税理士は行政書士になるべき?ダブルライセンスのメリット・デメリット
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事務所のサービス範囲を広げ、顧問先への提供価値を高めるために、他の士業資格とのダブルライセンスを検討する方も多いでしょう。特に、税理士と業務上の親和性が高い「行政書士」は、有力な選択肢の一つです。
この記事では、税理士が行政書士資格を取得するメリットとデメリット、そして具体的な登録手続きを解説します。
税理士と行政書士の業務範囲の違い
ダブルライセンスを考える上で、まず両者の独占業務を正確に理解することが不可欠です。
税理士の独占業務
税理士の根幹は、税理士法で定められた以下の3つの独占業務です(※1)。
税務代理:納税者の代理で税金の申告や税務調査の立ち会いなどを行います。
税務書類の作成:確定申告書や相続税申告書など、税務官公署へ提出する書類を作成します。
税務相談:税金の計算や節税対策など、具体的な税務に関する相談に応じます。
これらの業務は税理士のみが行える、税務の専門家としての役割です。
詳細は「 税理士の独占業務とは|業務内容や非独占業務との違いを解説 」もご参照ください。
(※1)税理士法第二条(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_1-At_2
行政書士の独占業務
行政書士は「街の法律家」とも呼ばれ、行政手続きの専門家です。独占業務は、報酬を得て以下の書類を作成することです(※2)。
官公署に提出する書類:建設業許可や飲食店営業許可など、1万種類以上にのぼる許認可申請書類や届出書類などを作成します。
権利義務に関する書類:遺産分割協議書、各種契約書、定款など個人や法人の権利や義務に関する書類を作成します。
事実証明に関する書類:議事録、会計帳簿や決算書類など、社会生活上の事柄を証明する書類を作成します。
税理士が税務に特化するのに対し、行政書士は非常に幅広い行政手続きや民事法務に関わります。
行政書士として登録していなければ、これらの業務を引き受けることはできません。特に2026年から、行政書士法の改正によって「いかなる名目であっても」報酬を得て上記の書類作成を業とすることが規制されます(※3)。コロナ禍において「コンサル料」などの名目で給付金等の代理申請事例が相次いだことを受け、業務規制を明確化することを目的とした改正になります。
(※2)行政書士法第一条の二(行政書士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004#Mp-Ch_1-At_1_2
(※3)日本行政書士会連合会|行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について
https://www.gyosei.or.jp/news/20251101
業務範囲の比較
税理士と行政書士の業務は、特に「会社設立」や「相続」の場面で密接に関わります。
会社設立では、行政書士が定款作成などを担い、税理士が設立後の税務届出や税務顧問を担当します。相続では、行政書士が遺産分割協議書を作成し、税理士がそれに基づき相続税申告書を作成します。
ダブルライセンスがあれば、これらの一連の手続きを一人で完結でき、顧問先の利便性を格段に高められます。
税理士が行政書士資格を取得するメリット
両者の業務を理解した上で、ダブルライセンスがもたらす具体的なメリットを3つの視点から解説します。
1.ワンストップ対応で顧問先の満足度を向上
最大のメリットは、顧問先にワンストップで幅広いサービスを提供できる点です。
例えば、起業相談を受けた際に、会社設立の定款作成から事業に必要な許認可申請、設立後の税務顧問までを一貫してサポートできます。顧問先は複数の専門家を探す手間が省け、安心して事業を始められます。税務から行政手続きまで一貫して支援できる体制は、顧問先との信頼関係を深め、長期的な関係構築に繋がります。
2.新規顧客獲得の新たな入口に
行政書士業務は、新たな顧問先と出会うための強力な入口になり得ます。
建設業や飲食業など、許認可が必須の事業者から申請依頼を受ければ、その後の税務顧問契約に自然に繋げられます。また、補助金の申請支援をきっかけに事業者の経営状況を深く理解し、的確な税務アドバイスを提供することで、新規の顧問契約が期待できます。税理士業務だけでは接点がなかった層にアプローチできる点は大きな魅力です。
3.収益源の多角化で経営を安定化
事務所経営の観点では、収益源の多角化が重要です。
税務顧問料という継続的なストック収入に加え、許認可申請などのスポット収入を得ることで、収益構造を安定させられます。繁忙期以外の収益を確保しやすくなり、事務所経営の平準化に貢献します。特に開業当初は、スポット収入が経営の安定に大きく寄与するでしょう。
ダブルライセンスの注意点とデメリット
多くのメリットがある一方、資格取得には相応の準備が必要です。現実的な注意点やデメリットも確認しておきましょう。
1.業務負荷の増大と専門性維持の課題
最大の課題は業務負荷の増大です。税法に加え、行政書士業務に関わる多種多様な法律知識を常にアップデートし続ける必要があります。両分野で高い専門性を維持するには、継続的な学習が欠かせません。
対応範囲が広がる分、業務量も増加します。一人ですべてをこなそうとすると、どちらかの業務が疎かになるリスクも考慮すべきです。業務の優先順位付けや、特定の業務に特化する戦略も必要になります。
2.登録・維持にかかるコスト
行政書士として業務を始めるには、各都道府県の行政書士会を通じて、日本行政書士会連合会への登録を行う必要があります(※4)。
この時、登録手数料や入会金、年会費といったコストが発生します。例えば、東京都行政書士会の場合、登録時の費用は約28万円、登録後にかかる会費は年間で約9万円です。内訳は以下のようになります(金額に政治連盟会費を含めていますが、入会は任意となります)。
【登録時費用(2025年11月現在)(※5)】
- 登録免許税:3万円
- 登録手数料:2万5,000円
- 入会金:20万円
- 会費(3ヶ月分を前納):2万1,000円(東京都行政書士会:月6,000円×3か月分、東京行政書士政治連携会費:月1,000円×3か月分)
【会費(2025年11月現在)】
- 東京都行政書士会:7万2,000円(月6,000円)
- 東京行政書士政治連盟会費:1万2,000円(月1,000円)
- 所属する支部により別途会費あり(例 中央支部:年6,000円(月500円)(※6))
(※4)行政書士法第六条、第六条の二(行政書士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004#Mp-Ch_3-At_6
(※5)東京都行政書士会|登録・入会のご案内 Ⅱチェックリスト(PDF7/31)6ページ目
https://www.tokyo-gyosei.or.jp/registration/pdf/entry-guide.pdf
(※6)東京都行政書士会中央支部|支部会費納入先の御案内
https://www.chuo-gyosei.tokyo/archives/1429/
3.運営上の注意点と他士業との業務範囲
事務所には「税理士事務所」と「行政書士事務所」の両方の名称を掲示することが求められる場合があります。
また、業務範囲の線引きも重要です。会社設立では、法務局への提出書類の作成や登記申請の代理は司法書士の独占業務となります。他にも、紛争性のある法律事務は弁護士の領域となります。こうした他士業の業務を侵害しないよう、コンプライアンスの徹底が求められます。
税理士が行政書士になるための手続き
税理士資格を持つ方が行政書士として登録するための具体的な手続きを解説します。
行政書士試験の免除
最大のメリットは、行政書士試験が免除される点です。行政書士法では、税理士となる資格を有する者は、行政書士となる資格も有すると定められています(※7)。これにより、難関試験を受験することなく、登録手続きのみで資格を取得できます。
(※7)行政書士法第二条第五号(行政書士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004#Mp-Ch_1-At_2
行政書士の欠格事由
ただし、行政書士法には「欠格事由」が定められており、これに該当する場合は登録できません(※8)。主な事由は以下の通りです。
未成年者
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
拘禁刑以上の刑に処せられてから3年を経過しない者
公務員で懲戒免職処分を受けてから3年を経過しない者
税理士法などにより業務禁止の懲戒処分を受けてから3年を経過しない者
ご自身が該当しないか、事前に条文を確認することが重要です。
(※8)行政書士法第二条の二(行政書士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004#Mp-Ch_1-At_2_2
登録申請の流れと必要書類
登録は、事務所を設置する都道府県の行政書士会を通じて行います(※9)。
申請書類の準備:都道府県の行政書士会から申請書類を取り寄せ、記入します。
書類の提出:登録申請書、履歴書、誓約書、住民票、身分証明書、税理士資格の証明書類(税理士証票の写し等)などを提出します。
審査:行政書士会による審査が行われます。
登録:審査後、日本行政書士会連合会の名簿に登録され、登録証が交付されます。
費用は登録免許税(3万円)のほか、各行政書士会が定める登録手数料や会費などが必要です。詳細は登録を希望する行政書士会のウェブサイトで確認してください。
(※9)行政書士法第六条の二(行政書士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004#Mp-Ch_3-At_6_2
行政書士とのダブルライセンスで描く事務所の未来と成功への道筋
税理士が行政書士資格を取得することは、ワンストップ対応による提供価値の向上や新規顧客の獲得など、事務所経営に多くの好影響をもたらす可能性を秘めています。特に会社設立や許認可申請は税理士業務との親和性が高く、大きな相乗効果が期待できます。
一方で、業務負荷の増大や維持コストといった現実的な課題も存在します。ダブルライセンスという選択肢が、ご自身の事務所のビジョンや専門性、顧問先のニーズと本当に合致しているかを冷静に見極めることが大切です。自身の強みを最大限に活かせる道を選択し、顧問先からさらに信頼される専門家を目指していきましょう。
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(この記事は、生成AIによって作成された原稿を基に、編集者が内容の正確性・構成を精査し、最終的な調整を行っています。)



