税理士試験に合格するまでの勉強時間はどのくらい?短期合格のコツも解説!
税理士試験に合格するまでには、たいてい数年かかります。中には10年以上かかることも。しかし、コツさえ押さえれば、短期間での合格も夢ではありません。今回は税理士試験の合格に必要な勉強時間と合格するためのコツをお伝えします。
目次[非表示]
- 1.税理士試験のしくみを確認
- 1.1.会計科目
- 1.2.税法科目
- 1.2.1.所得税か法人税は必ず合格しないといけない
- 1.2.2.片方しか受験できない科目もある
- 2.税理士試験の合格に必要な勉強時間の目安
- 3.税理士試験合格までの勉強時間を短くするコツ①科目選び
- 3.1.関連性の高い科目を選ぶ
- 3.2.相性の合う科目を選ぶ
- 3.3.ボリュームのバランスで選ぶ
- 4.税理士試験合格までの勉強時間を短くするコツ②勉強のスタイル
- 4.1.五感を使う
- 4.2.スキマ時間を使う
- 4.3.時間よりもメリハリと回数
- 4.4.家族の協力を得る
- 5.まとめ
税理士試験のしくみを確認
税理士試験は、税理士になるために必要な学識や応用能力があるかどうかを判定する試験です。税理士法の定めにより、年1回、例年8月上旬に行われます。試験の内容は、会計科目と税法科目から構成されます。会計科目2科目、税法科目3科目に合格して初めて「税理士試験の合格者」となるのです。これに加えて「実務経験2年以上」という要件を充足すれば、税理士としての登録が可能となります。
税理士試験では「どの科目も60点以上であれば合格」とされていますが、配点は明らかにされません。例年、1科目当たり10~20%の合格率です。なお、一度取った科目に有効期限はなく、永久に有効となります。会計科目と税法科目の詳細は次の通りです。
会計科目
会計科目は、簿記論・財務諸表論の2つです。この2科目は必須科目であり、どちらも受からなくてはなりません。
税法科目
税法科目には、次の9科目があります。
- 所得税法
- 法人税法
- 相続税法
- 消費税法又は酒税法
- 国税徴収法
- 住民税又は事業税
- 固定資産税
この中の3科目に合格することが必要です。ただし、次のような条件があります。
所得税か法人税は必ず合格しないといけない
所得税法と法人税法は選択必修科目です。最低限、どちらか1科目は合格する必要があります。
片方しか受験できない科目もある
所得税法と法人税法以外は、選択科目です。所得税法と法人税法の両方に合格したのなら選択科目から1科目を、どちらか一方に合格したのなら2科目に合格することが求められます。ただし、この中でも片方しか受験できない組み合わせがあります。次の4科目です。
- 消費税法又は酒税
- 住民税又は事業税
つまり「消費税法に合格した後、酒税を受ける」「消費税法と酒税の両方を同時に受験する」といったことはできません。
税理士試験の合格に必要な勉強時間の目安
税理士試験の合格に必要な勉強時間は、おおよそ以下のように言われています。
- 簿記論…450~500時間
- 財務諸表論…450~500時間
- 所得税法…600~700時間
- 法人税法…600~700時間
- 相続税法…450~500時間
- 消費税法…300時間
- 酒税法…150~200時間
- 国税徴収法…150時間
- 住民税…200時間
- 事業税…200~250時間
- 固定資産税…250時間
なお、全体の勉強時間は2000時間とも3000時間とも言われます。ただし、こういった勉強時間はあくまでも目安に過ぎません。合格するかどうかは「理解したことを答案用紙にきちんと書けるかどうか」で決まるのであって、勉強時間ではないからです。
税理士試験合格までの勉強時間を短くするコツ①科目選び
税理士試験の科目合格に有効期限はありません。また、税理士試験の科目1つ1つの難易度は高く、1年で受かるのはかなり難しいでしょう。実際、合格までにかかった年数は3年~7年が多く、中には10年以上というケースもあります。
ただ、そうは言ってもできれば早めに合格したいのが人情です。そのためのコツの一つが「科目選び」となります。科目を選ぶ際、次の点を意識するといいでしょう。
関連性の高い科目を選ぶ
たいていの受験生は、1年に複数科目を受験します。このとき、相互に関連性の高い科目を選ぶといいでしょう。関連例が高いと理解が深まりやすく、かつ勉強時間を短縮できるからです。「簿記論と財務諸表論」「所得税法と住民税」といった組み合わせだと、効率よく勉強することができます。
相性の合う科目を選ぶ
効率のよい勉強で重要なのは「勉強していて楽しい」「スッと頭に入る」「やればやるほど興味がわく」といったモチベーションです。こういったモチベーションが働きやすい科目は相性がいいと言えます。科目選びのときは、理論や計算の概要をざっと見て「これなら抵抗なく勉強できそうだ」と感じられるものを選ぶとよさそうです。
ボリュームのバランスで選ぶ
効率よく勉強するのなら、科目のボリュームも意識した方がいいでしょう。ボリュームの多い科目を2つ同時に勉強して理解するのは負担が大きいからです。
例えば、法人税や所得税、相続税といった科目を勉強するケースです。この場合、1科目だけの受験に絞るか、住民税や事業税といったボリュームの少ない科目と組み合わせて勉強するといいかもしれません。
なお「ボリュームが少ない=合格しやすい」ではない点に注意しましょう。「ボリュームが少ない科目は誰もがカバーしやすいため、理解の深さが税理士試験で問われやすい」と言われています。この点も意識しながら科目の組み合わせを考えるとよさそうです。
税理士試験合格までの勉強時間を短くするコツ②勉強のスタイル
短期間で合格するもう1つのコツは、勉強のスタイルです。勉強の仕方を工夫することで、同じ1時間でも効率よく暗記したり、理解を深めたりすることができます。
五感を使う
税理士試験の勉強の一つに「理論暗記」があります。税法の条文を覚える作業ですが、五感を使うと暗記しやすくなります。「歩きながら音読する」「書き出してみる」「録音した音声をシャドーイングする」といった方法をやってみるといいでしょう。ちなみに筆者は、理論の音声CDをシャドーイングして暗記しました。
スキマ時間を使う
税理士試験の受験生の多くは、仕事や家事、育児や介護をこなしながら勉強しています。このような場合「まとまった勉強時間が取れない」のが課題です。
しかし、3分や5分、10分といったスキマ時間を活用し、コツコツ勉強していけば、暗記も計算もそれなりにできます。加えて「5分しかない」という気持ちは集中力を高めます。
電車での移動時間やトイレ、歯みがきなどのちょっとした時間を活用に、少しずつでいいから勉強を進めていきましょう。
時間よりもメリハリと回数
「まとまった勉強時間が取れれば…」と思いがちですが、実は長時間勉強したからと言って、暗記や計算が進むとは限りません。一説によれば「人間の集中力は15分周期であり、90分を過ぎると限界を迎える」と言われています。効率よく勉強するなら、適度な休憩を入れて、メリハリをつけることが大事です。また、暗記も、覚える作業を定期的に繰り返し行った方が定着しやすくなります。
家族の協力を得る
税理士試験の勉強を行うには、家族の理解と協力が欠かせません。限られた環境と時間の中で合格を目指すなら尚更です。家族からの理解もないままに勉強を始めると「家事も手伝わずに勉強ばかりして」「休みの日なのにどこにも連れて行ってくれない」と文句を言われ、家の中が険悪な雰囲気になることがあります。勉強を始めるにあたっては、家族としっかり話し合い、理解とサポートを得られるようにしましょう。
まとめ
今回は税理士試験の勉強時間の目安と短期合格のコツをお伝えしました。とは言え、中には「いつになったら合格するか分からないし、確実に短期間で税理士になりたい!」という方もいらっしゃるかもしれません。そういう方は、税理士試験で会計科目か税法科目の一部を取得し、残りの1~2科目を大学院で一定以上の成績を修めて免除してもらうことを検討してもよいでしょう。