「正直、freeeの導入を諦めたかも…」A-SaaS統合を機に移行した会計事務所が語る、"チーム"で不安を乗り越え、新たな付加価値を生み出すまで

松尾繁樹公認会計士・税理士事務所

(左から)松本啓志様
代表 松尾 繁樹様
大内純江様
武藤悦子様

事務所規模:14名
所在地:神奈川県横浜市
課題:A-SaaSとfreeeの統合、組織マネジメント
~「この歳で、また新しいことを覚えるなんて…」 ベテラン職員の不安、どう乗り越える?~

2026年6月に迫るA-SaaSのサービス統合。多くの会計事務所様が、長年使い慣れたシステムからの移行に、大きな決断を迫られています。特に、事務所を長年支えてきたベテラン職員の方々にとっては、「今から新しいシステムを覚えられるだろうか…」という不安は、決して小さくないはずです。

そこで今回は、A-SaaS統合をきっかけにfreee会計への移行を決断し、当初抱えていた不安をチーム一丸となって乗り越え、顧問先への新たな価値提供へと繋げている、神奈川県横浜市の松尾繁樹公認会計士・税理士事務所様に、そのリアルな道のりをお伺いしました。

サーバー更新に「レクサス1台分」。クラウド化へ舵を切った必然

――まず、freee導入の背景や、A-SaaS統合の受け止めについてお聞かせいただけますか?

松尾さん(以下、松尾): A-SaaS統合の知らせには驚きもありましたが、「そう来たか」という納得感も非常に大きかったですね。A-SaaSは給与計算などが優れている一方で、外部システムとの連携や一般の方が使う上でのUI(操作画面)に課題感を持っていました。そこはfreeeさんが強い部分でしょうし、逆にお互いの強みを活かした統合になるのだろうなと。当時のA-SaaSの田中社長からも直接お話を伺う機会があり、その確信に満ちた様子を見て、将来的なサービス向上への期待感を持つことができました。

そもそも、私が事務所を継いだときに、ちょうど以前使っていた他社会計ソフトのサーバー入れ替えのタイミングだったんです。その時の見積もりが「レクサスが1台買えるかな」という金額で(笑)。「5年ごとにこれを続けるのは、もうそういう時代じゃないな」と感じたのが、本格的にクラウド化を意識した最初のきっかけでした。

――以前からfreeeのことはご存知でしたか?

松尾: はい。実はサービス開始直後くらいに一度試したのですが、当時は正直「使い物にならないな」と感じて(笑)、A-SaaSを使い続けていました。ただその後、私が役員を務めるスタートアップ企業がIPOを目指す過程で、勘定奉行からfreeeへ切り替えるという大きな経験をしたんです。

その導入支援に入ってくれたコンサルタントの方が、まるで“freee信者”のように「この統合型の概念こそがfreeeの圧倒的な良さなんです」と熱く語っていて。その設計思想を間近で見て、「これならうまく行かないはずがない」と、システムとしての成熟度を肌で感じていました。会計事務所として使うにはまだ心配な面もありましたが、この時の経験は非常に大きかったですね。

「また新しいことを…」期待と同時に抱えた、現場のリアルな不安

――freeeへの移行が決まったとき、職員の皆様は率直にどう感じられましたか?特に、会計事務所でのご経験が長い武藤さんはいかがでしたか?

武藤さん(以下、武藤): 正直、「またこの歳になって新しいことを覚えるのか…」という気持ちが一番でしたね。昔は確定申告も手書きで、お客様の控えと提出用で間違えないようにしたり、税務署の窓口を回ってハンコをもらったり、徹夜していた時代からやってきて…TKC、JDL、A-SaaSと、色々なシステムを覚えてきましたから。若い方とは違って、新しいことを覚えるのに「人の倍は時間がかかるし、すぐに忘れてしまう」。みんなに聞きながら、何とかついていくので精一杯でした。

大内さん(以下、大内): 私も「覚えられるのか」という不安が大きかったです。期待していたファイルボックスの便利さ以上に、これまで借方・貸方で入力されていたお客様に、freee独特の「取引を登録する」という概念を「どうお話ししたらいいのかな」という点に、具体的な不安を感じていました。

――そうした現場の不安は、松尾さんも感じていらっしゃいましたか?

松尾: もちろん感じていました。みんなが内心どう思っているか、どれだけ反発を感じているか(笑)。だからこそ、どうやってみんなの不安をケアし、freeeの良さを分かってもらおうかと。どうしても「ここが足りない」という後ろ向きな話が中心になると全体のムードが悪くなってしまうので、「こんな良いことがあったよ」「お客様からこんなに良い反応をもらえたよ」といったポジティブな情報を、できるだけ皆に共有することを意識しました。

「正直、諦めていたかも…」不安を解消した、”以前とは天地の差”のサポート体制

――様々な不安を抱える中、移行を進める上で支えになったものはありましたか?

松本さん(以下、松本): サポート体制の存在が本当に大きかったです。正直なところ、以前の予約制だったサポートと比較すると「天地の差」で、昔のままだったら「freeeの導入を諦めていたかもしれない」とさえ思います。それくらい、私たちは助けられています。

――具体的に、どのような点が助かりましたか?

武藤: やはり、すぐに繋がる電話サポートですね。最初の頃は本当によく電話していました。私たちのような事務所にとっては、これが何より心強いです。

大内: ええ、本当に。システムの機能もさることながら、スタッフの方々の「人としての対応力」が素晴らしいと感じています。電話口の皆さんが本当に優しくて、こちらの意図をすごくうまく汲み取ってくださるんです。こちらが混乱していて要点がまとまらない質問をしてしまっても、辛抱強く耳を傾けて本質を理解しようとしてくれる。そのおかげで、「こんなことを聞いても大丈夫だろうか」と萎縮することなく、安心して相談できます。

――技術的な対応はいかがでしたか?

武藤: その誠実な姿勢が、技術的な対応にも表れています。もちろん、ヘルプページも便利で、開いている画面に応じて関連情報が出るので自己解決もできます。ただ、それでも解決しない難解な質問をした際に、担当の方が「調べてから折り返します」とおっしゃることがあるんです。私たちはそれをネガティブには全く捉えていなくて、むしろ「正確な情報を提供しよう」という誠実な姿勢だと感じています。一つ一つの実直な対応が、「この人たちになら任せられる」という絶対的な信頼関係に繋がっていますね。

大内: どうしても電話ができない時間帯にはチャットサポートも使いますが、AIがすごい精度で回答してくれるので驚きました。

松尾: この電話サポートは、A-SaaSユーザーの声で実現したと聞いています。開発メンバーの方々も一生懸命対応してくれているのが伝わってきますし、それがちゃんと形になっている。本当に感謝しています。

業務の変化を実感!「入力」から「確認」へ、そして生まれる新たな時間

――freee導入後、具体的な業務プロセスはどのように変化しましたか?

松尾: 私自身が担当している自社の経理で言うと、「消し込み」が劇的に楽になりましたね。以前は3ヶ月に1回まとめて処理して、ズレの原因究明に時間がかかることもありましたが、今では毎月150本ほど発生する請求を細かい粒度で管理しても、隙間時間で日々きれいに消し込める。その結果、6月1日には、もう5月末の試算表が出来ている。この「速さ」が、経営判断の鮮度を全く違うものにしてくれます。

松本: お客様とのやり取りでは、確認のための電話やメールが明らかに減りました。以前は記帳が終わってから資料が郵送で届くのを待って確認、という流れで、お客様によっては年1回ということもありましたから。それが今では、取引に証憑が紐付いているのでリアルタイムで確認できる。体感ですが、確認作業のタイムラグが1〜2週間は短縮されています。お客様にとっても郵送代や手間が削減されるというメリットがありますね。

武藤: ファイルボックスにある領収書のデータと、銀行の取引明細を紐付ける作業が、まるでパズルみたいで。「これ、ハマった!」みたいになると、ちょっとした達成感があります(笑)。

移行成功の秘訣は「チーム制」。みんなで聞き、みんなで共有する文化

――所内で移行を進めるにあたって、情報共有など工夫されていることはありますか?

松本: 私たちの事務所では、数年前にスタッフからの提案で始まった「チーム制」を導入しているのですが、freeeへの移行を機に、お客様との関係性がより深まったと感じます。これまでは私が主に対応していましたが、移行を機に記帳担当のスタッフも一緒にご挨拶に伺うなど、お客様との接点を増やしました。「事務所全体で見てくれている」という安心感に繋がっていると思います。

武藤: 所内では、分からないことがあれば、誰かが「これ分からないんだけど」と声を上げると、自然と人が集まってきて教え合うんです。

松尾: そうそう。「誰かがfreeeに電話して聞いた内容は、その場でみんなで共有する」んです。誰か一人が分かれば、その知識がすぐに事務所全体に広がる。まさに「個人事業主の集まり」ではなく、チームで戦う文化ですね。誰かが壁にぶつかっても、みんなで乗り越えていく。このチーム制という土台があったからこそ、スムーズな移行が実現できたのだと思います。

顧問先を巻き込む「トップダウンアプローチ」と、未来への展望

――顧問先様へのご案内で工夫されている点はありますか?

松本: 私が意識しているのは「トップダウン」です。まず経営者の方と直接お話しして、「時間を生み出すための効率化です」「資料をまとめて郵送する手間がなくなります」といった、経営者にとってのメリットを具体的にお伝えし、協力体制を築きます。現場の方に抵抗感がある場合も、トップの理解があると「こういう方向でやっていこう」とスムーズに進みますね。

――最後に、今後の事務所の展望についてお聞かせください。

松尾: 今後、2つの方向で価値を高めていきたいです。一つは、これまで以上に「速さ」を追求し、お客様が数字を見てすぐに行動を変えられるような支援をすること。もう一つは、freee導入をきっかけに、お客様の「経理DX(経営のDX化)」、つまり「業務フロー構築」まで踏み込んだコンサルティングを行うことです。既にお客様の業務改善でコンサルティングフィーをいただく事例も出てきており、会計事務所の役割をさらに広げる武器として、freeeを最大限に活用していきたいと考えています。

――これから移行を検討する事務所様へ、メッセージをお願いします。

武藤: 私のように長年この仕事をしてきて「今さら…」と感じている方も、「まずは、やってみてほしい」とお伝えしたいです。正直、「前のやり方の方が早いじゃない」と思ってしまう瞬間もまだあります。でもそれは、自分がまだ全ての機能を使いこなせていないから。ちゃんと使っていけば、絶対にfreeeの方が早いと実感できるはずです。何より、昔とは比べ物にならないくらい手厚いサポートがあるので、決して一人ではありません。

松本: 変化には不安がつきものですが、私たちの事務所も「チーム」と「手厚いサポート」があったから乗り越えられました。ぜひ、一歩を踏み出してみてほしいですね。

――本日は、貴重なお話を誠にありがとうございました。

松尾繁樹公認会計士・税理士事務所

神奈川県横浜市
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