「入力のしやすさ」より「入力しない仕組み」を。古田土会計がfreeeを選んだ理由と、導入の全貌

税理士法人古田土会計 事務所

税理士法人古田土会計

人財開発事業部 責任者 松本 毅 様(左)
経理DX推進部 責任者 辻野 良樹 様(右)

事務所規模:422名
所在地:東京都江戸川区
課題:組織マネジメント、業務効率化、付加価値向上
業界のモデルケースとして知られ、多くの会計事務所がベンチマークとする税理士法人古田土会計。 しかし、その強固な組織の裏側には、今までのやり方での限界がありました。

「今のままでは、お客様の成長を止めてしまうかもしれない」 人材開発を担う松本氏と、DX推進を担う辻野氏。二人が抱いた危機感は、やがて事務所全体の「常識」を覆す大きな変革へと繋がっていきます。慣れ親しんだ手法を手放し、痛みを乗り越えた先に二人が見た景色とは――。 freee導入による、組織変革の軌跡を追いました。

市場の変化と属人化からの脱却

―――業界のモデルケースとして十分な成果を上げている御社が、なぜ今、屋台骨である会計ソフトの変更という「大きな痛みを伴う改革」に踏み切ったのでしょうか?

辻野良樹氏(以下、辻野): 最大の理由は「市場(お客様)の変化」です。 ここ数年で風向きが変わり、新規のお問い合わせの約半数がクラウド会計を希望されるようになりました。
しかし、私たちはこれまで既存のインストール型ソフトに特化していたため、クラウドのニーズには応えきれていませんでした。

松本毅氏(以下、松本):以前の我々は「新規で記帳代行ありのお客様は受けない」という方針でした。既存ソフトでの入力業務が属人化し、社内でそれをこなせる人材が枯渇していたからです。
ベテラン職員の高齢化が進む一方で、既存のインストール型ソフトと複数の周辺ツールを組み合わせた入力業務は属人化しており、若手への継承が難しかったのです。

辻野:お客様側の事情も深刻で、経理担当者の退職が相次ぎ、「今のソフトでは作業が終わらない」「助けてほしい」というご相談が月に2.3件は寄せられて来ていました。
しかし、我々もキャパシティオーバーでお断りせざるを得ない。
この「お互いが不幸」な状況を打破するには、我々自身が変わるしかない。そう腹を括ったのがすべての始まりでした。
過去には、お客様が独自にfreeeを導入したものの、設定ミスでデータがぐちゃぐちゃになってしまったことがありました。その時、既存の知識しか持たない我々はすぐに修正できず、プロとしての無力さを痛感しました。あれも、変わらなければいけないと思った決定的な瞬間でしたね。

「既存ソフトに近いUI」を選ばなかった理由と記帳代行の再開

――数あるクラウド会計ソフトの中で、なぜfreeeを選ばれたのでしょうか?

松本:私たちの仕事の原点は、「お客様がどれだけ良くなるか」を基準にすることです。 時代の流れを的確に把握し、お客様に最適なシステムや情報を提供することこそが、私たちの使命だからです。その観点で見た時、お客様のバックオフィス業務を最も根本から変えられるのがfreeeだと判断しました。

辻野:機能面での決め手は「自動登録ルール」の設計思想です。
実は当初、現場からは「既存ソフトにUIが近い他社クラウドソフトの方がいい」という声もありました。しかし、社内のIT推進メンバーが「他社は最後に人の判断を残すが、freeeは『自動化』を突き詰めている」と猛プッシュしたのです。

これからの時代、我々が目指すべきは「今の業務の置き換え」ではなく、「人が介在しない仕組み作り」です。我々会計事務所が意図を持ってルールを設計すれば、あとはシステムが自動で処理を流してくれる。これなら、経験の浅い若手でも品質を担保できると確信しました。

松本: あとは、正直に言うと「ご縁」ですね(笑)。最初は私も食わず嫌いでしたが、freeeの皆さんと飲み会などでお話しする中で、「世の中を良くしたい」という世界観や熱意に共感したことも大きかったですね。

――「記帳代行の新規受け入れ停止」という以前の方針は、現在どう変わったのでしょうか?

辻野: 明確に方針を転換し、freeeを活用した記帳代行の受け入れを再開しました。 これまでのやり方(紙・既存ソフト・周辺ツール)では、熟練の担当者が何時間もかけなければ終わらなかった作業が、freeeを前提とすることで劇的に軽くなったからです。

松本: わかりやすい事例があります。ある飲食店のお客様(A社)で、月に800〜1,000仕訳ほど発生する案件です。 以前の手法であれば、紙の領収書や通帳コピーを回収し、入力・チェックするのにかなりの時間を要していました。しかし、freeeを導入し、口座連携と自動登録ルールを整備した結果、月の作業時間はわずか5〜6時間以内。従来の半分以下の時間で完了するようになりました。

辻野: しかも、この作業を行っているのはベテラン職員ではなく、業務委託契約の在宅スタッフの方です。 「freee × 在宅スタッフ」という体制が組めるようになったことで、社内の高コストな人材リソースを圧迫せず、かつ高い利益率を確保しながら記帳代行をお受けできるようになった。 「クラウド希望のお客様」や「資料整理が苦手なお客様」に対しては、無理に既存のやり方に当てはめず、この「freee専用の記帳代行ライン」に乗ってもらう。この「使い分け」ができたことが、事務所のキャパシティを広げる大きな鍵になりました。

自力での導入は「無理だった」。現場の迷いを断ち切った、freeeの「伴走型支援」と「業務設計図」

――新しいツールの導入にはパワーが必要です。導入を進めることに不安はありませんでしたか?

松本: 正直に言うと、自分たちだけでは絶対に無理だったと思います(笑)。 通常業務が忙しい中、「いつかやろう」では一生進みません。freeeの導入支援担当(カスタマーサクセス)の方が、2週間に1回などのペースで定例ミーティングを設定し、「次回までにこれをやってください」とペースメーカーになってくれたおかげで、強制力が働きプロジェクトが進みました。

――具体的に、支援の中で役に立ったツールやアドバイスはありますか?

辻野: 最も効果的だったのは、freeeさんが作成してくれた「業務設計図」です。 単なる操作マニュアルではなく、「古田土会計の今の業務フロー」をヒアリングした上で、「freeeを使うなら、この工程はこう変わり、この作業は不要になります」というBefore/Afterが可視化された設計図を作ってくれたのです。 これがそのまま社内の標準マニュアルになり、「これ通りにやれば楽になるんだ」という現場の納得感に繋がりました。

松本: 社内改革を進める際、内部の人間が「やり方を変えよう」と言うと、どうしても「今の仕事を否定された」と反発が起きがちです。 しかし、外部のプロであるfreeeさんが「他所の事務所ではこうやって成功しています」「この機能を使えばこれだけミスが減ります」と客観的に説明してくれることで、ベテラン職員も「それなら試してみようか」と耳を傾けてくれる。この「第三者の声」を活用できたことが、組織を動かす上で非常に大きかったですね。

――それでも、現場からの反発やトラブルはありましたか?

松本: もちろんありました。「今のままで十分速い」「なぜ変える必要があるのか」という声です。実際、新しいやり方に馴染めず、5名ほどの職員がプロジェクトから脱落しました。全員が最初から賛同してくれたわけではありません。

辻野: 現場では「freeeを導入しました」と言いながら、決算期になると担当者がデータを既存のインストール型ソフトに書き出して決算を組んでいたこともありましたね(笑)。「その方が慣れていて速いから」と。

――その状況を、どのように打開されたのでしょうか?

松本: 特効薬はなく、泥臭い対話しかありませんでした。 メールで済ませるのではなく、一人ひとりと向き合い、時にはカレンダーをブロックして時間を確保させて、「なぜ変える必要があるのか」を伝え続けました。 一方で、「楽しさ」も重要視しました。リーダー全員でfreee本社をお借りして研修を行い、予算を使って「freeeグッズ」を爆買いして飲み会の抽選会で配るなんてこともやりました(笑)。

「機能」を教える前に、freeeという文化への「親しみ」を持ってもらう。そんなソフト面でのアプローチも、アレルギー反応を和らげるのに一役買いました。

「社長、先月の晩御飯覚えてますか?」がなくなる。資料回収のストレスが消えた劇的な変化

――導入後、社内の効率化以外にどのような変化が生まれましたか?

松本:これまでは1ヶ月半後に紙の明細が届いてから「社長、この会食は誰と?」と聞いていましたが、社長も覚えていない(笑)。freeeならデータがすぐ連携され、領収書もLINEで送るだけで済みます。この「コミュニケーションコストの激減」はお互いのストレスを大きく減らしました。

辻野: アナログなお客様ほど効果を感じていただいています。例えば20口座以上の通帳があるお客様の場合、これまでは回収だけで一苦労でしたが、データ連携によりその手間がゼロになります。 また、以前は複数のツールを使い分け、担当者ごとに使えるツールが違うという状況でしたが、freee一本に集約されたことで教育コストが下がり、採用後の戦力化もスムーズになりました。

入社2年目の若手が顧問先へ提案をできる理由。記帳代行は「入り口」に過ぎない

――効率化によって生まれた時間は、どのように活用されていますか?

松本: ここが一番強調したい点ですが、入社2年目のような若手職員でも、お客様に「予実管理」や「保険」の提案ができるようになってきています。

なぜそんなことができるかと言うと、「古田土式月次決算書」や「社長の成績表」という独自の道具があることによって、若手でも提案できるようになっています。

「社長、今これだけ利益が出ていて、将来こういう投資をしたいなら、この準備が必要ですね」決して売り込みではなく、財務データに基づいた「必然の提案」ができる。別料金の高額コンサルではなく、標準サービスとして若手がこれを実践できる仕組みを作っています。

今後は、freeeによって「財務の見える化」のリアルタイム化を進めていき、お客様がより早く意思決定できるようなサポートにチャレンジしていきます。

「変化しない事務所」から、若手は去っていく

――最後に、導入を迷われている会計事務所の方々へメッセージをお願いします。

松本: 今、「うちは回っているから大丈夫」と思っていても、変化を求めているのは実はお客様であり、働く若手職員たちです。

衝撃的だったのは、「事務所が古いやり方を変えないから」という理由で、若手が退職してしまうケースを耳にしたことです。一昔前は「新しいことをやらせると負担で辞める」と言われていましたが、今は逆です。デジタルネイティブな世代にとって、非効率な作業を強いられることは耐え難い苦痛なのです。

辻野: お客様もYouTubeなどで情報を得て、どんどん賢くなっています。「なぜ先生のところはデータをリアルタイムで見てくれないの?」と言われる日は、すぐそこまで来ています。

freee導入はあくまで手段です。しかし、「変化を受け入れる組織」に生まれ変わるための、これ以上ないきっかけになります。痛みはありますが、その先には必ず、お客様と職員の笑顔が待っています。

税理士法人古田土会計

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