属人化から脱却し、事務所全体として提供サービスの価値を高めるために選んだ「会計のクラウド化」

近江清秀公認会計士税理士事務所 近江様

近江清秀公認会計士税理士事務所

所長 近江清秀 様

事務所規模:7名
所在地:兵庫県神戸市
課題:組織マネジメント、付加価値向上
近畿地方を中心に中小企業の発展を支援する近江清秀公認会計士税理士事務所は、freeeの導入を機に、所長が先陣を切る営業スタイルから脱却。事務所全体で提供できるサービスの価値を高めるべく、職員育成に力を注いだり、freeeの成約鉄板パターンを構築したりするといった改善を続けています。

freee導入前後の状況変化について、同事務所の近江所長に詳しく伺ってみましょう。

相続・事業承継を得意とする会計事務所

――最初に、近江様の自己紹介をお願いします。

近江: 公認会計士資格を取得して以降は、独立開業をすることを前提にキャリアを歩んできました。

最初は監査法人に入社し、ベンチャー企業の株式公開を支援。その後、ベンチャー起業に転職し、財務責任者として資金繰りや金融機関の交渉、事業計画作成などに携わってまいりました。

2001年に独立し、現在の事務所を開業。「税務・会計」「相続・事業承継」「監査・コンサルティング」の3事業を主軸に、中小企業の経営をサポートしています。

――事務所の得意領域を教えてください。

近江: 主軸3事業の中でも、特に「相続・事業承継」を得意としています。

設立以来、相続税申告で700件以上、相続相談2000件以上の実績を積み重ねております。豊富な実績を活かして、相続税の減税テクニックだけでなく、円満な遺産相続を実現するための提案にも自信を持っています。

ただ、開業当初は顧客もいなければ相続実績もない状況だったんですけどね。

――相続実績ゼロの状態から、どのようにして顧客を増やしたのでしょうか?

近江: 銀行から顧客を紹介していただくケースが多かったです。私はおしゃべりが得意で、相続実績がなくても堂々と「相続専門の税理士です」と言い切って、支店長との面談機会をつくっていました。

面談を通して私を信頼してくださる方や仲良くなる方が現れ、その方々が口コミで私のことを紹介してくださったおかげで、徐々に実績を増やせるようになりました。

所長自ら先陣を切る営業手法からの脱却が課題

――主な顧客獲得方法は、近江様の営業活動になるのでしょうか。

近江: 設立してしばらくは、私が先頭に立って営業活動をしていました。ありがたいことに私の実績などを評価してくださる顧問先も多かった。

ただ、この体制をずっと続けていては、顧問先の担当が私に集中してしまい、事務所としていずれ行き詰まることは目に見えています。

――属人化からの脱却が必要、ということですね。

近江: その通りです。属人化から脱却するためには、職員それぞれが発揮できる価値を高めて、 事務所として提供できるサービスの価値を総合的にアップさせることが必要だと考えるようになりました。

――どのような方法で、事務所の価値を高めていこうと思われたのでしょうか。

近江: 記帳業務以外のサービスで、顧問先に価値を提供する。具体的には、経営計画などのコンサルティング領域で提供できる価値を大きくしたいと考えました。

AIやテクノロジーによって記帳作業が早く終わるようになれば、記帳という業務に価値がなくなることは容易に想像できます。そう考えると、これまでスタンドアロン型の会計ソフトを使っていた当事務所でも「クラウド会計に特化した会計事務所経営を目指す」方針に転換すべきだとの結論に至りました。

――それまでの業務環境を踏まえると、かなり大胆な方針転換だったのではないでしょうか?

近江: コンサルティング領域の強化もしようと考えたとき、自計化の推進は必須でした。

自計化を推進するなら、作業の効率性やスピードの観点から見て、スタンドアロン型の会計ソフトより、クラウド会計ソフトの方が数段優れています。ですから、事務所の方針転換に迷いはありませんでした。

freeeを導入しても、使い方を変えなければ効果は生まれない

――導入するクラウド会計ソフトをfreeeに決めた理由を教えてください。

近江: 他のクラウド会計ソフトとも比較しましたが、経理の専門知識がなくても十分に活用できる点において、freee突出した仕様を備えていました。 「『ソフトが持つ本来の機能性』と『実際にお客様が使用できる機能性』」の誤差を最小限に抑えた会計ソフトではないでしょうか。

私自身、自計化を推進し、提供サービスの価値を総合的に高めるためには、ユーザー目線で作られたプロダクトを選定すべきだと考えています。ですから、クラウド会計ソフトはfreee一本に絞って導入することに決めました。

――所内へのfreee導入は、スムーズに進みましたか?

近江: 最初のうちは、私が思うようにはスムーズに使いこなせていませんでした。信じられないかもしれませんが、freeeを導入した当初、瞬間的に残業時間が増えてしまったんですよ。

――非常に珍しいケースですね……。どうして残業時間が増えてしまったのでしょうか?

近江: 職員が実際にfreeeを使って作業している様子を見たら、なぜかPC画面に定規を当てながら、手元の領収書と照らし合わせてチェックをしていたんです……。

「freeeは初期設定をしっかり行って、自動登録ルールなど覚えさせれば入力もチェック作業も削減されるもの」私はそう期待して導入しているのに、現場では真逆の状況が起きてびっくりしました。せっかく会計ソフトが変わっても、今までのやり方を踏襲するとむしろ作業時間は増えるだけなのだと、身をもって痛感しました。

――職員がfreeeを習熟して業務効率を上げられるようにするために、どんな取り組みをしましたか?

近江: 残業時間が増えてしまった原因を振り返ると、私がなぜfreeeを導入したのかを、職員に十分伝え切れていなかったのがいけなかったんですよね。

ですから、まずは、今後の時代変化を見据えて「今からfreeeを使うことが職員、ひいては会計事務所としての価値を高めることにつながるのだ」と職員全員に理解してもらうことから始めました。

具体的な操作については、職員個々の努力に任せるだけでは習熟レベルにばらつきが生じるので、一人ひとりにあった形の指導方法でfreeeの理解を深めてもらうようにしました。

職員教育を強化して、より価値あるサービスを提供する事務所づくりを目指す

――事務所の価値を高めるためには、クラウド化の推進に加えて、職員の価値向上も重要なテーマになるかと思います。

近江: そうですね。コンサルティング部分の価値を職員全員で強化する必要があると考えています。

――具体的に、どんな施策をしましたか?

近江: 一つは、freee専門チーム制の導入です。顧問先1社に対して職員2〜3人で構成したfreee専門のチームが担当する体制を構築したので、顧客からいただく質問に対する回答内容の精度やスピードが向上しました。先に申し上げた「属人化からの脱却」にもつながりましたね。

もう一つは、今いる職員の育成です。彼らがスキルを磨いて成長することが、中長期的には会計事務所の価値向上につながるものと考えています。

――人材育成の内容を、具体的に教えてください。

近江: 主な研修テーマは、資格認定の研修と事例共有です。事例共有では、売上アップの事例や公益法人立ち上げ時の注意点などのケースを学ぶこともあれば、顧問先とのコミュニケーションを学ぶ場合もあります。

個人的には、「先輩と同行して背中を見て覚えろ」なんて言う時代はもう過ぎたと思っています。今の世代の職員には、業務上必要な知識やスキルを体系化したうえで、個々のレベルに合わせて教育・育成するほうが早く成長しやすいのではないでしょうか。当事務所では今、動画コンテンツを活用して職員の教育に力を注いでいるところです。

freee導入の鉄板パターンを確立。さらに提供サービスの価値を高めたい

――freeeの導入によって、事業内容に影響したことはありましたか?

近江: 私どもが強みとする事業承継サービスとfreeeとは、相性が良いですよ。ターゲットを近い将来に社長の世代交代が起こりうる歴史ある会社に絞り、彼らに「事業承継の課題を解決するのにfreeeが便利である」と説明すると、freeeの中でも上位のプランを導入していただきやすいです。

もともと強みとする事業領域でさらに多くの顧客を獲得できる「鉄板パターン」ができたのは嬉しい効果ですね。
▼実際の料金メニュー
近江清秀公認会計士税理士事務所 実際の料金メニュー

――事業承継で顧客を獲得する「鉄板パターン」について、詳しく教えてください。

近江: 事業承継における主な課題は、社内業務の引き継ぎです。特に経理業務の引き継ぎは細部まで決まったルールを正確に引き継ぐことが難しいかと思います。

そこで、私どもが、freeeの自動登録ルールなどを活用して、今までの業務をある程度freeeに任せられる状態に作りこんでおくのです。freee導入の下準備を十分に施したうえで、次代の社長に引き継ぐ流れで、すでに数件の成約をいただきました。

――freeeが会計事務所の価値向上に貢献できて良かったです。最後に、今後の展望について教えてください。

近江: 「freeeはお客様を全力でサポートするために最適なツール」という考えは、導入を決めてから今までずっと変わりません。引き続きfreeeによる自計化を積極的に進めていきたいです。

私個人としては、まだまだ業界の先頭を切って走っていきたい。ただ、事務所や業界全体の成長を考えると、次の世代の人たちにも成長してもらいたいので、後進の育成にも取り組むべきだとも思っています。人材育成には明確なゴールがないと思うので、継続的に考え、改善し続けていきたいです。

近江清秀公認会計士税理士事務所

兵庫県神戸市
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2000年10月開業。
『全力で経営を頑張っている経営者を、全力でサポートする』という方針のもと、「相続・事業承継」「税務・会計」「監査・コンサルティング」の3事業を主軸に中小企業の経営をサポートする。

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