
税理士が集客手段としてSNSを利用する際に意識すべきポイントとは
SNSは、広告費や営業活動に充てられる時間が限られる開業税理士にとっては、低コストで見込み客と繋がることができる有効な手段です。一方で、目的や各SNSの特徴に合わせた運用を意識しなければ効果が出にくく、使い方を誤れば炎上などのリスクも伴います。
本記事では、税理士がSNSを通じて集客成果を高めるために意識すべきポイントや、主要なSNSそれぞれの特徴をわかりやすく解説します。
関連記事:「 開業税理士が新規顧客を獲得するために必要な営業ツール 」
目次[非表示]
- 1.集客手段としてSNSを利用するメリット
- 1.1.SNSを利用する際のポイント
- 1.2.定期的な情報更新を心がける
- 1.3.得意なスタイルで発信する
- 1.4.炎上に注意する
- 2.各SNSの特徴
- 2.1.各SNSのユーザー層
- 3.SNSを上手く活用して集客に繋げよう
集客手段としてSNSを利用するメリット
SNSは、他の集客手段と比較して様々なメリットがあります。
まず、少ないコストで簡単に始められる点が挙げられます。たとえば、ホームページで集客をする場合には、サーバーやドメインの取得、Webデザインといった初期構築が必要になり、スタートまでに一定の時間を要します。
その点、SNSは、無料でアカウントを開設でき、投稿も簡単に始められるメリットがあります。
同様に、更新作業も低コストで容易に行うことができます。
日々の業務や生活でのちょっとした気づきを発信しやすい点も魅力です。
税理士としての姿勢や人柄を伝えることができ、初めて見る人にも親しみやすさや信頼感を与えることができます。
また、見込み客との接点づくりだけでなく、税理士同士や他士業とのネットワークづくりにも活用できます。
たとえば、他の税理士と情報交換をしたり、他士業と連携して合同セミナーを開催したりすることで、業務の幅を広げながら、新たな顧客層を開拓できるチャンスにつながります。
税理士バッジを受け取るタイミング
税理士バッジは、税理士登録後、所属税理士会の証票交付式(伝達式)で、税理士証票とともに交付されます。
なお、希望者は後日、有料で略章(一回り小さな税理士バッジ)の貸与を受けることも可能です。
SNSを利用する際のポイント
SNSは集客に優れたツールですが、効果を得るにはいくつかポイントがあります。ここでは、SNSで集客成果を高めるために押さえておきたいポイントを解説します。
定期的な情報更新を心がける
SNSの情報はタイムラインで流れていくため、過去の投稿はすぐに埋もれてしまいます。そのため、定期的に情報を発信し、自分の存在を見込み客の目に触れやすくすることが大切です。
投稿内容は、経営に役立つ税務や会計に関する情報はもちろん、日々の業務での気づきやちょっとした日常の出来事なども立派な発信素材になります。定期的な情報発信を続けることで、「フットワークの軽い税理士」「意欲的に取り組んでいる税理士」といった好印象を与えることができます。
得意なスタイルで発信する
SNSは、文章や写真、動画など多様な発信方法を選べます。そのため、無理なく続けられるよう、自分が得意な方法で投稿しやすいSNSを選ぶことがポイントです。
たとえば、文章が得意な人は、短文向きのX(旧Twitter)や長文投稿も可能なFacebookが適しているかもしれません。
一方、話すのが得意であれば、YouTubeやTikTokなど動画中心のSNSでの発信が効果的です。
後述する「各SNSの特徴」では、それぞれのSNSがどんなスタイルに向いているかを比較していますので、ご自身に合うSNSを探すヒントにしてください。
炎上に注意する
SNSは、自分の意見や考えを気軽に発信できる一方で、内容によっては「炎上」するリスクがあります。特に注意が必要なのは、他者への言及や批判に見える表現です。
価値観の異なる様々なユーザーが利用するSNSでは、意図せず誤解や不快感を与えてしまうことがあります。投稿する前に、必ず客観的な目で投稿内容を見直すようにしましょう。政治や思想などに関わるセンシティブな投稿や、飲酒後の投稿は、避けたほうが無難です。
各SNSの特徴
各SNSは、ユーザー層や投稿スタイルに特徴があり、どのツールを選ぶかによってアプローチできる層や効果にも違いが生じます。代表的なSNSのユーザー層や特徴について説明します。
各SNSのユーザー層
最初に、ユーザー層の違いを確認してみましょう。
以下は、全国の13歳から69歳までの男女1,500人を対象とした総務省の調査(※1)における、上記SNSの利用率です。(LinkedInは調査対象外)
SNS名 | 全年代 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 男性 | 女性 |
30.7% | 10.0% | 28.1% | 44.4% | 39.3% | 32.6% | 18.9% | 32.8% | 28.5% | |
X 旧Twitter | 49.0% | 65.7% | 81.6% | 61.0% | 47.3% | 37.0% | 19.6% | 49.9% | 48.1% |
56.1% | 72.9% | 78.8% | 68.0% | 57.2% | 51.7% | 22.6% | 48.8% | 63.6% | |
YouTube | 87.8% | 94.3% | 97.2% | 97.1% | 92.0% | 85.6% | 66.3% | 89.6% | 85.9% |
TikTok | 32.5% | 70.0% | 52.1% | 32.0% | 26.8% | 25.4% | 13.0% | 29.2% | 35.9% |
(※1)総務省情報通信政策研究所『令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』|『第5章 各種サービス(ソーシャルメディア系サービス/アプリ、ニュースサービス等)の利用率等』より作成(77ページ、PDF 80 / 110)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000976477.pdf
30代以上の利用が多く比較的年齢層が高いのがFacebook、逆に10代や20代など若年層の利用が多いのがTikTokとなっています。
X、YouTube、Instagramは幅広い世代で利用率が高くなっています。またInstagram、TikTokでは男性よりも女性の利用率が高いのも特徴です。
SNS | 主なユーザー層 | 特徴 | 向いている活用方法 | 注意点 |
30代以上 経営者層 | 実名制で信頼性が高い 長文投稿が可能 | 地域密着型の発信 既存顧客との関係強化 | 拡散力はやや弱め | |
ビジネスパーソン 士業など | 専門性や実績をアピールしやすい | 信頼性構築 同業・異業種との交流 | 日本では利用者数が少ない | |
X 旧Twitter | 幅広い年代 特に20〜40代が多め | 拡散力が高い 短文で手軽な投稿が可能 | トレンド発信 速報性の高い情報 | 誤解や炎上リスクに注意 |
幅広い年代 20代と30代が多め 全体で女性が多め | 写真・動画中心 ビジュアル訴求に強み | 事務所の雰囲気紹介 | 専門的内容の表現は難しい | |
YouTube | 全世代で利用者が多い | 動画での丁寧な説明が可能 | 税制解説 人柄の発信 | 撮影や編集に手間がかかる |
TikTok | 10〜20代を中心とする若年層 | ショート動画が中心 おすすめ機能が強力 | 気軽な税情報 トレンド発信 | アルゴリズムへの理解が重要 |
たとえば、地元の経営者や士業との信頼関係を築きたいならFacebookやLinkedIn、人柄や専門性を動画で伝えたいならYouTube、拡散力を活かしてより多くの人に情報を届けたいならX(旧Twitter)、女性や次世代の経営者層にアプローチしたいならInstagramやTikTokといった具合に、活用目的に合わせて選ぶことが大切です。
SNSを上手く活用して集客に繋げよう
本記事では、税理士がSNSを活用して集客するメリットや注意点、各SNSの特徴について解説しました。
SNSと聞くとインフルエンサーのようにならないと成果が出ないのではと感じる方もいるかもしれませんが、そうではありません。たとえば、同じ地域で活動する他の税理士と差別化できる発信ができれば、それだけでも十分に集客成果につながります。SNSを上手く活用し、見込み客との接点を築くチャンスを広げましょう。
freeeでは、開業後の集客の方法の他にも税理士が独立開業する上で必要な準備について詳しく紹介している 「事務所開業ハンドブック」を提供しています。独立開業を検討中でしたら、ぜひご覧ください。