

辻野: 明確に方針を転換し、freeeを活用した記帳代行の受け入れを再開しました。 これまでのやり方(紙・既存ソフト・周辺ツール)では、熟練の担当者が何時間もかけなければ終わらなかった作業が、freeeを前提とすることで劇的に軽くなったからです。
松本: わかりやすい事例があります。ある飲食店のお客様(A社)で、月に800〜1,000仕訳ほど発生する案件です。 以前の手法であれば、紙の領収書や通帳コピーを回収し、入力・チェックするのにかなりの時間を要していました。しかし、freeeを導入し、口座連携と自動登録ルールを整備した結果、月の作業時間はわずか5〜6時間以内。従来の半分以下の時間で完了するようになりました。
辻野: しかも、この作業を行っているのはベテラン職員ではなく、業務委託契約の在宅スタッフの方です。 「freee × 在宅スタッフ」という体制が組めるようになったことで、社内の高コストな人材リソースを圧迫せず、かつ高い利益率を確保しながら記帳代行をお受けできるようになった。 「クラウド希望のお客様」や「資料整理が苦手なお客様」に対しては、無理に既存のやり方に当てはめず、この「freee専用の記帳代行ライン」に乗ってもらう。この「使い分け」ができたことが、事務所のキャパシティを広げる大きな鍵になりました。

松本: 正直に言うと、自分たちだけでは絶対に無理だったと思います(笑)。 通常業務が忙しい中、「いつかやろう」では一生進みません。freeeの導入支援担当(カスタマーサクセス)の方が、2週間に1回などのペースで定例ミーティングを設定し、「次回までにこれをやってください」とペースメーカーになってくれたおかげで、強制力が働きプロジェクトが進みました。
辻野: 最も効果的だったのは、freeeさんが作成してくれた「業務設計図」です。 単なる操作マニュアルではなく、「古田土会計の今の業務フロー」をヒアリングした上で、「freeeを使うなら、この工程はこう変わり、この作業は不要になります」というBefore/Afterが可視化された設計図を作ってくれたのです。 これがそのまま社内の標準マニュアルになり、「これ通りにやれば楽になるんだ」という現場の納得感に繋がりました。
松本: 社内改革を進める際、内部の人間が「やり方を変えよう」と言うと、どうしても「今の仕事を否定された」と反発が起きがちです。 しかし、外部のプロであるfreeeさんが「他所の事務所ではこうやって成功しています」「この機能を使えばこれだけミスが減ります」と客観的に説明してくれることで、ベテラン職員も「それなら試してみようか」と耳を傾けてくれる。この「第三者の声」を活用できたことが、組織を動かす上で非常に大きかったですね。

松本: もちろんありました。「今のままで十分速い」「なぜ変える必要があるのか」という声です。実際、新しいやり方に馴染めず、5名ほどの職員がプロジェクトから脱落しました。全員が最初から賛同してくれたわけではありません。
辻野: 現場では「freeeを導入しました」と言いながら、決算期になると担当者がデータを既存のインストール型ソフトに書き出して決算を組んでいたこともありましたね(笑)。「その方が慣れていて速いから」と。
松本: 特効薬はなく、泥臭い対話しかありませんでした。 メールで済ませるのではなく、一人ひとりと向き合い、時にはカレンダーをブロックして時間を確保させて、「なぜ変える必要があるのか」を伝え続けました。 一方で、「楽しさ」も重要視しました。リーダー全員でfreee本社をお借りして研修を行い、予算を使って「freeeグッズ」を爆買いして飲み会の抽選会で配るなんてこともやりました(笑)。
「機能」を教える前に、freeeという文化への「親しみ」を持ってもらう。そんなソフト面でのアプローチも、アレルギー反応を和らげるのに一役買いました。
松本:これまでは1ヶ月半後に紙の明細が届いてから「社長、この会食は誰と?」と聞いていましたが、社長も覚えていない(笑)。freeeならデータがすぐ連携され、領収書もLINEで送るだけで済みます。この「コミュニケーションコストの激減」はお互いのストレスを大きく減らしました。
辻野: アナログなお客様ほど効果を感じていただいています。例えば20口座以上の通帳があるお客様の場合、これまでは回収だけで一苦労でしたが、データ連携によりその手間がゼロになります。 また、以前は複数のツールを使い分け、担当者ごとに使えるツールが違うという状況でしたが、freee一本に集約されたことで教育コストが下がり、採用後の戦力化もスムーズになりました。

松本: ここが一番強調したい点ですが、入社2年目のような若手職員でも、お客様に「予実管理」や「保険」の提案ができるようになってきています。
なぜそんなことができるかと言うと、「古田土式月次決算書」や「社長の成績表」という独自の道具があることによって、若手でも提案できるようになっています。
「社長、今これだけ利益が出ていて、将来こういう投資をしたいなら、この準備が必要ですね」決して売り込みではなく、財務データに基づいた「必然の提案」ができる。別料金の高額コンサルではなく、標準サービスとして若手がこれを実践できる仕組みを作っています。
今後は、freeeによって「財務の見える化」のリアルタイム化を進めていき、お客様がより早く意思決定できるようなサポートにチャレンジしていきます。
松本: 今、「うちは回っているから大丈夫」と思っていても、変化を求めているのは実はお客様であり、働く若手職員たちです。
衝撃的だったのは、「事務所が古いやり方を変えないから」という理由で、若手が退職してしまうケースを耳にしたことです。一昔前は「新しいことをやらせると負担で辞める」と言われていましたが、今は逆です。デジタルネイティブな世代にとって、非効率な作業を強いられることは耐え難い苦痛なのです。
辻野: お客様もYouTubeなどで情報を得て、どんどん賢くなっています。「なぜ先生のところはデータをリアルタイムで見てくれないの?」と言われる日は、すぐそこまで来ています。
freee導入はあくまで手段です。しかし、「変化を受け入れる組織」に生まれ変わるための、これ以上ないきっかけになります。痛みはありますが、その先には必ず、お客様と職員の笑顔が待っています。

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