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freeeは"コミュニケーションツール"である クラウド特化事務所が開業10年目に「freee専門」になった理由
武久税理士事務所
代表 武久国壽 様(中央)
ほか、職員の皆様
事務所規模:5名
所在地:福岡県福岡市
課題:付加価値向上、集客
福岡市に所在する武久税理士事務所は、武久国壽(くにとし)さんが開業した会計事務所です。開業した当初は、勤務税理士時代から馴染みのあったオンプレミス型のソフトを使ったという武久さん。
その後、メインで使う会計ソフトをクラウド型に変えると共に「クラウド専門」の会計事務所として打ち出します。現在では「freee専門」の会計事務所として、地元・福岡で存在感を放っています。「freeeはコミュニケーションツールです」と語る武久さんに、freee専門に至るまでの経緯を伺いました。
39歳での独立 紙証憑のやり取りが中心だった開業初期
――貴事務所が開業に至るまでの経緯について教えてください。
武久国壽さん(以下、武久):元々、将来は独立開業したいと思って税理士試験の勉強に取り組みました。税理士を目指したのは29歳の頃です。20代の頃、家業を営んでいた父が急逝し、私自身も大変な経験をしたので、困っている人の役に立ちたいと思って税理士を目指したのです。資格を取り、勤務税理士として修行していた頃に、今度は母が亡くなり、「人生、いつ何が起きるかわからない」「やりたいと思った時にやるのがいい」と考えました。40歳までには独立開業しようという目標を立て、おかげさまで、目標より1年早く開業できたことはうれしい誤算だったと思います。
――freeeに初めて魅力を感じたのはいつですか?
武久:勤務税理士の頃に遡ります。確定申告の時期に、夜遅く帰宅して風呂に入り、ビールを飲みながら束の間、くつろいでいると、テレビからfreeeのコマーシャルが流れてくるのです。その時、「自動で仕訳」というワードが頭の中にインプットされました。「これは面白そうだから独立したらいずれ触ってみよう」と漠然と思った記憶があります。
――独立開業してすぐにfreeeを利用されたのですか?
武久:いいえ、しばらくは勤務税理士時代に馴染みのあったオンプレミス型の会計ソフトを使いました。紙の資料を収集し、入力し、試算表を作る、という従来からの作業を踏襲したのです。お客様先へも、月に1回のペースで訪問していました。
ただ、対外折衝はすべて私一人でやっていましたので、マンパワー的に限界があるのは自明でした。そんな時にfreeeを使うお客様が時々いらっしゃることがあり、freeeに興味を持ち始めたのです。
freeeを利用しているお客様と面談を重ねていくと、だんだんと傾向があることに気がつきました。毎月1回の面談に必要性を感じない、面談のために顧問料が高くなるのは嫌だ――、定例の面談ではなく、知りたいことを知りたいタイミングで質問させてほしい――。だいたいこのようなことを望まれるのです。
私もこうした声には賛成します。約束だからといって必ず月に1回の面談を行うのは、お互いに面倒ですよね。それよりも、お客様の知りたいことを知りたいタイミングでお伝えできることのほうが大切です。
その意味でも、freeeを使うお客様とは意見が合うなと思いました。また私のような一人事務所は、その身軽さゆえに方向転換がしやすいのです。freeeについての興味が高まった背景にはこうしたことがありました。
「第2創業期」を掲げ、freee専門の会計事務所へ
――武久さんは早くからクラウド会計に取り組み、現在はfreee専門の税理士として活動されていますが、そこに至るまでの経緯を教えてください。
武久:本腰を入れてクラウド会計の導入を進めたのは、独立して3年目の2017年くらいからです。この時、クラウド会計をメインに扱うことを売りの1つとし、新規のお客様にはクラウド会計の使用を前提とした料金設定にしました。そしてクラウド以外のソフトについては設定価格を変えることにしたのです。
2019年、コロナ禍が始まりました。弊所ではそれ以前から新規のお客様については非対面でのコミュニケーションに切り替えていたので、むしろ「コロナ禍だけど、何も変わらないですね」というお客様もいらっしゃって、私としては非常にうれしかったです。これ以降、「顔を見て相談したいときはZoomミーティングにしましょう」という形にして、訪問についてはあえてご提案することはなくなっています。
独立した当初は、オンプレミス型ソフトの利用が7割程度を占めていました。それがコロナ禍の2020年にはひっくり返り、クラウド会計ソフトの利用率が8割程度、その中でもfreeeの利用は大勢を占めることになったのです。
――freee専門の会計事務所と打ち出すのに、何かきっかけがあったのですか?
武久:freeeの担当者さんからの熱い提案を受け、福岡にある"先行く事務所"の見学会に行ったことがあります。私は面倒くさがりな性格なので、普段ならそういうお誘いは断っているのですが、その時ばかりは担当者さんの熱量に負けたかたちで参加を決めました。
この見学会で、私が思っていた税理士像とは真逆の考え方をする税理士さんたちに衝撃を受け、良い意味で「自分はこのままじゃいけない」と感じたのです。率直に言うと、「俺は早いうちからクラウド会計に取り組んでいたのに、いつの間にか地域のトップランナーから大きく溝をあけられてしまった。もっともっと頑張らなくては」という思いを持つに至ったのです。
――"先行く税理士"に刺激され、強い危機感を持たれたのですね?
武久:はい、この見学会をきっかけに、私は自分を見つめ直しました。50歳を間近にして、なおかつ独立からちょうど10年を迎えた時期でもあったので、ここで「第2創業期」という気持ちでがんばらないといけないと思いました。そして仕事のやり方も一から見直そうと思ったのです。
具体的には「クラウドをメインとする」という売り文句を「クラウドに特化する」、ひいては「freeeに特化する」に変え、実際にクラウド型ではないソフトを使う新規案件は受けないよう覚悟を決めました。加えて、freee専門の会計事務所であることをホームページ上でも大々的に打ち出したのです。
――freeeに特化することで、仕事の仕方は変わりましたか?
武久:変わりました。例えば資料については原本は受け取らず、すべての資料をデータ化してfreeeに直接アップロードしてもらったり、あるいはDropbox(オンラインストレージ)を共有してもらったりするようになりました。お客様にはモバイル型のScanSnap(スキャナー)を推奨し、原則として紙のやり取りをやめたのです。
またそれまで、対外折衝は私が担い、事務作業はもう1人の所員が担当する体制を取ってきましたが、この形も大きく見直すことにしました。まず所員を3名増やし、私を含めて計5名の体制に拡大。そのうえで業務マニュアルを作って私の仕事を所員に移管できるようにして、新規の問い合わせなどがあった場合に私がすぐに動ける体制にしたのです。それまでは私の時間が空くまで、お客様には2週間ほどお待ちいただくこともあったので、大きな進歩と言えます。お客様からの紹介も増えて、自然と相性の良いお客様が集まるようになっていますね。
お客様と数字の会話が弾む 「freeeはコミュニケーションツールである」
――武久さんの中でfreeeというものはどんな存在でしょうか?
武久:使っていてつくづく感じるのですが、freeeは優れた「コミュニケーションツール」だと思います。コメント機能でfreeeの中でやり取りができるという点はもちろんですが、その他にも理由はいくつかあります。
freee以外のソフトを使う場合、お客様は決算書ができた段階ではじめて数字がわかります。さらに、会計事務所が用意する書類をしっかりと読み取れるお客様は多くありません。
これに対してfreeeの場合は、お客様がお金の動きや科目ごとの内訳を常に把握できますし、試算表やレポートも見たいときに見られます。
他のソフトと決定的に反応が違うと感じるのは、freeeを使うお客様が、例えば「収益レポートを見たのですが、こうなっているのはなぜですか?」という具合に、できたばかりの数字を見たうえで疑問が投げかけてくるところです。会計事務所側ですべて記帳しているケースでは、こんな会話は出てきません。freeeがコミュニケーションツールだと思う大きな理由の1つはここにあります。
――そうしてお客様が数字に関心を寄せるのは、なぜなのでしょうか?
武久:一般的に会計業界では、会計事務所が提案する会計ソフトを利用することを前提に顧問契約を行います。会計データは会計事務所に蓄積されていき、顧問税理士を変えようとすると会計ソフトは変わり、過去の資料も紙でしか受け取れない、といった状況が少なくありません。
対してfreee専門の私たちは、契約の際にfreeeの利用料をお客様自身にご負担いただくようお願いしております。利用料を支払うことで、会計ソフトを自分のものだと感じてもらえるようになり、freeeを見る機会が増えて、自ずと関心が高まるのだと思います。
利用料の負担に難色を示すお客様もいらっしゃいますが、そんな時は「freeeを使うと会計事務所を変えやすくなりますよ」と申し上げています。実際、会計データはお客様の手元に蓄積されていきますから、「何か違う」と思ったときはストレスなく他事務所に移ることができます。もちろん他所に移ってほしくはないのですが・・・、お客様には納得して契約していただけますね。
――freeeをすでにお使いのお客様から寄せられる、よくあるお困りごとはありますか?
武久:「freee対応」を謳う会計事務所であっても、決算だけは別の会計ソフトで行っているため、決算書とfreeeの残高が合わないといった話は聞きます。その点、私たちはfreee上できちんと決算処理もすべて行い、会計ソフトの中に我々の処理の記録やメッセージを残します。
操作方法についてもあまり細かなサポートをしてもらえない、とおっしゃるお客様もいらっしゃいます。その点も私たちは先にお話しした通り、お客様が知りたいことを知りたいタイミングで相談に乗れることを第一にしています。
会計ソフトはお客様のものであり、私たちは事務所として、お客様が必要な情報をすべてfreeeの中に残すように意識しています。その結果、こうしてfreeeを起点にして、我々とお客様のコミュニケーションが生まれるので、「freeeはコミュニケーションツールだ」と申し上げているのです。
――最後に、事務所の今後についてお聞かせいただけますか?
武久:私はもうすぐ50歳になります。10年後、60歳を迎える時には、同じ考えを持つ税理士さんとタッグを組み、法人を作ることも視野に入れています。その際には規模も拡大し、お客様のフロントに立てるような若い人材も育てていきたいと思います。
勤務税理士時代に私は修行させていただいたことに感謝をしています。今度は自分が若い人の挑戦を後押しする役目を担えればいいな、と思っています。もちろん、その時も会計ソフトにはfreeeを使っていると思います。
――本日は貴重なお話をありがとうございました。
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URL
https://takehisa-office.com/
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