だと思った」といった認識の齟齬を生みやすく、一度トラブルになると信頼関係に亀裂が生じます。

顧問契約書は、こうしたトラブルを防ぐだけでなく、提供するサービスの範囲と価値を顧問先に明確に伝えるコミュニケーションツールです。業務内容と報酬を丁寧に説明することで、顧問先はサービスに納得し、安心して業務を任せられます。

税理士を守る:業務範囲と責任の明確化

「これも顧問料でお願いできますか?」といった範囲外の依頼や、予期せぬトラブルでの過度な責任追及は、事務所運営の悩みの一つです。

顧問契約書に業務範囲を具体的に明記すれば、無償の業務依頼を防ぎ、追加業務には正当な報酬を請求する根拠となります。また、税理士が負うべき責任の範囲を定めておくことは、万が一の際に事務所を過大なリスクから守る防衛策となります。

顧問先を守る:サービスの透明化

顧問先にとって、契約内容は不透明な部分が多いものです。「月額顧問料でどこまで対応してくれるのか」といった不安を抱えています。

契約書でサービス内容と報酬体系を明確に提示することは、顧問先の不安を解消し、サービスの透明性を確保します。顧問先が安心して契約し、長期的なパートナーとして信頼を寄せる関係を築く上で透明性は重要なポイントです。

顧問契約書に必須の7項目

実際に顧問契約書を作成する上で、盛り込むべき7つの必須項目を解説します。

1.契約の当事者

契約の主体が誰であるかを特定する項目です。顧問先が法人の場合は本店所在地・法人名・代表者名、個人事業主の場合は住所・屋号・氏名を正確に記載します。自事務所についても同様に、事務所所在地・事務所名・代表税理士名を明記します。

2.業務範囲と報酬

契約の根幹をなす最も重要な項目です。トラブルの多くは、業務範囲と報酬の認識のズレから生じます。以下の点を明確に区別して記載することが求められます。

  • 月次顧問料に含まれる業務:月次巡回監査、会計帳簿のレビュー、試算表の作成、基本的な税務相談など
  • 別途報酬が発生する業務:決算申告、年末調整、償却資産申告、税務調査立会い、融資支援など

報酬の金額、算定根拠、支払期日、支払方法も具体的に明記します。サービスの価値を正しく反映した報酬体系を設計し、契約書で明確に示しましょう。

関連記事:「税理士の登録区分3種類をわかりやすく解説|特徴と働き方の違い

3.契約期間と更新・解約条項

契約の有効期間と更新ルールを定めます。一般的には、契約期間を1年とし、「期間満了の○ヶ月前までに申し出がない限り、同一条件で1年間自動更新する」といった自動更新条項を設けます。また、中途解約する場合の予告期間や手続きを定めておくことで、円満な関係終了を目指します。

4.秘密保持義務

税理士は、税理士法第三十八条により守秘義務を負っています(※1)。この法律上の義務を契約書でも改めて明記することで、顧問先に情報管理体制の徹底を約束し、信頼を得ることができます。


(※1)税理士法第三十八条(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_4-At_38

5.損害賠償(責任の範囲と上限)

万が一、税理士側の過失で顧問先に損害を与えた場合に備え、賠償責任の範囲を定めておくことは、事務所を守る上で極めて重要です。賠償責任が発生する要件(故意または重過失など)や、賠償額の上限(顧問料の○年分など)を明記します。「税理士職業賠償責任保険」の補償範囲と連動させることも有効です。

6.資料提供等の協力義務

適正な申告業務には、顧問先からの正確な資料提供が不可欠です。顧問先が必要な資料を指定期日までに提供する「協力義務」を明記します。これにより、業務を円滑に進めるとともに、資料提供の遅延が原因で発生した損害(加算税など)については、税理士の免責事由とすることができます。

7.反社会的勢力の排除

コンプライアンスの観点から必須の条項です。「反社会的勢力とは一切の関係を持たないこと」を双方で確約し、相手方が反社会的勢力と判明した場合は、無催告で契約を解除できる旨を定めます。

顧問先との良好な関係を築く条項設計のポイント

必須項目に加え、より良い関係を築くための戦略的な条項設計について解説します。

業務範囲の線引きを具体例で示す

業務範囲は抽象的な表現を避け、具体的な業務名を列挙することが重要です。特に、顧問料の範囲内か曖昧になりがちな業務は丁寧に線引きします。

  • 年末調整・法定調書作成:顧問料に含むか、別途報酬か。
  • 償却資産申告:申告資産の量に応じた報酬設定か。
  • 税務調査立会い:日当制か、時間制か。修正申告書作成費用は別途か。
  • 融資相談・事業計画書作成支援:どこまでを無償とし、どこから有償とするか。

これらの具体例を契約書や料金表で明示することで、後のトラブルを減らせます。

報酬改定条項で事業規模の変化に対応する

顧問先の事業規模が拡大すれば、業務量も増えます。当初の顧問料では業務負荷と報酬のバランスが崩れる可能性があります。「顧問先の事業規模や業務の複雑性に著しい変動があった場合、双方協議の上、顧問報酬を改定できる」といった条項を設け、顧問先の成長に合わせた報酬の見直し機会を確保しましょう。

中途解約の取り扱いで円満な関係終了を目指す

契約終了時にトラブルなく円満に関係を終えるための「出口戦略」を盛り込みます。解約通知の期限や方法に加え、以下の点を定めておくとよいでしょう。

  • 解約時の未処理業務の取扱いと報酬精算
  • 解約月までの未払報酬の支払義務
  • 預かり書類やデータの返還手続きと期限

事前にルールを明確にすることで、感情的な対立を避けられます。

契約書の運用・見直しにおける注意点

契約書は「作って終わり」ではなく、適切に運用し、事務所の成長とともに見直していくものです。

契約締結時の説明責任

契約書を渡して署名・捺印を求めるだけでは不十分です。契約時には、業務範囲、報酬、解約条項といった重要事項を口頭で丁寧に説明する時間を設けましょう。このプロセスが、将来のトラブルを防ぐ最も効果的な方法です。

電子契約の活用

業務効率化やコスト削減の観点から、電子契約の導入が有効です。郵送や製本の手間が省け、印紙税が不要になるメリットがあります。電子データで送信された契約書は印紙税法上の「課税文書」に該当しないため、印紙は不要です(※2)。法的有効性も電子署名法で担保されています。


(※2)国税庁|請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について
https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/01.htm

顧問契約書を見直すべきタイミング

一度作成した契約書も、時間と共に実態に合わなくなることがあります。定期的な見直しが重要です。

  • 税法や関連法令の改正時
  • 事務所のサービス内容や料金体系の変更時
  • 顧問先の事業内容や組織形態に大きな変化があった時
  • 他でトラブルが発生し、契約書に不備が見つかった時
    少なくとも年に一度は内容を確認し、必要に応じて改定する習慣をつけましょう。

顧問契約書を事務所経営の戦略的ツールに

顧問契約書は、事務所をリスクから守る「盾」であり、サービスの価値を明確にし、顧問先との信頼を育む「武器」でもあります。本記事のポイントを参考に、自事務所の理念やサービスを反映した顧問契約書を作成・見直しすることが、安定した事務所経営の第一歩です。顧問先と強固なパートナーシップを築き、共に成長するための基盤として、顧問契約書を戦略的に活用していきましょう。

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(この記事は、生成AIによって作成された原稿を基に、編集者が内容の正確性・構成を精査し、最終的な調整を行っています。)

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