
大阪に事務所を置き、創業期の経営者のサポートに注力する、蟹山昇宏税理士事務所。同事務所はfreee認定アドバイザー最上位の5つ星を獲得しています。しかし実は、開業当初は他のシステムを利用予定だったそうで、freeeの導入はお客様からの要望がきっかけ。利用を続けるうちにfreeeがかけがえのない存在になっていったといいます。その変化を代表税理士 蟹山昇宏さんに伺いました。
導入の決め手
導入後の効果
蟹山 昇宏様(以下、蟹山):実は当初は他社システムの利用を考えていました。ただ、最初のお客様がfreeeを利用されていたため、お客様のためにfreeeについて勉強していきました。その後もfreeeを使いたいというお客様が多かったことから実質的にfreee一本になり、今ではfreeeに特化して業務を行っています。正直に言うと、私の場合freeeに慣れるまでに少し時間がかかりましたが、慣れればとても使いやすいですし、業務の効率化も進み、今では良いご縁だったと思っています。
蟹山:自動登録ルールや、銀行口座やクレジットカード、POSレジなど外部のシステムとも連携して、自動でデータを取り込むことができる点が、特に喜ばれます。たとえば、レジを締めたらその日の売上が自動で連携されて残高が合っている状態になりますよね。仕訳や転記のミスも減り、経理が圧倒的に効率化されます。
弊所の顧問先には売上高10億円以上の企業もあれば、創業直後の企業もあります。創業まもない時期であれば顧問先の企業では、経営者ご自身やその奥様が経理をされていることがまだ多い状況です。そんななかでfreee会計の「自動での経理」は、従業員を1人雇ったくらいに強力だと思います。

蟹山:freee申告への切り替えは、効率化の取り組みの一環として行いました。背景には人件費を始めとした経費の上昇があります。特に人件費は、家賃と並んで税理士事務所の一番大きな経費で、それがこの20年で40%くらい上がっています。しかし、顧問報酬が同じくらい上がっているかというと、そんなことはありません。おそらく多くの税理士事務所で、経費の上昇を効率化で吸収していると思います。
蟹山:従来は申告作業に1社あたり3時間ほどかかっていたのが、今は1時間~1時間半ほどになっています。現在30~40社を担当しているので、年間約50時間もの削減になっています。
従来のソフトでは、会計ソフトで確定した数字を申告書に手入力していたため、時間もかかりましたし、属人化やヒューマンエラーも課題でした。freee申告では、freee会計との連携により手入力がなくなり、作業時間が削減され、ヒューマンエラーも減りました。
また、freee申告を使うには、freee会計やfreee人事労務で、きれいにデータを入力しておく必要があります。この事前準備の重要性を社内で共有したことで、作業が標準化し、属人化の解消につながりました。これまでは「会計」という箱にきれいなデータを入力するという考え方でしたが、今は「会計」を軸に、そのデータをどう利用するかという考え方で、アウトプットから発想するようになっています。
freee申告はクラウド型なので、アップデートの必要がなく、同時に複数人がログインできるのもありがたいですね。従来のソフトは自分たちでアップデートが必要でしたし、誰かがログインしていると他の人は作業ができなかったのが不便でした。
蟹山:freeeを使うことでお客様とのコミュニケーションも圧倒的に効率化されています。
以前は、お客様と電話やメールで何度もやり取りをして、必要なデータを集めていました。データをUSBで送ってもらうこともありましたね。それが今はfreee上に必要なデータのほとんどが集約され、双方がすぐに確認できます。
たとえば、freee導入前だったら作成に2週間はかかった試算表も、今は経理がきちんと回っていてデータが揃っている企業さんであれば、1日で出すことができます。顧問先の月次決算にかかる時間は、平均2~3日程度になっています。
蟹山:お客様の継続率が高いことが、効果のひとつだと思います。現在の顧問契約が40社ほどで、解約は1~2年に1社あるかないかですね。
弊所の顧問料は、面談の回数と年間売上高によって変わります。一番利用が多いのが、毎月面談があるプランと3カ月に1回面談があるプランです。新設法人の場合、毎月面談のプランで月額45,000円、3カ月に1回面談があるプランで月額35,000円、別途決算報酬が18万円となるので、年間合計60-72万円になります。
料金だけ見れば、弊所よりリーズナブルな事務所は多くありますが、それ以外のところでお客様との関係性を構築できているのだと思います。特に、経営の見える化のサポートなどは、お客様に喜ばれているサービスです。
蟹山:はい。freeeのデータに経営分析ツールを併用することで、過去の話だけでなく、「どう成長したいか」という未来の姿をお客様と一緒に話せるようになりました。
たとえば、経営者の「3年後のありたい姿」をヒアリングして、「売上1億5,000万円にしたい」「従業員は15人にしたい」といった数字を、1年後、2年後と少しずつ数値化し、中期経営計画を立てることも可能です。
こういった話は、私もワクワクしますし、お客様もワクワクしてくださいますね。数字を見える化することで、経営者が「もっとアクセルを踏んだ方がいいのか」「ブレーキも大事だな」といった判断ができるようになります。また「会計をきちんとしないと、この数字は成り立たないんだ」という気づきから、会計の数字が精緻になり、さらに精緻な分析が可能になります。
こういったサポートが、「5年先を見てくれる税理士」といった評価になり、お客様からの信頼にもつながっているのかもしれません。

蟹山:税理士という仕事は、すごく面白く、やりがいのある仕事です。
私自身のキャリアを振り返ってみると、税理士としての原体験となっているのが、最初に就職した個人の税理士事務所での経験です。そこで顧問先の経営者と直接顔を合わせて税務のお悩みを解決していった経験から、創業期の経営者をサポートしたいという思いを持つようになったんです。
その後、中堅規模の税理士法人と総合型の大手税理士法人に勤務して、町の税理士が扱わないような高度な業務も経験しました。しかし、私個人は経営者と二人三脚で会社を大きくしていくような案件のほうが向いていると感じ、独立しました。
2019年1月に事務所を設立してから今に至るまで、「大阪を代表する税理士事務所を作る」という思いが強くあります。お客様やスタッフから「大阪にこの事務所があってよかった」と心から言われるような存在になりたい。
そのために大切にしているのが、お客様にできる限り寄り添うことです。最新の税法の知識やfreeeのようなテクノロジーも駆使しつつ、人と人とのつながりを大切に、お客様の挑戦を支え、応援しています。
そういった「お客様を良くしたい」という思いを持つ方と、ぜひ一緒に業界を盛り上げていきたいですね。
蟹山:freeeを活用することは、お客様の適切な経営判断を支えるために役立ちます。私自身、導入当初は慣れないこともありましたが、freeeにはユーザー同士のコミュニティがあり、これが習熟に役立ちました。
freeeを使っていると、ただ手を動かして作業するのではなく、頭を使って工夫している感じがします。お客様の未来のことを考えられますし、使っていて「眠くならない」ですね。freeeを軸にいろいろなデータ活用の方法が考えられて、楽しいです。
私にとってfreeeは、お客様の適切な経営判断を支えるための、パートナーのようなかけがえのない存在になっています。
蟹山昇宏税理士事務所
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