税理士法違反の事例とリスク管理体制について

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税理士事務所を運営する上で、法令遵守は最も重要です。しかし日々の業務では、意図せず税理士法に抵触するリスクが常に潜んでいます。

本記事では、税理士法違反の代表的な事例や懲戒処分の実態を確認し、信頼される事務所であり続けるためのリスク管理体制について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.税理士法違反のリスクとその影響
    1. 1.1.増加する懲戒処分と税理士に求められる高い倫理観
    2. 1.2.懲戒処分の種類と深刻な影響
    3. 1.3.税理士法の基本精神
  2. 2.【シーン別】注意すべき税理士法違反の代表例
    1. 2.1.業者との関係:名義貸し・非税理士との提携
    2. 2.2.顧問業務:脱税相談等・調査妨害
    3. 2.3.事務所運営:守秘義務違反・自己脱税等
    4. 2.4.従業員の不正と監督責任
  3. 3.違反発覚後の流れと懲戒処分の実態
    1. 3.1.調査から懲戒処分の決定まで
    2. 3.2.令和5年改正で厳格化された「懲戒逃れ」への対応
    3. 3.3.官報公告がもたらす信用の失墜
  4. 4.違反を未然に防ぐ事務所の予防策
    1. 4.1.所長自身の倫理観の再確認
    2. 4.2.所内のチェック体制を構築する
    3. 4.3.職員教育の徹底
    4. 4.4.顧問先との健全な関係構築
  5. 5.法令遵守は、信頼される事務所であり続けるための礎

税理士法違反のリスクとその影響

コンプライアンスに対する社会の目は年々厳しくなり、税理士にはこれまで以上に高い倫理観が求められています。税理士法違反がもたらす影響の大きさを理解することが重要です。

増加する懲戒処分と税理士に求められる高い倫理観

近年、税理士や税理士法人への懲戒処分は少なくありません。国税庁の公表データによると、令和6年度には64件の懲戒処分等が行われました(※1)。これは、国税庁等が不正行為に厳正な姿勢で臨んでいることの表れです。税務の専門家として、私たちは常に高い倫理観を持ち、法令を遵守することが社会から強く求められています。


(※1)国税庁|税理士等に対する懲戒処分等
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/chokai/chokai.htm

懲戒処分の種類と深刻な影響

税理士法違反に対する懲戒処分は、違反の態様等に応じて3種類に区分されます(※2)。

  • 戒告:将来を戒める通知です。最も軽い処分であり、業務は継続できます。

  • 2年以内の税理士業務の停止:停止期間中、税理士業務を行うことはできません。

  • 税理士業務の禁止:税理士登録が抹消される最も重い処分です。処分を受けた日から3年経過日まで税理士登録ができません。

いずれの処分も官報に氏名や事務所所在地などが公告される対象となり、社会的信用を大きく損ないます(※3)。特に業務停止や業務禁止は、事務所の存続を揺るがす深刻な事態です。


(※2)税理士法第四十四条(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_5-At_44
(※3)税理士法第四十七条の四(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_5-At_47_4

税理士法の基本精神

税理士法第1条では、税理士の使命を「独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」と定めています(※4)。「知らなかった」という言い訳は通用しません。この基本精神に立ち返り、日々の業務を遂行する姿勢が重要です。


(※4)税理士法第一条(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_1-At_1

【シーン別】注意すべき税理士法違反の代表例

実際の業務で起こりやすい違反事例を具体的に見ていきましょう。どのような行為が違反にあたるのかを正しく理解することが、リスク回避の第一歩です。

業者との関係:名義貸し・非税理士との提携

税理士でない者が税理士業務を行うことは固く禁じられています(※5)。特に注意すべきは、こうした違反に関わる非税理士に「名義貸し」をする行為です(※6)。たとえば、無資格者や業務停止中の非税理士が作成した税務申告書を、税理士がそのまま自身の名で署名して提出する行為などが該当します。
また、税理士法違反にはあたりませんが、日本税理士会連合会では「非税理士との提携の禁止」とし、無資格で税理士業を行う非税理士から業務のあっ旋を受けることを禁止しています(※7)。


(※5)税理士法第五十二条(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_7-At_52
(※6)税理士法第三十七条の二(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_4-At_37_2
(※7)日本税理士会連合会|関連情報「日本税理士会連合会会則」
https://www.nichizeiren.or.jp/nichizeiren/about/

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顧問業務:脱税相談等・調査妨害

脱税や不正還付の相談に応じたり、故意に事実と異なる申告書を作成したりすることは重大な違反行為(脱税相談等)です(※8)(※9)。たとえ顧問先の依頼であっても、安易な判断は取り返しのつかない事態を招きます。また、税務調査を妨害したり、顧問先に虚偽の答弁を指示したりする行為は、税理士法上の信用失墜行為の一つとして、懲戒処分の対象となり得ます(※10)。


(※8)税理士法第三十六条(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_4-At_36
(※9)税理士法第四十五条(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_5-At_45
(※10)税理士法第三十七条(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_4-At_37

事務所運営:守秘義務違反・自己脱税等

税理士には、業務上知り得た秘密を守る義務が課されています(※11)。SNSなどでうっかり顧問先の情報を漏らすことがないよう日頃から注意が必要です。また、税理士自身による脱税や、多額かつ反職業倫理的な申告漏れは「信用失墜行為」の一つにあたり、これもまた違反となります(※12)。


(※11)税理士法第三十八条(税理士法 e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_4-At_38
(※12)税理士法第三十七条(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_4-At_37

従業員の不正と監督責任

税理士には、従業員に対する監督義務が存在します(※13)。そのため、従業員の不正行為の責任は所長税理士にも及び、懲戒処分や損害賠償の対象になる可能性があります。従業員の不正行為を知らなかったとしても、内部管理体制や監督体制に不備があれば責任を問われることに注意が必要です。


(※13)税理士法第四十一条の二(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_4-At_41_2

違反発覚後の流れと懲戒処分の実態

万が一、税理士法違反の疑いが生じた場合、どのようなプロセスで処分が決定されるのかを把握しておきましょう。

調査から懲戒処分の決定まで

税理士法違反が認められた場合、財務大臣は本人に対する聴聞や弁明の機会を設け、国税審議会への諮問を経て懲戒処分の決定を行います。処分が決定すれば、その旨を理由とともに書面で対象の税理士に通知することとされています。(※14)。


(※14)税理士法第四十七条第四項、第五項(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_5-At_47

令和5年改正で厳格化された「懲戒逃れ」への対応

(修正案)以前は、現役の税理士だけが懲戒処分の対象であったため、処分前に税理士登録を抹消する、いわゆる「懲戒逃れ」を行うことが可能でした。しかし、令和5年4月1日施行の改正税理士法では、元税理士の在職中の違反行為も10年は処分対象となり、逃げ切ることは事実上不可能となりました(※15)。違反行為に厳しく対処するという国からの明確なメッセージです。


(※15)国税庁|税理士等に対する税理士法に 基づく調査環境が変わります!
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0022003-155.pdf

官報公告がもたらす信用の失墜

懲戒処分を受けると、その事実は官報に公告されます(※16)。インターネットで誰でも閲覧できるため、既存顧問先の契約解除や新規獲得の困難など、事業の根幹を揺るがす事態に直面します。一度失った信用を取り戻すのは非常に困難です。


(※16)第四十七条の四(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_5-At_47_4

違反を未然に防ぐ事務所の予防策

事務所の規模にかかわらず、明日から実践できる具体的な予防策を紹介します。

所長自身の倫理観の再確認

すべての基本は、所長税理士自身の高い倫理観です。税理士法第1条の使命を常に心に留め、判断に迷った際は原点に立ち返りましょう。定期的な研修への参加や同業者との意見交換も、自身を客観視する良い機会となります。

所内のチェック体制を構築する

業務の属人化は、ミスや不正の温床です。申告書の作成から提出までの業務フローを可視化し、必ず複数の目でチェックする体制を構築しましょう。ダブルチェックやトリプルチェックの仕組みをルール化することで、ヒューマンエラーや不正を防止できます。

職員教育の徹底

職員一人ひとりのコンプライアンス意識を高めることも不可欠です。税理士法や守秘義務などについて定期的に所内研修を実施しましょう。入所時に守秘義務に関する誓約書を取り交わすなど、法令遵守が重要なルールであることを明確に示します。

顧問先との健全な関係構築

顧問先からの無理な依頼には、毅然とした態度で「できない」と伝える勇気が必要です。法令を根拠に丁寧に説明することで、専門家としての信頼を損なうことなく、健全な関係を維持できます。

法令遵守は、信頼される事務所であり続けるための礎

税理士法違反のリスク管理は、単に懲戒処分を回避するための守りの施策ではありません。それは、税理士の使命を全うし、社会からの信頼を得て事務所を成長させるための攻めの基盤です。日々の業務に潜むリスクを正しく認識し、事務所全体でコンプライアンス意識を高める仕組みを構築することが、顧問先から選ばれ続ける事務所であるための第一歩となるでしょう。

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(この記事は、生成AIによって作成された原稿を基に、編集者が内容の正確性・構成を精査し、最終的な調整を行っています。)

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