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freee会計導入で顧問先は増加し、支援の幅も拡大。
未来のお客様に出会うために種をまき続ける
竹市会計事務所
所長 税理士 竹市憲正 様
税理士 竹市真由香 様
事務所規模:10名
所在地:岐阜県
課題:集客、組織マネジメント
2018年に創業50年を迎えた竹市会計事務所は「顧客第一主義の会計事務所〜私たちはあなたの企業の羅針盤です〜」という理念を掲げ、岐阜や愛知など東海エリアを中心にサービスを展開されています。2代目の竹市憲正先生は、娘で後継者の真由香先生とともに、事務所への導入、顧問先への導入を進めてこられました。
freee会計導入から3年ほどで顧問先数、単価ともに伸ばされ、今後は数字に強い経営者をつくるための教育や海外支援にも力を入れていくというお2人に、freee会計導入の経緯から推進のコツ、経営者としてのマインドセットなどを伺いました。
経営スクールでの過去の学びがクラウド会計への投資につながった
――まず、事務所の歴史について教えていただけますでしょうか。
竹市憲正所長(以下、所長): 竹市会計事務所は昭和44(1969)年に親父が税務署を退官して始めた事務所です。平成10(1998)年に僕が後を継ぎましたが、昭和61(1986)年に税理士試験に合格して以来、どういう事務所作りをしていくかについて悩んできました。
当時はMAS(Management Advisory Service)業務によって付加価値をつけて報酬をいただくモデルが流行っていたのですが、僕は「経営指導なんて税理士にできるのかな」と疑問で、あまりピンと来ていませんでした。33〜4歳頃、福島県にある野本会計事務所(現・エヌエムシイ税理士法人)が主催する2泊3日の会計事務所経営スクールに参加しました。そこで事務所経営のあり方についていろいろと考え、経営理念と5つの行動指針をつくりました。
そこから20年以上経って、娘がIT企業や経営大学院、留学等を経てビジネスの勉強をした上で、2018年に事務所に入所しました。2019年には税理士資格も取得し、今は一緒に事務所経営にあたっています。
――会計事務所経営スクールではどんなことを学ばれたのですか。
所長: 足し算業務ではなく「掛け算業務にすること」を教えられました。例えばこれまで2万円で引き受けていたお客様からどうしたら3万円、5万円いただけるようになるのか、その付加価値のつけ方を学びました。帳票も試算表を「商品」として考え、この商品にもっと魅力をつけていくといったやり方ですね。他にも、いろいろなマニュアルづくりをしましたし、竹市会計事務所の行動指針を毎週ミーティングの前に唱和するようになったのも経営スクールで学んでからです。
また、それまでは事務所のスタッフは親戚の人ばかりでしたが、経営スクールで広告の出し方を勉強したので出してみたところ、30人ほどの応募がありました。面接の仕方も教わっていたので、しっかりと面接を行って2名採用し、そのスタッフは20年以上勤続してくれています。このように、経営やビジネス的な側面で事務所の力になることを教わりました。
その経営スクールには、東京からも名古屋からも、全国の事務所の方が集まっていて、中には有名な事務所の方もいたので、「こんな立派な事務所の人たちでも悩んでいるんだ。うちのような事務所が悩むのは当たり前だな」と感じたことを覚えています。
今思うと、そこで大きく改革できたので、投資としては十分だったと思います。これまでのソフトからfreee会計に切り替えると一定の費用がかかりますが、経営スクールにお金をかけてみて変革の効果を感じていたので、この投資は特に惜しいなとは思いませんでした。
そろばんや電卓がコンピュータソフトに切り替わったときと似た感覚
――freee会計に切り替えられたきっかけは何だったのでしょうか。
所長: 娘が少しfreeeに勤めていたことがあり、名古屋でのセミナーに案内されて行ったんです。セミナーを聞きながら、会計業務の合理化の流れを思い返しました。
ちょうど僕が事務所に入ったときは、まだそろばんと電卓で仕事をしていました。それから、3〜4年後にオフコンと呼ばれるコンピュータが登場して、JDLやミロク情報サービスのソフトが入ってきました。そのときも、ツールを入れることでギュッと時間が効率化でき、浮いた時間を別のサービスに使うという発想で取り入れたんです。
だからfreee会計の話を聞いたときも、「きっと今回も効率化や時短ができるし、今度は弊事務所だけではなく、お客様の会社でも効率化できる。お客様はその余った時間を営業やより良いものづくりに使えるようになるのではないか」と思いました。娘はfreee会計のことをよくわかっていますし、もううちではfreee会計だなということで切り替えました。
――freeeと出会ったときの一番最初の印象はいかがでしたか。
所長: freee会計は他の会計ソフトと考え方が違うので、正直使いづらい部分があると思いました。元々使用していたソフトはかゆいところに手が届くイメージだったので、スタッフも非常に使い慣れており、freee会計に変える際は、一部から反発がありました。
竹市真由香先生(以下、真由香): ここまで、ビジョンを打ち出しているソフトは今までなかったので、それは非常に印象的でした。私の場合は他のソフトとの比較というよりは、最初からfreeeのそういった部分に興味を惹かれていった印象です。
――そろばんと電卓からコンピュータへの変化は、言われてみればどの税理士さんも体験してきたお話ですよね。浮いた時間を別のことに使えるようにするという意味では、freeeも同じことをしようとしています。ただ、「freeeを導入することでお客様が離れてしまうのではないか」と思われる事務所様も多いです。顧問先からの理解を得るために工夫した点はありましたか。
所長: 弊事務所のお客様は自計化というよりは記帳代行が多かったので、freee会計に変わるから止めるということは全くなかったです。一人一人の顧問先に対してお願いをし、最初はこちらも細かく伴走しながらお手伝いをしました。
顧問先からは「事務所が楽になりたいだけなのでは?」と言われたこともあります。そのような場合には、「事務所が効率化できれば、顧問先に対していいことがある」こともお伝えし、ご理解いただきました。地道にお願いし続け、必要なときにフォローしていくことが重要だと思います。
最初は疑心暗鬼だったスタッフも、だんだん使い慣れて、弊所が5つ星認定アドバイザーになったことで全国からお客様が来ることを目の当たりにすると、やはりこの方向性でいいのだなと感じていると思います。
真由香: 所長が述べているように、地道に、少しずつ変化をさせていったことがすべてです。顧問先のITレベルや目指したい方向についてしっかりと擦り合わせを行いながら状況に合わせ、最長で2年をかけて導入を進めていった顧問先もあります。
顧問先数30件増、各単価もアップしたが、人員は数名増で十分対応できている
――認定アドバイザーになること、freee会計を実際に習熟することそれぞれ、最も大変だったことは何だったのでしょうか?
所長: 最初の1年は大変で、正直止めて戻した方がいいのではと思ったこともありました。ですが、自分が経験した変化を踏まえても、これはやり切るしかないと思い、挑戦をし続けたんです。
真由香: 当時は、ヘルプページしかなかったので、今のアドバイザーガイドのようなものを職員のためのマニュアルとして自分で作成し、いろいろと教えながら地道に進めていきました。今はアドバイザーガイドがあるので、非常に進めやすくなっていると感じています。
また、スタッフへのfreee会計習熟に向けたケアとしては、一人一人に対して、なるべく出社して直接話しながらレクチャーしたり、疑問点を解消していきました。最初はあまりケアをしていなかったために一部で失敗をしたので、確実に行えるようにこのような形にしました。
――freee会計を習熟し、事務所経営に活用し始めた中で、最もうれしかった経営の変化は何でしょうか?
所長: 在宅ワークが可能となったことで、求人応募数が増加しました。freeeにしたことで、会計業務未経験者でも他に光る経歴があったり、うちの事務所文化に合いそうな人を積極的に採用することができています。また在宅ワークを導入したことによって、一度家庭の事情で退職したスタッフが戻れる環境をつくることもできました。新しい事務所の体制になったことによって、事務所の新しいブランディングにもつながったと思っています。顧問先にとっても、ワクワクする形になっているのではないかなと感じますね。
真由香: 実際に顧問先数はfreee導入後、30件以上増えています。今までは新規のお問い合わせが年に数件あるかないかだったのが、今では「このお問い合わせをお引き受けできるかどうか」を考える状態になっているのです。採用は未経験者を中心に数名増えただけですが、その体制でもしっかりと事務所は回っています。freee導入支援や会社設立からサポートすることで単価も上げることができています。最近はDXコンサルも強化しており、freeeとあわせ、freeeと相性の良いアプリ(Salesforceなど)の導入もサポートするなど、より踏み込んだ業務改革のお手伝いができるようになりました。
「教育」と「海外進出支援」に注力する
――竹市会計事務所は徐々に変化しているタイミングだと思いますが、今後改めて顧問先の皆さんに対する価値貢献について重要だと考えているテーマはございますか。
真由香: AIに代替される職業に税理士が入っていたりしますよね。でも、「教育」は代替されない仕事の上位だとされています。だから決算書を見て社長が自分で分析できるようになる、もしくはその社長の参謀的な人や将来の後継者の方たちが、決算書や毎月の試算表を見て、自分で経営判断ができるような教育を強化していきたいと思っています。
今はその指導を一部のメンバーしかできないのですが、今後はもっと多くのメンバーにもできるようになってもらって、事務所のスタンダードとして、数字に強い経営者を育てることができる事務所になっていきたいと思います。
あとは海外進出の支援ですね。中小企業も外に目を向けていかないといけない時代がもう来ています。でも、その支援ができる会計事務所は少ない。弊事務所では、グローバルに展開したい中小企業が安心して相談や依頼ができるような仕組みをつくろうとしています。最近では、北米へ視察に行き、ビジネスチャンスと、現地パートナーを見つけることもできました。
――経営者が自ら数字を見て、自分で判断できた方がいいということは誰もが理解しているものの、それをすると、税理士としての仕事がなくなるのでは?という怖さを感じている方もいらっしゃると思います。お客様に「この税理士さんにお願いした意味ってなんだっけ?」と思われるのではないかと。
所長: 過去の経験から言えば、仮に自分で数字を見ることができるようになっても、社長は誰かに話したいんですよ。社長って孤独ですから。今も毎月訪問しているお客様がいますが、今月いくら儲かったかは社長も知っています。それでも、一緒に数字について議論する相手が欲しいんだと思います。「自分で数字を見られるようになったから顧問料を安くしてくれ」とも言われないです。
真由香: 経営者の方は、常に漠然とした不安があると思うんです。過去の数字は把握していても、今後いくらの売上があれば利益が出るのか、わからない方は多いです。また、今利益が出ていても、この水準で良いのかが心配な方も多いです。じゃあいくら利益が出たら安心できるのか?そのようなことを相談できる相手が求められていると感じます。そういった方に対してコーチング的に伴走したり、時にはお尻を叩いたりする存在が必要なのだと思います。
ただ、もちろん「この人と話していても何にもならない」と思われたらそれまでなので、次々と新しいアドバイスやサービスを提供できるようにならないといけません。お客様は自計化して自分たちで会計処理ができるようになってくるので、他の付加価値を出さなければ必要とされなくなるのは当然です。その流れは止まらないので、抗っても仕方ない。だから私たちは常に研鑽を続けているのです。
数件でもいいから始めてみることで未来の可能性が広がる
――日々のご活動において、クラウド対応への顧客の要望を肌で感じる機会はありますか?また、周りの経営者・クラウド化担当職員等に、クラウド会計を検討するにあたって、今伝えることがあれば教えていただきたいです。
所長: お客様が税理士を変える理由の1つは、早く数値を出したいというものです。その要望を出すのは30〜50代の方が多く、今後10〜20年経営をされる方。こちらとしても非常に仕事がしやすい方々が多いなと感じます。
また、クラウド会計ソフトへの問い合わせは全国からあり、商圏も広がっています。同世代の方々とより多く仕事をしたいと感じている方はぜひチャレンジすることをおすすめします。freee会計を導入するときには、専任担当を1人つくり、失敗してもいいから任せる、という気持ちでやってみることが重要です。
真由香: とにかく、freeeは始めやすい一方やめやすくもあるので、数件でもいいから始めてみるといいのではないでしょうか。ポテンシャルの高い未来のお客様に出会えるので、そのことをよく考えて検討してほしいなと思います。
――freeeへのお取組みをこれから進めるAdvに「これだけは抑えておいた方がいい」という習熟や活用のポイントがございましたら、是非教えていただきたいです。
真由香: 「アドバイザーガイド」にはfreee導入に関するハウツーコンテンツが揃っているので、しっかり目を通してから始めれば、効率的に導入を進められると思います。実は私自身、2017年からアドバイザーガイドのコンテンツ作りや監修に携わっているんです。まさに自分がfreee導入時に苦労した部分をカバーするような内容になっているので、ぜひ活用いただきたいです。また認定アドバイザーになった場合には、「クラウド型会計事務所スターターキット」も使ってほしいですね。会計事務所のマーケティング戦略から料金表見本まで、幅広く網羅された内容で非常にクオリティが高いです。おそらく他の士業コンサルタントに依頼する場合数十万もするレベルの内容なので、コスパもいいと思います。
竹市会計事務所
岐阜県岐阜市
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