
BIZARQ株式会社は、税務・会計、法務、労務など、経営に関する幅広い専門サービスをワンストップで提供する総合士業グループです。東京を拠点としながら、全国47都道府県に顧客を持ち、従業員の約8割がリモートワークで全国の経営者を支援。事業売上はこの3年間で0.7億円から379%増の2.8億円へと拡大しています。
今回は、同社の代表であり、freee導入支援プロジェクトにおいて旗振り役を務めた吉岡和樹様にお話を伺いました。最初はfreee導入に抵抗があったものの、実際に利用したことでその本質的価値に気づいたという吉岡様。freeeをどのように経営改革と組織成長につなげたのか、その軌跡を語っていただきました。
課題
導入の決め手
導入後の効果
吉岡 和樹(以下、吉岡):弊社は2021年7月にBIZARQという屋号で、私と同姓の吉岡伸晃とともに共同創業しました。最初は会計事務所としてスタートしましたが、現在は弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士、行政書士といった各分野の専門家が集う総合士業グループとして事業を展開しています。
創業当初から大切にしてきたのが、「専門職である前にサービス業である」という考え方です。問い合わせへのスピード対応などで、お客様に不安を感じさせないことを心がけています。
また、事業を拡大する中で、「お客様により多角的に価値を提供できる体制」も重要だと考えるようになりました。経営の悩みは会計や税務にとどまらず、多岐にわたります。それらに対応するには、異なる専門分野のメンバーが連携し、迅速に支援できる仕組みが必要です。
今はスピード対応に加え、お客様一人ひとりの成長ステージに合わせた支援をグループ全体で実現することをミッションとしています。その中で、すべての入口にあたる会計をしっかりと整え、お客様が経営に集中できる土台をつくる。そうした弊社の方針にfreeeは非常に親和性が高いと思っています。

吉岡:導入前は、業務が「請負型」に偏っていたと感じます。お客様から大量の資料をまとめて受け取り、それを整理して処理する業務が中心で、資料の確認に時間を取られ、肝心のサービス提供がなかなか前に進みませんでした。
事務所メンバーにも大きなストレスがかかっていました。創業時から徐々にスタッフが増えたことや、リモートワークの実施もあり、私自身が原票(証憑)を直接確認しなければならない場面も多かったんです。
リモートワークスタッフの雇用が増えるにつれ、事務所に出勤するメンバーにも大きなストレスがかかってくるようになりました。
事務所スタッフの手が回らず、私自身が原票(証)を直接確認しなければならないような場面すらありました
吉岡:最初にクラウド会計ソフトの導入を提案したのは、共同創業者の吉岡伸晃です。「freeeを試しに入れてみたら便利では」という比較的軽い提案でしたが、私は正直、使い慣れた会計ソフトを変えることに抵抗がありました。
しかし、導入支援プロジェクトの中で実際にfreeeを使ってみて、事務作業から経理、会計、申告まで一気通貫でできることに驚いたんです。その便利さやさまざまな業務へ応用できることへの実感が深まり、freeeの本質的価値が理解できました。
導入支援プロジェクトは2回実施したのですが、1回目では事務所全体への導入が進みませんでした。その原因として、freeeの価値を理解して導入を推進するリーダーが不在だったことがあげられます。そこで2回目は私が旗振り役を務め、初期設定やお客様とのやり取りなどの対応をすべて行いました。導入支援プロジェクトを通じて事務所全体での定着が進んだと感じています。
吉岡:「日常経理に近い」という点です。日々の経理作業が、そのまま決算作成や申告書作成などすべてに連携するように設計されています。
会計事務所の業務は一般的に、決算を固めて申告・納税額を出すという流れが中心ですが、freeeはその前段階の設計さえきちんと整えば、効率的に業務が進む仕組みです。ソフトの設計思想そのものが非常に優れていると感じます。

吉岡:導入前は、非効率な仕組みの中で担当件数が増え続け、スタッフの負担の大きい組織だったと思います。スタッフの離職も相次ぎました。
freeeが定着してからは、人が辞めなくなりましたね。人事労務や会計をfreeeで一元管理することで、スタッフがストレスなく業務を進められるようになったと思います。
残業時間も削減されました。2〜3月の繁忙期を除けば、月の残業は約5時間です。また、リモート環境で活躍できるメンバーが全国に増えています。そうした「働きやすい文化」が少しずつ根づいていきました。

吉岡:私は、経営者にとって一番大切なのは「本業に注力すること」だと考え、その本質を実現できるソフトとして、freeeを推進しています。経営判断のためのデータの統合と活用という点で、freeeほど優れたツールはないと感じます。
経営者が本業以外の業務を手放し、事業に集中できる仕組みを設計することが、新規のお客様に対して私が最初に行う仕事です。多くの経営者がfreeeを「ただの会計ソフト」として捉えているのは本当にもったいない。私はいつも、「もう無駄なことをやめましょう。本業に専念しましょう」と最初の面談で伝えています。
吉岡:理由はいくつかありますが、最も大きいのは請負型の業務からの脱却です。freeeを活用することで、お客様にとって本当に価値のあるサービスを提供できるようになり、その結果、提供価値に見合った顧問料を自信を持って提示できるようになりました。
また、業務設計の見直しにより、月次処理のスピードが格段に向上し、サービス品質も高まりました。その積み重ねがお客様との関係性をより深め、顧問料単価や売上の向上につながっています。
加えて、働き方の面でも意識の変化がありました。私はもともと、コロナ以前から「従業員がリモートで全国のお客様にサービスを提供できる」という考え方を持っていましたが、当時は「東京で優秀な人材を揃えて対面で行うべき」という意見も社内にあったんです。しかし、freeeというクラウド会計ソフトを活用することで、対面でなくても高品質なサービス設計が可能であることを全員が実感しました。その結果、従業員の居住地を問わず、全国のお客様に質の高いサービスを提供できる体制を実現することができました。
こうした積み重ねが「このまま成長し、収益も上げていける」という強い自信へとつながり、それが従業員拡大や顧客拡大といった相乗効果を生み出したと感じています。
吉岡:経営が良くなることです。お客様が経営に集中するには、未来を見通すための数字が欠かせません。freeeは、そのための効率的な情報の統合と吸い上げを実現します。
お客様 からは、「数字が見える化されて、経営に向き合えるようになった」という声を多くいただきます。「当たり前の経営管理」を「当たり前にできる環境」を整える。freeeは、その土台を支える存在です。

吉岡:事業に強い思いを持って取り組む経営者に弊社のメンバーが寄り添い、共に前進していく。そんな関係をグループ全体で築いていきたいですね。
会計は経営の中心にある、最も重要なポイントです。お客様の課題を会計データを通じて把握できていれば、即座に的確な提案ができます。freeeを活用し、お客様との関係性をより深めることで、スピーディーな意思決定を後押しできるはず。そうした支援のあり方を通じて、BIZARQグループとしての存在価値や認知度をさらに高めていきたいと考えています。

【組織マネジメントの解決策】請負型からの脱却を現場はどう実現したか?
BIZARQ株式会社
東京都新宿区
© 2012 freee K.K.