税理士試験に独学で合格するのは難しい?理由と勉強法のコツを解説


税理士独学KV

「税理士試験に独学で合格するのは難しい」と言われます。なぜでしょうか。この記事では、税理士試験の概要を確認し、独学が難しいと言われる理由を分析し、それでも独学したい場合のコツをお伝えします。

目次[非表示]

  1. 1.税理士試験の概要
    1. 1.1.基本は年1回の試験
    2. 1.2.会計科目2つと税法科目3つの合格が必要
      1. 1.2.1.会計科目
      2. 1.2.2.税法科目
    3. 1.3.一度合格した科目は永久に有効
  2. 2.「税理士試験で独学は難しい」と言われる理由
    1. 2.1.科目の合格率は10~20%、5科目合格は数%
    2. 2.2.5年~10年かかることが多い
    3. 2.3.試験内容が複雑化・多様化
  3. 3.それでも独学したい人向けの勉強のコツ
    1. 3.1.独学用のテキスト・問題集は専門学校から買う
    2. 3.2.期限を決める
    3. 3.3.模試は必ず受ける
    4. 3.4.SNSなどで情報収集をする
    5. 3.5.周囲にサポートを頼む
  4. 4.まとめ:独学でも工夫で合格は可能

税理士試験の概要

税理士試験には、次のような特徴があります。

基本は年1回の試験

税理士試験の開催は、次のように定められています。

参照:税理士法|e-gov

このように規定されていますが、実際の税理士試験は年1回、毎年8月上旬頃に行われます。

会計科目2つと税法科目3つの合格が必要

税理士試験は会計科目と税法科目から構成されます。この中で5科目に合格しなくてはなりません。具体的には次の通りです。

会計科目

  • 簿記論
  • 財務諸表論

この2つは必修科目です。両方に合格しなくてはなりません。

税法科目

  • 法人税法
  • 所得税法

  • 相続税法

  • 国税徴収法

  • 消費税法または酒税法

  • 固定資産税

  • 住民税または事業税

上記のうち、法人税法と所得税法は選択必修科目です。最低でもどちらか一方には合格しなくてはなりません。残りの1科目あるいは2科目は他の科目から選べます。ただし、消費税法と酒税法の両方を受験することはできません。どちらか一方のみとなります。住民税と事業税も同様です。

一度合格した科目は永久に有効

会計科目・税法科目問わず、一度合格した科目については永久に有効です。「一定期間を過ぎたら合格の効力がなくなり、再受験しなくてはならない」といったことはありません。そのため、5科目すべてに合格し、官報に名前が掲載されるまでに10年以上かかるケースもあります。

なお、税理士試験に合格するだけでは、税理士として登録することはできません。5科目合格の他、2年以上の実務経験を積むことが求められます。

「税理士試験で独学は難しい」と言われる理由

税理士試験は独学で合格するのは難しいと言われます。なぜかというと、次のような事情があるからです。

科目の合格率は10~20%、5科目合格は数%

税理士試験は難易度の高い試験です。例年、科目合格率は10~20%、5科目到達率は2~3%となっています。

税理士試験結果(平成26年~令和4年度)|国税庁」から筆者がグラフ作成


背景には、1科目当たりの学習範囲の広さや複雑さなどがあります。それでも、専門学校なら過去の問題を徹底的に研究しているため、「どの論点だと出題頻度が高いか」「どのように出題されるか」まで押さえた上で教えてくれます。

しかし独学だと、合格する上での重要なポイントがなかなかつかめません。ポイントがつかめなければすべてをまんべんなく勉強するしかありません。結果、勉強の効率が下がり、モチベーションの維持が難しくなってしまいます。

5年~10年かかることが多い

税理士試験は難易度が高いため、5科目すべてを1年で合格することはほぼ不可能です。多くは5~7年かかります。「2年合格」が最短ですが、長ければ10年以上かかることもあります。勉強期間が長ければ長いほど、モチベーションの維持が難しくなります。それでも専門学校なら、講師や受験仲間に相談して何とかなることもあるでしょう。しかし、完全に独りで勉強していると、そういった環境を得られません。

試験内容が複雑化・多様化

税理士試験での出題内容が、年々、複雑化・多様化しています。背景には、経済が多様化していること、これに伴い税制が複雑化していることがあります。税制が複雑になれば、試験内容にも反映されます。

この傾向が顕著に表れているのが消費税法です。筆者が受験した平成21年は、特定期間での納税義務の判定や特定課税仕入れはありませんでした。課税区分を見分けるだけでも大変だったので、今の消費税法にチャレンジしたら受かる自信はまったくありません。

ただ、それでも専門学校なら講師が分かりやすく教えてくれるので、効率よく理解を進めることができます。独学だと、それが難しいかもしれません。

それでも独学したい人向けの勉強のコツ

「独学で合格は難しい」__そう言われても、どうしても独学したい人もいるでしょう。実際、ごくわずかですが、筆者の周囲にも独学で科目合格した人はいます。独学で合格した人は、次の点を意識しているようです。

独学用のテキスト・問題集は専門学校から買う

独学するならテキストや問題集が必要です。これは、専門学校から買いましょう。専門学校の資料コースなら、テキストと問題集だけを購入できます。本当は、通信講座をお勧めしたいところですが、通信での受講すら難しいという状況であれば、専門学校の資料コースでテキストと問題集を取り寄せましょう。

期限を決める

期限を決めて勉強するといいでしょう。「今日はここまで勉強する」「この10分でこのページは覚える」といった勉強そのものの期限の他「次の税理士試験で合格する」といった目標達成の期限も、です。期限を決めると「今しかない」という意識が働き、集中力が高まります。実際、独学で科目に合格した人も「次の税理士試験で受からなかったら税理士になるのを諦める」など、期限を決めていました。

模試は必ず受ける

独学の弱点は「孤独」です。税目を理解するにも、自分自身の能力を頼みにするするほかありません。また、モチベーションを維持するのも大変です。ただ、最近はSNSで他の受験生や合格者、資格者とつながることができます。こういったツールを活用して情報収集をしたり、悩みを打ち明けて励まし合ったりすると、効率よく勉強できるかもしれません。

SNSなどで情報収集をする

独学の弱点は「孤独」です。税目を理解するにも、自分自身の能力を頼みにするするほかありません。また、モチベーションを維持するのも大変です。ただ、最近はSNSで他の受験生や合格者、資格者とつながることができます。こういったツールを活用して情報収集をしたり、悩みを打ち明けて励まし合ったりすると、効率よく勉強できるかもしれません。

周囲にサポートを頼む

税理士試験の勉強はかなり時間を取られます。決して、片手間でできるような勉強量ではありません。また、集中する環境を整える必要もあります。こういったことから、合格するには周囲のサポートが欠かせないのです。「家事や育児、介護を代わってほしい」「週末はどこにも行けないことを了解してほしい」__こういったことに家族が理解を示してくれて初めて勉強に集中できます。

家族の支えが必要なのは、専門学校に通う人でも独学の人でも変わりません。税理士試験の合格を目指すなら、周囲に受験勉強をしていることを伝え、理解を求めましょう。そして、合格したら、ちゃんとお礼を伝えましょう。

まとめ:独学でも工夫で合格は可能

今回は、独学で税理士試験に合格するためのコツをお伝えしました。独学は専門学校に通って勉強するのに比べて、不利にならざるを得ません。しかし、だからといって合格できないわけではありません。実際、筆者の周囲にも「資料だけで合格した」という人が数人います。

独学のよさを活かしつつ、模擬試験などで専門学校ならではのメリットも取り入れながら合格していただければ幸いです。

鈴木まゆ子
鈴木まゆ子
税理士・税務ライター。 中央大学法学部法律学科卒業。ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て、2012年税理士登録。朝日新聞「相続会議」、マイナビ税理士、納税通信などで税務・会計の記事を多数執筆。著書「誰でも簡単インボイス制度が分かる本(MSブック)」など。

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