公認会計士は税理士試験が免除に?制度の要件とキャリア戦略
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公認会計士と税理士は、どちらも会計・税務分野における高度な専門職ですが、両者の間には試験の免除制度が存在します。この制度をうまく活用することで、キャリアの可能性を大きく広げることができます。
この記事では、公認会計士の税理士試験免除制度の概要、具体的な登録要件、ダブルライセンスのメリット・デメリット、そして資格を最大限に活かすためのキャリア戦略まで詳しく解説します。
目次[非表示]
公認会計士と税理士の試験免除制度
まず、両資格の試験における免除制度の全体像を整理します。
公認会計士資格による税理士試験の免除
公認会計士、または公認会計士となる資格を有する方は、税理士試験を受けなくても税理士登録ができます。これは、税理士法第三条第一項で「公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)」が税理士となれる資格者として定められているためです。(※1)。
現役の公認会計士や有資格者であれば税理士試験の全科目が免除され、税理士登録をするのみで税理士として業務を行えるようになります。
(※1)税理士法第三条(税理士法 | e-Gov 法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237#Mp-Ch_1-At_3
2017年の制度改正による変更点
以前は、公認会計士であれば無条件で税理士登録が可能でした。しかし、税理士法等の改正により、2017年4月1日以降の公認会計士試験の合格者が税理士登録を行うには、公認会計士法上の実務補習団体等が実施する研修のうち、国税審議会が指定する税法に関する研修を修了することが義務付けられました(※2)
これにより、公認会計士の実務補習にて実施される税法科目の研修について、考査の合格要件が追加されるなどの改正が行われました。
この改正は、税理士として十分な知識と能力を担保する目的で導入されたものです。
(※2)日本公認会計士協会|国税審議会における実務補習の指定について
https://jicpa.or.jp/news/information/2016/20160624vjy.html
資格登録・試験免除の要件と手続き
公認会計士が税理士登録する場合
登録要件
- 公認会計士であること(公認会計士となる資格を有する者を含む)
- 税理士法第4条の「欠格条項」および第24条の「登録拒否事由」に該当しないこと
手続きの流れ
- 税法研修の受講・修了税法研修を含む公認会計士の「実務補習」を受講し、修了考査に合格します。
- 申請書類の準備税理士登録申請のための書類を準備します。必要となる書類は、税理士登録区分によって変わるため、日本税理士会連合会の「税理士登録の手引」で確認しましょう。
- 申請申請書類を、税理士事務所の所在地を管轄する税理士会に提出します。登録手数料(5万円)の納付は、提出先の税理士会が指定する方法で行います。
- 審査・登録税理士会の調査(面接調査など)を経て、日本税理士会連合会の審査で問題がなければ登録が決定されます。
(※3)税理士登録の手引|Ⅱ 登録申請(PDF 10/51)6ページ目
https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/doc/cpta/system/entry/howto/entrymanualR7.pdf
公認会計士が税理士登録をするメリット
公認会計士が税理士登録をすることで、実務的・戦略的なメリットが生まれます。
税務の独占業務で提供価値が向上
税理士登録により、独占業務である「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」を行えるようになります。これにより、監査やコンサルティングに加え、税務申告や税務調査対応までワンストップでサポートでき、顧問先からの信頼を高めることができます。
監査と税務の両輪で経営課題に深く関与
公認会計士としてのマクロな視点と、税理士としてのミクロな視点を併せ持つことで、顧問先の経営課題に多角的なアドバイスが可能になります。例えば、設備投資において、会計上の減価償却だけでなく税務上の優遇措置も踏まえた最適な提案ができます。
独立開業やキャリアチェンジの選択肢が拡大
監査法人でのキャリアだけでなく、その先の選択肢が大きく広がります。税理士として顧問契約を結ぶことで安定した収益基盤を築きやすくなり、独立開業のハードルが下がります。独立時の資金調達に関する詳細は「開業税理士が融資を受ける際の融資元の選択肢とは」も参考にしてください。
また、事業会社のCFO(最高財務責任者)への転職市場でも、会計と税務に精通した人材は高く評価されます。
税理士登録の注意点と実務上の課題
多くのメリットがある一方、登録前に検討すべき注意点や課題も存在します。
税務実務の経験不足
税理士試験は免除されても、税務の実務経験はゼロからのスタートです。法人税申告書の作成や税務調査対応など、実務でしか学べない知識は数多くあります。税理士法人で経験を積んだり、研修に積極的に参加したりして、知識を補う努力が必要となります。
会計士と税理士で求められる思考の違い
公認会計士の監査業務では、会計基準に照らした「適正性」を判断し、ある程度の裁量が認められます。一方、税務は「租税法律主義」に基づき、法律の条文に厳密に従うことが求められます。この思考プロセスの違いへの適応が求められます。
維持コストと責任範囲の増大
ダブルライセンスの維持には、公認会計士協会と税理士会、両方の年会費が必要です。また、双方の研修義務を果たす時間的コストも発生します。業務範囲の拡大は責任範囲の拡大も意味するため、常に最新の税制を学び続ける覚悟が求められます。
ダブルライセンスを活かすキャリア戦略
メリットと課題を踏まえ、ダブルライセンスを活かすキャリア戦略を紹介します。
独立開業:監査経験を強みとした差別化
独立開業を目指す場合、監査法人での経験は大きな強みです。M&Aや事業承継など、高度な会計知識が求められる税務分野で専門性を発揮すれば、他の税理士事務所と差別化できます。IPO支援と税務顧問をセットで提供するなど、独自のポジションを築けるでしょう。
勤務:法人内での専門性とポジションの確立
大手税理士法人や監査法人内の税務部門では、会計と税務の架け橋となる「ブリッジ人材」として独自の価値を発揮できます。税効果会計や組織再編税制に関するアドバイザリー業務など、両方の知見がなければ担当できない専門領域で活躍の場が広がります。
事業会社:CFO・経営企画としての活躍
成長企業やグローバル企業において、CFOや経営企画部門の責任者として経営の中枢を担うキャリアも有望です。M&Aや海外進出といった重要な経営判断において、財務リスクと税務リスクを同時に評価し、最適な意思決定を導くことで企業価値の最大化に貢献できます。
自身のキャリアプランに最適な資格取得を目指そう
公認会計士の税理士試験免除制度は、キャリアの可能性を飛躍的に高める有効なツールです。公認会計士が税理士登録をすれば、業務範囲の拡大や多様なキャリアパスといったメリットを享受できます。
しかし、税務実務のキャッチアップや維持コストといった課題も存在します。大切なのは、この制度を単なる近道と捉えず、自身の長期的なキャリアプランの中にどう位置づけるかを戦略的に考えることです。ご自身の強みを最大限に活かせる道筋を描き、最適なキャリア形成を目指していきましょう。
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(この記事は、生成AIによって作成された原稿を基に、編集者が内容の正確性・構成を精査し、最終的な調整を行っています。)



