創業70年の税理士法人に聞く
freeeを導入する価値と未来の税理士に求められる役割

ジェイシス税理士法人

ジェイシス税理士法人

(中央)代表社員 片岡潤治 様
(左) 社員税理士 田中麻里 様
(右) freee株式会社 代表取締役CEO 佐々木大輔

事務所規模:11名
所在地:大阪府大阪市
課題:業務効率化、組織マネジメント
1950年の創業以来、気軽に悩みを相談できる存在として多様なお客様の経営を支援するジェイシス税理士法人様。現在は約9割のお客様にfreeeを導入し、2020年にはfreee5つ星認定アドバイザーになりました。

代表社員の片岡様は、「長年使い続けたデスクトップ型会計ソフトからfreeeへの乗り換えを促した結果、お客様の一部は離れてしまうリスクもある。それでもfreeeに変える価値があると確信していた」と、導入に踏み切った当時の心境を振り返ります。

同法人が考えるfreeeの価値と、freeeへの乗り換えを成功させる秘訣、さらに時代とともに変わる税理士の役割変化について、片岡様と社員税理士の田中様に伺いました。

freeeリリース時からクラウド会計メインの時代が到来すると予見

佐々木 大輔(以下佐々木): 片岡様は、freeeがリリースされた頃から「これからはクラウド会計の時代が来る」とおっしゃっていたそうですね。早くからクラウド会計に関心を持たれた理由は何だったのでしょうか。

片岡 潤治様(以下片岡): freeeを知る前から、複式簿記が頭にないと中小企業の経理が回らない状態を危惧していました。減少傾向の厳しい状況が続く中小企業では、コスト上の理由で複式簿記の知識を有する経理担当者の採用が難しくなるだろうと考えていたのです。

5年ほど前に読んだオックスフォード大学の論文の影響もありますね。AIの発展によって駆逐される職業の上位に税務申告代行者がランクインしていることを知り、この先も業界で生き残るためにはクラウド会計への転換が必要であると一層強く感じるようになりました。

田中 麻里様(以下田中): ただ、スタッフはクラウド化にさほど興味を持っていなかったです。当時の事務所では、40年ほど使い続けているデスクトップ型会計ソフトを基軸としたシステムが完全に浸透しており、かつ事業も安定していたので、労力を割いてまでクラウド化を進めようとは考えていませんでした。

スタッフ全員が一丸となって、段階的にfreeeへの理解を深める

佐々木: 数年前までのクラウド会計に対して片岡様とスタッフの間で温度差があった状況から、freeeの導入を決めるまでに、どのような経緯を辿っていったのでしょうか。

田中: 実際にクラウド化を進めようと決めたきっかけは、スタッフの独立が相次いで事務所の規模が縮小したことです。スタッフが私だけという状況で、これから事務所としてどう生きていくべきかを片岡と話し合い、クラウド化を進めていこうと決めました。数社のクラウド会計ソフトを比較した結果、ERPの思想を中小企業にも使えるように設計されているfreeeならば導入する意義があると感じて、freeeを選びました。

佐々木: これまで使ってきたソフトとfreeeでは設計思想が違うので、スタッフの皆さんがfreeeに慣れるまで苦労したのではないかと想像しています。

田中: 最初にfreeeを使ったときは、仕訳が裏で立つfreee独特の設計に正直面食らいましたよ。所内でfreee導入をスムーズに進めるためには、スタッフにストレスを感じさせないような導入プロセスを踏んでいく必要があると感じました。

ですから、まずはスタッフ全員で事務所の方針とfreeeを導入する意義を共有することから始めました。操作の不明点や課題が出てきたら皆で共有・解決していきながら、freeeに対する理解を深めていきました。おかげで今は、スタッフが皆一丸となってfreeeの導入を推進できる状態になっています。

経理部門の不安を取り除く秘訣は、業務が楽になる実感を見せること

片岡: クラウド化の推進を徹底するために、ほぼ全てのお客様にデスクトップ型会計ソフトからfreeeへの乗り換えをお願いしました。約40年にわたって使い続けたデスクトップ型会計ソフトの歴史に区切りをつけたのです。

佐々木: それは大きな決断ですね。

片岡: この決断は、半世紀近く付き合いのあったお客様との関係が切れてしまうリスクを伴います。それでも、会計のクラウド化は今後ますます進むはずだと確信していたので、思い切った決断を下すことができました。

佐々木: 既存のお客様にfreeeへの乗り換えをお願いしたときの反応はいかがでしたか?

田中: 安定運用できている業務プロセスを変えることへの反発の声の方が大きかったですね。経理部門がある会社ほど、乗り換えに対する拒否反応が強かったです。

片岡: 経理部門にとって、デスクトップ型会計ソフトからfreeeに置き換わるインパクトは、1970年代に起きた手書き帳簿からコンピュータ会計への転換以上の大きさです。

後者の場合は、経理部門の仕事を奪わない状況をつくったうえでコンピューター会計の導入を進めることができました。一方で、前者の場合は、複式簿記の知識の有無を問わずに使えるfreeeによって経理業務を自動化できるようになります。そのため、freeeの乗り換えに反発する経理部門の方は、freeeによって自分の職域が侵されかねないといった不安も感じたのだろうと思います。

佐々木: お二人がおっしゃる通り、freeeの導入効果を高めるためには既存の経理業務プロセスの改善は避けて通れません。経理部門の抵抗を和らげながらfreee乗り換えを進めるために工夫したことがあれば、ぜひ教えてください。

田中: これまで丸一日かけて約1000件の振替伝票を入力していたお客様の前で、freeeならば同じ処理をCSVファイルのインポートだけで完了することを実際に操作して経理部門の業務が楽になることを具体的に示してあげると、抵抗は和らぎやすいです。ある程度こちらが下準備をして、「freeeを使うと今まで煩わしいと思っていた業務がこんなに楽になるんだ」と実感すると、お客様の意識も変わり、freeeを積極的に使ってみたくなるようです。

価値ある経営情報を生み出すクリエイティブ能力の向上が、生き残りの鍵

田中: ここ10年ほどの税理士業界では、会計ソフト・申告ソフトを使いこなすのではなく、依存してしまっている状態が進んでいるのではないかと危惧しています。誰が入力しても一定レベルのアウトプットを作成できる会計ソフトの信頼性によって事務所の質を担保されてきた一面もあるように感じるのです。

私たちがお客様の目に見える形で提供できるアウトプットは、申告書や財務諸表しかありません。ですが、freeeさんがfreee申告の展開に注力されている状況を踏まえると、お客様自身で申告業務ができるようになる未来が来る日はそう遠くないかもしれないと思っています。佐々木社長がfreee申告の展開を通してどんな世界を実現しようとしているのか、ぜひ伺いたいです。

佐々木: freee会計とfreee申告の連携利用によって、申告業務のために追加入力する手間を最小限に留める状態を目指しています。所得税や法人税などもfreeeで一括管理できる状態をつくり、会計事務所の業務効率が圧倒的にアップする世界の実現に向けて、積極的に投資を進めているところです。

これからの時代、会計事務所に求められるアウトプットは申告書や財務諸表だけに限りません。お客様のリアルな情報が反映されている会計帳簿にアクセスできる立場として経営者とともに会社の未来を考えていける点は、会計事務所だけが持つ大きな強みです。freeeとしては、会計事務所の方々が経営者の相談相手としてさらに大きな価値を発揮していける世界を皆さんと一緒に作っていきたいと考えています。

片岡: 今の仕事をAIに取って代わられないようにするためには、我々が経営者に対していかに価値ある情報を提供できるかが鍵になりそうです。クリエイティブな能力が一層求められますね。

私が税理士になってからバブル期に至る頃のお客様の多くは、会計事務所に節税対策を求めていました。それが平成時代になると、お客様のニーズは節税対策から会社の生き残りをかけた経営相談に変化していきました。コロナ禍の収束目処が立たない現状を鑑みると、中小企業はますます大変な経営を強いられる時代に突入していくでしょう。

このような時代の流れとお客様のニーズ変化を受けて、freeeは今後ますます強くなるだろうと私は思っています。これからも攻めの姿勢を貫き続けて、freeeアドバイザーの仲間たちをさらに増やしていってほしいです。

ジェイシス税理士法人

大阪府大阪市

昭和25年に片岡会計事務所として創業したのち、2006年9月にジェイシス税理士法人として開業。
創業時からの社是「直心」を引き継ぎ、お客様の永続的発展を使命とする。

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