究極の業務標準化を目指して
東京・下北沢にオフィスを構えるLOOK UP ACCOUNTINGおよび株式会社LOOK UPの米満建太郎さん(代表取締役・公認会計士・税理士)は、業務標準化のプロとして、多くのクライアントを支援してきた実績を持っています。
そんな米満さんは、業務標準化への取り組みの肝は「真剣に人と向き合う」ことだと話します。freeeが定義する3つの分断を防ぐために、同所はどんな取り組みをしているのか、米満さんに語っていただきました。
徹底した標準化で業務の分断を防ぐ
freeeさんの指摘する①業務の分断、②コミュニケーションの分断、③データの分断、というのは多くの会計事務所に共通する問題だと思います。例えば①業務の分断。これを防ぐには、業務の属人化を失くし、標準化することが不可欠です。
この標準化を実現することこそが、私たちLOOK UP ACCOUNTINGの得意とするところです。
私たちは総勢14名の会計事務所で、コンサルティングサービスを武器として顧問先数を増やしてきました。冒頭で挙げた業務の分断を防ぐために、様々な施策を展開しています。
例えば各顧問先の担当者をローテーションさせたり、マニュアルを作ったりして業務の属人化を排除。またタスクを細かな粒度に分解したりすることで、タスク単位で人をアサインできる体制にしています。
このように属人化を排除しているため、弊所の職員はいつでも辞められる状況で仕事をしていると言えます。この"いつでも辞められる状況"で働いている時が、最も高いパフォーマンスを発揮できると私は考えます。
他方で、職員に対しては「作業者ではなく業務の設計者になろう」と常々、伝えています。後者のほうが高いスキルを求められ、そのぶん給与も上がります。
そして業務設計ができる職員が増えると、私は経営者の本来の役割である採用活動に全業務の50%ほどのリソースを投下できるようになります。強い組織は必ずと言っていいほど、経営者が採用活動に積極的に取り組んでいるのです。
ひと口に業務の標準化と言っても、これを実現するのは容易いことではありません。例えばコンサルティング先のお客様に対しては、細かい粒度に業務を分解する必要があります。
その際、ボトルネックを発見するために"ネチネチ"と分解作業を進めることもあれば、イレギュラーな業務を特定するために1年ぶんのメールを見返すなど、泥臭い仕事が求められることもあります。
こうしたことを念入りにやっていかないと、一時的に業務を改善できても、時間が経つと元どおりになってしまうことがあるのです。いずれにせよ確実に言えるのは、業務を標準化する際に求められるのは、真剣に人と向き合うということです。
開業して今年で2年目になる弊所は、会計というフィールドで成長していくスタートアップだと自認しています。事務所内の業務フローがまだ整っていない部分もありますが、だからこそ業務を設計することにやりがいを感じてもらえると思います。設計者に向けてスキルアップできる環境にあるとも言えます。
コンサルタントとしてお客様の業務改善を支える私たちが説得力のある提案をするには、上流から下流まで、弊所の中で業務が滞りなく流れるようにする必要があります。
業務を標準化してコストを圧縮し、人件費をかけずに回していくことは、利益の増大だけでなく職員の給与を増やすことにもつながります。これは会計事務所にとっての要(かなめ)だと私は思っています。
ITツールでコミュニケーションの分断を防ぐ
ここまで①業務の分断について述べてきましたが、次に②コミュニケーションの分断についても少し言及したいと思います。コミュニケーションの分断を防ぐために、弊所では週次のミーティングを行っています。
進捗管理が主な目的ですが、例えばテキストにまとめるのは時間がかかるけれども会話すれば一発で解決する問題などをこの場で掬い取っています。また職員のやる気や本音など、この場ではじめて知ることも多いと感じています。
ミーティングを通して職員同士をよりよく知れるように、例えば好きなアーティストについて10分ほどかけてプレゼンする時間なども設けています。
私を除く弊所の13名の職員は、半数近くがリモートワークをしています。10分間のプレゼンは、リモートワークで不足しがちな雑談の種にもなっています。
もう1つ、コミュニケーションを円滑に行ううえで、各種のツールを導入しています。一例を挙げると次のようなものです。
freee:会計および申告
- Salesforce:営業支援
- Notion:タスク管理
- Todoist:タスク管理
- Slack:チャット
- Chatwork:チャット
- Google Drive:共有ストレージ
この中で私が特に便利だと思うのは、ビジネスチャットツールのSlackと連携できる「Todoist」というタスク管理ツールです。ツール同士を連携できると、コミュニケーションが分断されるリスクを低減できるので非常に重宝しています。
社外CFOとして経営者を支援する
弊所は社外CFO(最高財務責任者)として、予実管理なども含めた財務支援サービスも提供しています。このサービスは、弊所の強みである業務効率化や業務改善、DX(デジタルトランスフォーメーション)などもあわせてお客様を支援するもので、ご好評をいただいています。
ポイントは業務フローの可視化と徹底したマニュアル化で、お客様の社内で誰もが同じ仕事をできるようにすることです。この社外CFO業務を弊所の職員ができるようになれば、それこそ究極の業務標準化である「私がいなくても成長し続ける事務所」が実現します。そのレベルを目指して、今後とも職員一同、精進していきます。
◇
会計事務所において業務の分断が起きやすいシチュエーションとして、例えばベテラン職員の退職が挙げられます。この点について米満さんは「マニュアル化を図ることで分断は回避できる」と指摘します。そのうえで、「事務所の職員が卒業していくことは、むしろ歓迎すべきこと」だと続けます。
なぜなら、卒業する人が作るマニュアルによって後任者は戸惑うことなく業務を引き継ぐことができるからです。LOOK UP ACCOUNTINGの業務標準化の核となるマニュアル化は、米満さんをはじめとする同所の職員の努力によって、所内外に向けて大きな価値を発揮しているのです。
LOOK UP ACCOUNTING
東京都世田谷区
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