デロイト トーマツ税理士法人が挑む、医療クライアント業務のDX。
「松山モデル」で実現した標準化と工数20%削減の軌跡

デロイト トーマツ税理士法人

ヘルスケア担当 (松山事務所長)
宮内 幹太様(写真左から2番目)

ヘルスケア担当 (札幌事務所長)
小嶋 誠也様(写真右から2番目)

事務所規模:1,164名
所在地:東京都千代田区
課題:業務効率化、組織マネジメント
業界トップクラスのデロイト トーマツ税理士法人の中でも、医療機関・クリニックへのサービスに強みを持つ松山事務所。しかし、その現場は、「紙資料」と「属人化」というアナログな課題に直面していました。

彼らはfreeeをどのようにして活用し、「医療特有の税務課題」をクリアしたのか。そして、松山から全国へ展開しようとしている「次世代のモデル」とは──。

プロジェクトを主導した宮内 幹太様、小嶋 誠也様に、お話を伺いました。

松山の現場から、全国の「ミドルマーケット」へ

――まず初めに、お二人の自己紹介と、今回のプロジェクトにおける役割を教えていただけますでしょうか。

宮内 幹太様(以下、宮内): デロイト トーマツ税理士法人 松山事務所長の宮内です。 松山事務所は、グループ内でも珍しくクリニックへのサービス提供実績が豊富な拠点なのですが、現場ではアナログな課題も抱えていました。今回は、ここにある課題をfreeeの活用によって克服し、全国展開するためのパイロット拠点として、私が現場の指揮を執りました。

小嶋 誠也様(以下、小嶋): 札幌事務所長を務めている小嶋です。 私は前職でヘルスケア特化の会計事務所にいた経験があり、現在はヘルスケア担当としても活動しています。 今回の私の役割は、宮内さんたちが松山で確立した効率化モデルを、全国の拠点へ横展開することです。


「局所的な対応」から「全国展開」へ。DXが不可欠だった理由

――まずは、今回のプロジェクトが立ち上がった背景からお聞かせください。

宮内: 背景には、デロイト トーマツ税理士法人としての戦略がありました。
これまでデロイト トーマツ税理士法人では医療機関へのサービス提供を行ってきましたが、クリニック向けの記帳業務については、採算面の課題もあり松山事務所などが局所的に対応しているに留まっていました。
クリニックのライフサイクル(開業から承継まで)を一気通貫で支援するためには、「オペレーションの効率化」と「標準化」に取り組む必要がありました。

宮内: 松山の現場は、まさにその課題のど真ん中にいました。
松山事務所は過去のご縁や口コミで医療機関のクライアントが多く集まっています。

一方で、クリニックの多くは、DXがまだ道半ばという現状があります。そのため、経理、給与計算、税務申告といった支援を行う際にも紙資料が多く残っており、どうしてもアナログな作業が発生してしまう状況でした。
スタンドアローン型の会計ソフトを使い、紙資料をパンチ入力する日々。効率化のためにCSV活用などは試みていましたが限界があり、手間がかかる割に生産性が上がらず、業務プロセスの抜本的な見直しが急務となっていました。


なぜfreeeだったのか? 「医療特有の税務」への対応力

――ソフトを導入するにあたり、どこがポイントでしたか?

宮内: まず大前提としてあったのが、「厳しい情報セキュリティ基準をクリアできるか」という点です。 実は数年前にも一度、クラウド会計の導入を検討したことがありました。しかし当時は、弊社の情報セキュリティ基準をクリアすることができず、断念せざるを得ませんでした。
今回の導入に際し、freeeさんとは詳細な要件のやり取りをさせていただきました。その結果、無事に導入することができました。

また、クリニックに対して記帳業務及び税務申告業務を支援するにあたり、「freee申告」との連携と、「医療特有の税務への機能対応」が必要でした。

――医療法人特有の税務処理について、かなり具体的な改善要望をいただきましたよね。

宮内: ええ、ここがクリアできないと実務では使えませんから。 具体的には2点ありました。

1つ目は「法人事業税」です。医療法人は一般法人と異なり、社会保険診療報酬が非課税となるため、課税対象所得と非課税所得を分ける特殊な計算書が必要です

2つ目は「消費税」です。医療機関は課税売上割合が非常に低くなる(数%程度)ため、法人税の計算において「資産に係る控除対象外消費税等(別表16の10)」の損金算入計算が必須になります。

当初、freeeにはこの機能が不足していましたが、私たちが要望を出し、開発側が迅速に機能追加をしてくれた。ちょうどfreee社内でも「業種特化」を進めるタイミングと合致したそうですが、この対応力を見て、「ここなら一緒に走れる」と思いました。

座学ではなく「実案件」で。現場の不安を解消した "伴走支援"

――実際に導入を進めるにあたって、現場のスタッフはfreee未経験だったと思います。抵抗感はありませんでしたか?

宮内: 最初はやはりありましたね。「忙しいのになぜ新しいことを覚えるのか」「大丈夫なのか」という空気は少なからずありました。
そこで効果的だったのが、freeeの導入支援を担当してくださった安藤さんによる「実践型の伴走支援」です。

当初は詳細なカリキュラムを用意していただいていたのですが、我々の「忙しいからスピード感を持ってやりたい」という要望に合わせて、形式的なトレーニングよりも実践を重視し、「freeeの導入に了承をいただいた実際の顧問先のデータを使ってOJT形式で移行作業を行う」というスタイルに切り替えてもらいました。

freee安藤: そうですね。実際に所員さんが担当しているクライアントのデータをその場で使い、「この処理はどう自動化するか」を一緒に設定していきました。自分の担当先が実際に効率化される様子を目の当たりにすることで、「これなら自分でもできそうだ」という実感が湧きやすかったのだと思います。

宮内: 訪問指導以外の時もメール等でタイムリーに相談に乗っていただき、現場の疑問をその都度解消できました。結果として、所員が自発的にfreeeのヘルプを調べて設定を進めるなど、高い自走力が生まれました。


「工数20%削減」を実現へ

――実際に導入されてみて、定量的な成果はいかがでしたか?

宮内: まだ道半ばですが、1クライアントあたりの年間作業工数を約20%削減できる見込みが立っています。
現在数十件を導入していますが、その約半数のクライアントで記帳業務の50%以上が自動化されています。これが「freee申告」まで連動すれば、転記や確認の手間がさらに激減するため、トータルでの削減効果はさらに大きくなると見ています。

また、「標準化」の成果も大きいです。今回、クリニック向けの「標準フォーマット(科目体系や仕訳ルール)」を作成し、展開しました。これにより、担当者の「職人芸」に依存していた処理がなくなり、誰が担当しても同じ品質・同じルールで処理ができる基盤が整いました。

――顧客の皆様も、業務フローの変更や効率化にご協力的だったと伺っています。

宮内:我々は単なる記帳代行ではなく、納税予測やタックスプランニングなど、付加価値の高い提案を行っています。
freee導入によって、紙資料をPDF化して早期返却できたり、タイムリーな数字をもとに精度の高いアドバイスができたりすることは、お客様にとってもメリットです。
付加価値のある業務の比重が高まることで、評価していただけていると感じています。

松山から全国へ。

――最後に、プロジェクトの展望や、今後のfreeeへの機能要望をお聞かせください。

宮内: 機能面では、医療に特化した機能をさらに深めるアップデートに期待しています。 先ほどお話しした「法人事業税」や「消費税(別表16の10)」への対応で、計算の基盤は整いました。
今後は、その周辺業務である「決算届(事業報告書等)」の作成機能の実装も進めていただけると伺っているので、非常に期待しています。ここが会計データと連動すれば、さらに数時間の工数削減が見込めますから。
また、複数の施設を運営するクリニック向けに「部門損益」の表示部門数を増やすなど、現場の運用に即した改善を今後も一緒に進めていきたいです。

小嶋: 私が描いている戦略的な展望は、クリニックの「ライフサイクル全体」を一気通貫で支援する体制の構築です。 クリニックには、開業から始まり、医療法人化、分院展開、そして最終的にはM&Aや事業承継といったライフサイクルがあります。
これまでは、規模の小さいクリニックなどの記帳を伴う業務には採算面の課題がありました。 しかし、freeeによる自動化でここに「コスト競争力」を持たせることができれば、記帳・申告を入り口として関与し、将来的なM&Aや事業承継といった高付加価値なコンサルティングへと繋げていくことができます。

デロイト トーマツ税理士法人

東京都千代田区

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