税理士の独立開業時の挨拶状とは|記載内容と文例を紹介

税理士事務所の開業にあたって、関係者にどのような挨拶状を送ればよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。

かしこまった文章を書くのが苦手でも、基本のポイントさえ押さえれば、しっかりした挨拶状をすぐに作成することができます。

この記事では、税理士として開業する際に挨拶状に記載すべき内容や、実際に使える文例、文書作成の際に押さえておきたいポイントなどを詳しく解説します。

挨拶状を送る相手やタイミングについては、「 税理士開業時の挨拶状を送る相手とタイミング 」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

目次[非表示]

  1. 1.税理士の独立開業時の開業挨拶状とは
    1. 1.1.独立開業時に挨拶状を送ることの効果
      1. 1.1.1.開業の周知
      2. 1.1.2.信頼感の構築
      3. 1.1.3.人脈の維持・再構築
  2. 2.挨拶状に記載するべき内容
    1. 2.1.①前文(時候の挨拶)
      1. 2.1.1.頭語と結語
      2. 2.1.2.時候の挨拶について
      3. 2.1.3.汎用性の高い挨拶文がおすすめ
    2. 2.2.②開業の報告
    3. 2.3.③お礼・今後の抱負
    4. 2.4.④結びの言葉
    5. 2.5.⑤連絡先・事務所情報
  3. 3.開業挨拶状の文例・テンプレート
    1. 3.1.フォーマルなビジネス向け
    2. 3.2.士業・異業種のパートナー向け
    3. 3.3.営業色をやや含んだ顧問先候補向け
  4. 4.記載ポイントを押さえて、開業に向けた一通を準備しよう

税理士の独立開業時の開業挨拶状とは

事務所を開いて新たに事業を始めるときは、お世話になった人や関係者に挨拶状を送ることが、ビジネスマナーとして広く知られています。

税理士として個人事務所を開業する際にも、挨拶状で自身の独立・開業を報告することで、丁寧で誠実な印象を相手に与えることができます。

特に税理士にとっては、「信頼」が何よりも重要です。挨拶状ひとつに心を配れるかどうか、そうした人柄や仕事に対する姿勢を、しっかり見てくれている人が必ずいます。

気の利いた表現や独自性にこだわる必要はありません。基本的な記載内容と、押さえるべきポイントをきちんと理解しておけば、それだけで相手に気持ちが伝わる挨拶状になります。

独立開業時に挨拶状を送ることの効果

税理士が独立開業時に挨拶状を送ることには、次のような効果があります。

開業の周知

開業報告の挨拶状を届けることで、税理士として独立したことを関係者に認識してもらうことができます。そこから、相談を受けたり、税理士を探している経営者の紹介につながったりすることもあります。

信頼感の構築

スマートで失礼のない挨拶状、あるいは温かい気持ちのこもった挨拶状は、「気配りのできる税理士」「誠実で信頼できる税理士」といった好印象を与えるきっかけになります。

人脈の維持・再構築

過去の勤務先、同業者や士業仲間、取引先などの関係者に挨拶状を送ることで、「これからもお付き合いを大切にしたい」という気持ちを伝えることができます。また、疎遠になっていた相手との関係を再構築するきっかけにもなります。

挨拶状に記載するべき内容

「挨拶状に何を書けばいいのか分からない」という方も、以下の5つのポイントを順に押さえれば、きちんとした挨拶状に仕上がります。

①前文(時候の挨拶)

最初は「拝啓 ○○の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」など、時候の挨拶から始めます。定番の型があるので、難しく考える必要はありません。

頭語と結語

頭語の「拝啓」は、より丁寧な「謹啓」を使う人もいます。どちらでも問題ありませんが、対応する結語が異なります。

【頭語と結語の対応】

  • 拝啓→敬具
  • 謹啓→謹白

時候の挨拶について

時候の挨拶は、月ごとに合う表現を使用します。たとえば、1月なら「新春の候」、4月なら「春暖の候」などがあります。

汎用性の高い挨拶文がおすすめ

「ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」は、ビジネスシーンにおいて使いやすい挨拶なのでおすすめです。「ますます」は「益々」でも問題ありません。
なお、「貴社ますますのご発展のこととお慶び申し上げます」は、丁寧な印象はありますが個人宛てには適さないため、相手によって文面を変えなければならなくなることに注意が必要です。

②開業の報告

続いて、「このたび○○税理士事務所を開業いたしました」など、開業したことをシンプルに知らせます。事務所名の前に「念願の」「念願でありました」などを添えて気持ちを込めても構いません。
挨拶状では、この報告の直前に「さて 私こと」や「さて 私儀」という言葉を置くことが通例となっています。「私事で恐縮ですが」という意味合いで用いられるため、謙虚な印象を与えます。一般的には改行し、縦書きでは文末に、横書きでは右寄せにして、文頭にならないようにします。

③お礼・今後の抱負

開業の報告に続けて、短くお礼や抱負を添えると、文章に気持ちがこもり、より印象がよくなります。
お礼であれば、たとえば、「この日を迎えることができましたのも 皆様の温かいご指導との賜物と心より感謝申し上げます」などの文面があります。
続けて、今後の抱負としては、たとえば、「今後は地域の皆さまに信頼される事務所を目指します」「税務・会計を通じて中小企業の成長を支援してまいります」などのように、税理士の専門性や業務の特殊性に触れると、より専門家らしい印象を与えられます。顧客候補や士業仲間への挨拶状にもおすすめです。
なお、顧客候補への挨拶状であっても、「顧問先を募集中です!」といった直接的な営業文句は避けるのが基本です。

④結びの言葉

挨拶状の締めくくりは、「今後とも変わらぬご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます」など、今後のお付き合いをお願いする形で締めます。
表現にはいくつかのパターンがあるため、後述のテンプレートも参考にしてください。

⑤連絡先・事務所情報

最後に、事務所所在地、電話番号、メールアドレス、ホームページのURLなど、連絡先の情報を明記します。

開業挨拶状の文例・テンプレート

それでは、税理士の開業で実際に使える挨拶状の文例をご紹介します。
誰に送る場合でも使いやすいフォーマルなタイプ、独立後も良好な関係を築きたい士業や異業種のパートナーに向けたタイプ、ほどよい営業色を含んだ顧問先候補に向けたタイプの3種類でまとめました。

フォーマルなビジネス向け


拝啓 春暖の候 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて 私こと
このたび○○税理士事務所を開業いたしました
これもひとえに皆様方のご支援の賜物と深く感謝申し上げます
今後は地域の皆様に信頼される税務の専門家として精進してまいります
何卒倍旧のご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます
敬具

令和○年○月
○○税理士事務所
代表 ○○ ○○
事務所所在地・電話番号・メールアドレスなどの連絡先

士業・異業種のパートナー向け

拝啓 春暖の候 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて 私こと
このたび △△会計事務所を円満退職し 
○月○日付けで○○税理士事務所を開業する運びとなりました
この日を迎えることができましたのも 皆様の温かいご指導との賜物と心より感謝申し上げます
今後は皆様の良きパートナーとしてご期待に添えますよう 一生懸命努力してまいる所存です
何卒お引き立てくださいますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます
敬具

令和○年○月
○○税理士事務所
代表 ○○ ○○
事務所所在地・電話番号・メールアドレスなどの連絡先

営業色をやや含んだ顧問先候補向け

拝啓 春暖の候 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて 私こと
このたび △△町にて○○税理士事務所を◯月◯日付けで開業する運びとなりました
企業経営に寄り添い 丁寧な税務会計のご支援を通じて 経営者の皆様が安心して事業に専念できる環境づくりをお手伝いしてまいります
ご相談やお困りごとがございましたら どうぞお気軽にお声かけください
今後とも末永いお付き合いのほど よろしくお願い申し上げます
敬具

令和○年○月
○○税理士事務所
代表 ○○ ○○
事務所所在地・電話番号・メールアドレスなどの連絡先

記載ポイントを押さえて、開業に向けた一通を準備しよう

独立開業時の挨拶状は、単なる形式的な通知ではなく、信頼される税理士としての第一歩となる、大切なコミュニケーションツールであり、営業ツールにもなり得るものです。

「何を書けばよいかわからない」と感じる方でも、基本の構成とポイントを押さえれば、きちんと気持ちが伝わる挨拶状を作成することができます。

今回ご紹介したような記載項目や文例を参考にしながら、自分らしい言葉で丁寧に挨拶状を整えていきましょう。それが、信頼される税理士としての第一歩につながります。

なお、freeeでは、税理士の独立開業を目指す方に向けて、開業準備に必要な情報をまとめた 「事務所開業ハンドブック」を提供しております。開業前の不安解消にぜひお役立てください。

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