副業で税理士として働く|独立を目指す人の働き方と注意点を解説

働き方の多様化が進むなか、税理士としてのキャリアにも「副業」という選択肢が広がっています。
たとえば、事業会社に勤める会社員が税理士資格を取得し、本業を続けながら週末などの空き時間に税理士として活動するケースも増えています。

「副業で税理士なんてできるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、税理士として副業収入を得る方法は多岐にわたり、本業と両立しながら自分のペースで資格を活かすことは十分可能です。

本記事では、副業としての税理士の働き方やメリット・デメリット、向いている人の特徴を解説するとともに、副業からスタートして段階的に税理士として独立開業を目指すためのヒントもご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.副業税理士としての主な働き方
    1. 1.1.税理士会の税務相談会に出席
    2. 1.2.スポットでの税理士業務の受注
    3. 1.3.メディアでの執筆
    4. 1.4.ブログやYouTubeなどでの情報発信
    5. 1.5.資格学校や大学院での講師
    6. 1.6.会計事務所でのアルバイト
  2. 2.副業で税理士として働くメリット
    1. 2.1.業務量を調整しやすい
    2. 2.2.収入アップになる
    3. 2.3.安定した働き方ができる
    4. 2.4.成果がダイレクトに返ってくる
    5. 2.5.独立開業へのステップアップになる
    6. 2.6.相乗効果による自己成長へ
  3. 3.副業で税理士として働くデメリット
    1. 3.1.時間管理が難しい
    2. 3.2.初期投資や固定費がかかる
    3. 3.3.知識のアップデートが必要になる 
    4. 3.4.専業よりも成長速度は劣る
  4. 4.副業税理士に向いている人・そうでない人
  5. 5.副業から始める税理士の働き方

副業税理士としての主な働き方

税理士資格を活かした副業には、さまざまなスタイルがあります。 自分の得意分野やライフスタイルに合った方法を選ぶことで、本業と両立しながら無理なく続けることが可能です。 ここでは、副業税理士としての代表的な働き方をご紹介します。


税理士会の税務相談会に出席

税理士登録をすると、所属税理士会が主催する税務相談会や確定申告相談会への出席を依頼されることがあります。 こうした相談会に参加すると、通常は数万円の日当が支給されます。 本業の休日と調整しやすく、無理なく取り組める活動です。


スポットでの税理士業務の受注

副業では、継続的な顧問契約よりも、単発のスポット業務が現実的です。 たとえば、相続税申告は発生から10か月以内の提出期限があるため、高単価でありながら本業の合間に対応しやすい業務です。 その他、不動産売却をした会社員の確定申告や、年1回の申告のみ対応する個人・法人との契約も、副業に適しています。

メディアでの執筆

税務・会計・経営関連のメディアと提携し、記事を執筆したり、非税理士による記事を監修したりすることで報酬を得る働き方です。 執筆ペースは調整できる場合が多く、文章が得意な方であれば、空き時間を活用して取り組みやすい副業といえます。


ブログやYouTubeなどでの情報発信

ブログ、note、YouTubeなどで税務情報を発信し、広告収入やアフィリエイト、コンテンツ販売などで収益を得る方法です。 顧問契約のような日常的な対応を必要としないため、本業の合間にも取り組みやすく、副業に向いています。 長期的な収益化を目指して、継続的に発信する姿勢が重要です。


資格学校や大学院での講師

資格学校や大学院などで非常勤講師として働く選択肢もあります。 休日や夜間の授業であれば本業と両立しやすく、自身が通っていた学校から声がかかるケースも珍しくありません。 自身の学習経験やノウハウを活かして教えることができ、やりがいのある副業です。


会計事務所でのアルバイト

スポット業務が重なる時期や繁忙期に人手を求める会計事務所で、土日限定でアルバイト勤務する方法もあります。 自分で集客せずに税理士業務に関われる点や、実務スキルを身につけられる点が魅力です。 実務経験を積みながら、今後のキャリアの選択肢を広げるきっかけにもなるでしょう。


副業で税理士として働くメリット

税理士資格を持ちながら会社員として働く方にとって、副業で税理士業務に携わることは、資格を活かしながら将来のキャリアへつなげる有効な手段です。 収入面はもちろん、働き方の柔軟性や実務経験の蓄積など、多くのメリットがあります。 ここでは、副業税理士として活動することの代表的なメリットをご紹介します。


業務量を調整しやすい

執筆やスポット業務など、税理士の働き方は多様です。 そのため、本業のスケジュールやライフスタイルに応じて、業務量を柔軟に調整できます。 こうした自由度の高さは、副業ならではの大きな魅力です。


収入アップになる

税理士業務は短時間でも高単価が見込めるため、月数万円〜スポット案件で1回10万円程度の収入を得ることも可能です。 努力して取得した難関資格を、着実な収入アップに活かせます。


安定した働き方ができる

独立開業には集客や設備投資、人材確保などの準備が必要で、収入が安定するまで時間がかかります。 一方、副業であれば本業収入があるため、生活の安定を保ちながら自分のペースで業務を進めることができます。 ひとりで完結できる業務に絞れば、コストやリスクも最小限に抑えられます。


成果がダイレクトに返ってくる

副業でも自身の名前で契約し、成果がそのまま報酬に反映される点は、会社員とは異なるやりがいがあります。 限られた時間で成果を出せたときの達成感は大きく、「時間の使い方」や「働き方」への意識も自然と高まります。 また、名刺や紹介の場で「税理士」と名乗れることも大きな自信になります。

独立開業へのステップアップになる

副業として始めた税理士業務は、将来の独立開業に向けた貴重な経験や顧客基盤づくりにつながります。 スポット業務や相談対応をきっかけにリピートや紹介を得ることもあり、徐々に独立の準備が整っていくケースも多く見られます。 本業で収入を確保しながら副業で開業準備を進めるのは、リスクを抑えた現実的なアプローチといえるでしょう。



相乗効果による自己成長へ

副業で得た経験や知識が、本業にもプラスに働くことは少なくありません。 限られた時間で成果を出す工夫は生産性の向上につながり、税務の専門知識は業務の幅を広げます。 また、中小企業の経営者と接する機会を通じて、一般企業で培った「組織視点」を活かすことで、信頼関係の構築にも役立ちます。


副業で税理士として働くデメリット

副業税理士という働き方には多くの魅力がある一方で、注意すべき課題も少なくありません。
本業との両立を前提とする以上、時間・体力の管理、コスト面、知識のアップデートといった備えが必要です。
ここでは、副業として税理士業務を行う際に押さえておきたい主なデメリットを整理します。


時間管理が難しい

フルタイム勤務と税理士業務を並行するには、時間と体調の管理が不可欠です。
自由度の高い副業とはいえ、実務に慣れないうちは想定以上に時間がかかることもあります。
特に繁忙期や急な対応が重なると、心身の負担が増し、体調を崩してしまうことも。
まずは無理のないスケジュールで小さく始め、徐々に業務量を調整していくのが賢明です。


初期投資や固定費がかかる

副業であっても、税理士として活動するには税理士登録と税理士会への加入が必要で、年会費として10万円前後が発生します。
さらに、申告業務などを行う場合には、会計ソフトや申告システムの利用料が必要です。
また、情報発信に取り組む場合には、動画編集ソフトやブログ用サーバーなどの固定費も考慮する必要があります。
スモールスタートでコストを抑える工夫は可能ですが、一定の投資が必要である点は理解しておきましょう。


知識のアップデートが必要になる 

税制は毎年のように改正されるため、常に最新の制度に対応できる知識が求められます。
また、企業の顧問業務を受ける場合には、税務以外にも労務・契約・業界知識など、幅広い周辺知識が必要になります。
副業とはいえ、顧客に正確な情報を提供するには、学習時間や研修費用の確保が不可欠です。


専業よりも成長速度は劣る

副業の場合、扱える案件の数や種類が限られるため、専業税理士に比べてスキルアップのペースが遅くなりがちです。
特に、税務調査対応や事業承継、M&Aなど高度な業務は、経験の蓄積が重要であり、副業では十分な機会を得にくいことがあります。
とはいえ、限られた時間の中でも丁寧に案件に取り組み、少しずつ経験を積み重ねる姿勢が、将来的な独立開業への大きな力になります。


副業税理士に向いている人・そうでない人

副業税理士に向いているのは、現在の会社員としてのキャリアや安定した収入を維持しつつ、税理士としての活動にも挑戦したいという思いを持つ人です。
一方で、専業での活躍を視野に入れている方には、早期に経験を積める環境が必要になることもあります。

以下の比較表では、将来のキャリアや収入、働き方・実務経験に対する希望に応じて、「副業に向いているタイプ」と「専業に向いているタイプ」の違いをまとめています。

判断項目

副業に向いているタイプ

専業に向いているタイプ

将来の

キャリア

現在のキャリアを大切にしながら税理士にも挑戦したい

将来的には税理士として独立したい

収入

現在の収入や福利厚生を保ちつつ、副収入を得たい

現在の収入・待遇に満足しておらず、フルコミットしたい

働き方・

実務経験

  • 税理士業務(独占業務)や税務顧問業にこだわらない
  • 無理なく知識を活かしながら経験を積みたい
  • 税理士業務や税務顧問業で専門性を追求したい
  • 実務をより多く経験し、早く一人前になりたい

なお、専業向きのタイプであっても、最初から独立や転職を目指すのではなく、まずは会計事務所でのアルバイトなど、副業という形で業務に携わってみるのも一つの方法です。
実際に税理士としての業務を体験することで、自分に向いているかどうか、今後続けていけるかを見極めることができます。

副業から始める税理士の働き方

本記事では、副業税理士としての働き方や、メリット・デメリット、向いている人の特徴などについて解説しました。
副業であれば、本業の安定を保ちつつ、税理士としてスモールスタートが可能です。自分のペースで業務に取り組めるため、無理なく実務経験を積みながら、信頼や実績を着実に築いていくことができます。

また、副業での経験は、将来的な独立開業を見据えるうえでも大きな財産になります。スポット業務からのリピートや紹介によって顧客基盤が広がるケースも多く、副業は税理士として独立開業への足がかりとして、現実的かつ有効な選択肢といえるでしょう。

まずは自分に合ったスタイルで、税理士資格を活かしながらキャリアの幅を広げていくことが大切です。

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