【私の開業物語 vol.1】26歳の決断 大手監査法人を辞め、「IT×会計」を武器に走る起業家の道へ

はてなベース株式会社

代表取締役 世戸口逸人 様

事務所規模:21名
所在地:東京都新宿区
課題:集客、組織マネジメント、開業・独立
東京・早稲田に"変わり者の集う秘密基地"があります。世戸口逸人さんが代表取締役を務める「はてなベース株式会社」です。公認会計士準会員の資格を持ち、「IT×会計」を得意とする世戸口さんは、一芸に秀でていながらも既存の環境ではなかなか自分らしさを発揮できなかった人材を積極的に登用し、設立から1年で24名規模の会社に成長させた手腕の持ち主です。「公認会計士準会員の肩書は捨て、1人の起業家として勝負したい」と語る世戸口さんの開業物語に迫ります。

監査法人を辞し、不退転の覚悟で開業

僕は愛知県にある中高一貫の男子校の出身です。進学校だったので、勉強を頑張ることが自己実現の唯一の道であるような環境のもと、多感な時期を過ごしました。

本命だった国立大学の合格は叶わず、1年の浪人を経て慶応義塾大学商学部へ進学。そして慶応義塾を卒業した後、PwCあらた有限責任監査法人に入所し、2年ほど金融業界の監査を経験しました。色々な意見や感じ方があると思いますが、僕にとって監査の仕事は充実感を得られるものではありませんでした。

一方で、1年目から担当させてもらったリクルーティング業務はとても楽しく、人を巻き込んだり対人折衝をしたりするのが自分は得意だな、と思うようになったのです。

PwCを辞した僕は、クロスポイント税理士法人およびそのパートナー企業であるリディッシュ株式会社というベンチャー企業に転職します。リディッシュでは、天職だと感じた人事の仕事を担当しました。監査法人勤務を経て、ベンチャー企業で人事を担当させてもらえた経験は、自分にとって大きなものだったと思います。

他方で、僕はずっとプログラミングの勉強も続けてきました。JavaScriptを使った債権管理における業務の効率化や、請求書の管理を自動化する機能を実装するなど、バックオフィスの業務改善に熱中した時期があります。その経験が後年、僕が設立するはてなベース株式会社の「IT×会計」という強みや、説得力を持ってエンジニアを巻き込んでいくきっかけになっています。


「勉強すること」が自己実現の尺度となっていた、ある意味では制約の多い進学校で過ごしたことの反動として、僕は「自由になりたい」「得意な領域で勝ちたい」という想いを持つようになりました。同時に、そのためには自由な時間が手に入り、自分の裁量で組織や事業をコントロールできる可能性がある経営者になるしかないと思い至りました。

僕はリディッシュを辞め、2023年2月に共同代表と2人ではてなベース株式会社を設立。共同代表と共に、公認会計士準会員として、非連続の成長を目指す自分たちの城を築いたのです。僕らが目指したのは、「IT×会計」を武器としてお客様のDX化を支援する会社です。

当時、僕は26歳でした。正直に言うと、社会人経験の少ない自分が会社を設立することに不安はありました。売上が止まり、費用が払えず赤字になり、キャッシュバーンすることが最大の懸念でした。ただ僕の中で抑えきれない好奇心が不安に勝ち、起業したい気持ちを後押しするかたちで最初の一歩を踏み出したのです。

高円寺の自宅アパートにて、60万円の資金でのスタート

はてなベースは、"無い無い尽くし"でのスタートでした。資金は、共同代表の所持していた50万円と、僕のなけなしの10万円のみ。オフィスを構える余裕はなく、東京・高円寺の自宅を仕事場所として登記しました。

また会計ソフトには当時、リディッシュで使っていたfreeeを選択したほか、イベントに参加したり紹介者を開拓したり、オフラインの営業活動に力を入れました。特にスタートアップ企業が集まるイベントには片っ端から参加しました。

お客様とのコミュニケーションには、メインで使っていたSlackのほか、チャットワーク、LINE WORKS、Microsoft Teams、メッセンジャーなど、ひと通りのツールを使ってきました。

そうやって歩き始めたはてなベースは、会計業界では一定の強みを持つ企業だったと思います。外的な強みとしては、サイボウズ社のキントーンを活用したアプリ開発ができ、開発したアプリをクラウド会計のfreeeと連携できる点が挙げられます。

つまり単なるSIer(システム開発会社)ではなく、バックオフィスの経理担当者の気持ちを理解しつつ、会計周りを効率化するための提案ができるのです。特にfreeeのAPIの仕様は僕やエンジニアが把握しているので、それを活用したバックオフィスの改善に向けた提案は、僕たちのストロングポイントと言えます。

こうした特徴を持つはてなベースは、新卒・既卒を問わず、就職活動中の方からも注目されており、様々な採用媒体を駆使し、毎月60名程度の応募をいただいています。その中から毎月2名前後を採用するかたちで、企業規模を拡大させています。この採用力の強さも弊社の特徴の1つです。


集客における「強力な紹介者」を自ら捕まえに行く

開業して浮き彫りになった課題もあります。具体的には「営業の再現性」です。僕たちはテレアポやメール営業をせず、これまで紹介者の開拓ばかりに注力してきました。紹介者からの案件がなくなれば会社は窮地に立たされます。その意味で、営業の再現性や売上の安定をいかにして担保するのか、という点は開業以来の課題と言えます。

開業してから集客に苦労する会計士や税理士は少なくないと思いますが、僕たちもやはり同じ悩みを持っていました。今はfreeeさんからの安定的な送客や紹介者からの流入にも助けられていますが、送客してくれる紹介者をいかにして確保するか、開業を志す方たちにとってこの点は必ずぶち当たる壁だと思います。

待っているだけでは、強力な紹介者には出会えません。自ら捕まえに行く必要があります。そのために僕は、freeeさん主催のイベントである「freee Advisor Day」などに積極的に参加します。ちょっと気分が乗らないな、と思うような集まりも顔を出すようにしてきました。そうすると、強力な紹介者と必ず出会えるのです。

自由になりたい一心での開業 生活がより豊かに

開業して良かったと思うことは、「自由になりたい」「組織に縛られずに活動したい」という願いが叶ったことです。また好きなことを仕事にしているのでストレスがまったくないことも、良かった点の1つです。弊社では、捻出した利益の一部はまず福利厚生として従業員に還元し、僕のサラリーを上げるのは最後にしているのですが、それでも生活は豊かになりました。開業して良かったと心の底から思います。

逆に開業して後悔しているのは、監査法人でもっと一生懸命働いておけば良かったということです。例えば監査法人時代に上長や組織のトップ層と仕事をする機会もあったのですが、その方々が対人折衝をどうやっていたのかなど、探求心を持って見ておけば良かったと思うのです。そういう1つ1つの努力や工夫は必ず将来、役に立つものだと思います。その点をおろそかにしたことは今でも悔やまれます。


公認会計士準会員の肩書を捨て、常に裸一貫の自分でいたい

僕は今、27歳ですが、大切にしている考えがあります。それは、会計士準会員という「肩書を捨てる」ことです。肩書を捨て、1人の起業家としての自分でいたいと思っています。

なぜか。会計士や税理士という肩書は、信頼性や安全性を担保するものと考える人は多いと思います。中には「起業に失敗したら監査法人に戻ればいいや」と言う人もいます。僕はその考え方には反対で、「失敗して戻るくらいならずっと監査法人にいるほうがいいのでは?」と思うのです。

加えて言うと、僕は監査法人からあえて飛び出し、ベンチャー企業を経て事業を作るビジネスサイドへ移った側の人間です。だから会計士であることをわざわざ口にしなくても、「はてなベースの世戸口さんね。最近がんばっている会社だよね」と言われる存在でありたいと思うのです。過去の成功は捨て、常に裸一貫でいたいという想いを大事にしています。

今後の目標については、いきなり富士山の頂上を目指すというよりも、今年は6合目まで行こう、来年は7合目まで行こうといったように、半年や1年先の目標を達成していきたいと考えています。

一方で、僕は「はてなベース」という場所がとても好きです。他の会社では上手くいかなかった"変人"がはてなベースに集まり、自己実現を果たしていく――。そんな秘密基地のような場所をより強固に、より大規模なものにしていきたいと思っています。


                               ◇
公認会計士準会員という肩書を捨て、26歳の若さではてなベースを設立した世戸口さん。無い無い尽くしのスタートからわずか1年で、24名のスタッフを抱える規模に育て上げた手腕で、さらなる組織の拡大を視野に入れています。

会計事務所やベンチャー企業がひしめき合う東京で、自ら磨き上げてきた「IT×会計」という武器を活かし、世戸口さんは今後も最前線を走り続けていきます。

はてなベース株式会社

東京都新宿区

freee認定アドバイザーページはこちら

あわせて読みたいその他の事例

課題:開業・独立

導入サービス:freee会計

税理士・会計事務所の皆様もfreeeがサポートします

貴事務所の課題を解決する
お役立ち資料はこちらから
ご不明な点はお気軽に
お問い合わせください
ページトップへ戻る