クラウド会計の導入から未経験者採用で事務所を拡大 研修プログラムを活用して1年で巡回監査担当に育てる

濱崎税理士事務所

代表 濱崎 恭明 様(中央)
ほか、職員の皆様


事務所規模:10名
所在地:兵庫県芦屋市
課題:業務効率化、組織マネジメント
兵庫県芦屋市という高級住宅街に所在する濱崎税理士事務所では、会計業界未経験のスタッフが数多く活躍しています。即戦力となる経験者の採用から、未経験者を採用して育てていく方針に切り替えた同事務所。その代表を務める濱崎恭明さんとスタッフの皆さんに、同事務所の人材採用および人材育成について話を聞きました。

経験者採用の失敗から始まった、ビジョンを実現するための「クラウド会計×未経験者」育成戦略

―― 貴事務所の成り立ちについて教えてください。

濱崎恭明さん(以下、濱崎):弊所は2017年8月に私が兵庫県芦屋市に開設した事務所で、現在は私を含め10名(正社員6名)のスタッフが働いています。お客様にとっての「身近な相談役になる」というビジョンを掲げ、日本全国にお客様を広げることを目標に邁進してきました。

―― 開業時にfreee会計を導入いただきましたが、当時はどんな課題がありましたか?

濱崎:①職場環境、②人材採用、③人材育成という3つの課題がありました。

①職場環境については、開業前の話に戻りますが、前職の会計事務所ではエッサムを使っていました。使い慣れたソフトではあるものの、それでは私が目指す全国にお客様を持つという未来の実現が難しいだろうと感じていました。

②人材採用については、いずれお客様の数が増えてくるにつれ、私1人ですべてのお客様にサービスを届けることが困難になることが予想されました。開業間もなく知名度が低い事務所が即戦力となる業界経験者をいかにして採用するか、という課題があったのです。

③人材育成については、「身近な相談役になる」というビジョンを掲げるうえで、お客様と対面する機会を大切にしたいと考えていました。ただ当時は私以外に巡回監査の業務をできるスタッフがいなかったので、まずはその育成が急務となっていました。


―― それぞれの課題をいかにして解決していったのでしょうか?

濱崎:まず①職場環境とについては、事務所を開業するタイミングでクラウド会計ソフトであるfreee会計を導入しました。実は前職の事務所でもfreee会計を使いたいという顧問先様から相談を受けたことがあり、freeeの担当者に話を聞いて興味深い設計思想だなと思っていたのです。しかし、イチ社員税理士の立場では導入までに至れず、自分の事務所を開業するならとfreee会計を選択しました。

これにより遠方のお客様へサービスの提供が可能になり、今では北は北海道から南は八丈島まで、全国のお客様にサービスを提供しています。普段はオンライン面談で十分にコミュニケーションがとれていますが、3か月に1回、少なくとも年に1回は実際にお客様の元へ足を運ぶことも大切にしています。

②人材採用と③人材育成については、早々に経験者採用の難しさを感じていました。と言うのも、開業当初に採用して入所してもらった業界経験者がいたのですが、その方はなまじっか経験があるだけに独自のやり方に固執してしまい、弊所では上手くいかずに退職。その一方で、本日も同席している、同時期に採用した未経験者の瀬之口はクラウド会計ソフトへの抵抗感が少なく、成長意欲も感じられ、着実に育っていっていることに気づきました。

このような経験と、freee会計の特徴である簿記の知識や業界経験が少なくても扱いやすいソフトの利点を活かして、未経験者を積極的に採用して育てていこう、という方針に切り替えたのです。

―― いくつかの方針転換があったのですね?

濱崎:はい。①職場環境と②人材採用としては業界未経験者を採用して長く働いてもらえる環境、とりわけ主婦層が働きやすい環境を構築してきました。

我々のホームタウンである芦屋市は、神戸市と大阪市の中間に位置し、仕事を求める人は神戸市か大阪市まで出ていきます。一方で、ハイキャリアを持つ人や偏差値の高い大学を出た人が結婚後、専業主婦として家庭に収まっているケースが少なくありません。

そういう人を対象として2019年11月に従業員を募集したところ、25名の応募があり、うち5名をパート従業員として採用。freeeの担当者の力も借りながらfreee会計の習熟を進めたところ、5名中3名が正社員に登用できるまでに成長したのです。このことから、素直さと向上心のある人なら、未経験でも早期にfreeeを習熟できる確信が持てました。

――採用方針の転換は育成方針にも関わってきますよね?

濱崎:③人材育成については、業界未経験者を採用して正社員を目指せるように、freeeの育成プログラムを積極的に活用するようにしました。また新人スタッフが戸惑うことを減らすため、スタッフが中心となってITツールなどに関するナレッジを所内に蓄積していったのも、かなり早い時期からです。


 

未経験社と経験者、それぞれの特性を活かした巡回監査までの道のり

――瀬之口さんが入所された経緯を教えてくださいますか?

瀬之口 洋平さん(以下、瀬之口):先ほど濱崎が申し上げた通り、私は創業間もない2018年2月に弊所にジョインしました。前職はイベント関係の会社に勤めていたのでまったくの畑違いですね。業界経験はないのですが、ちょうどその頃に会計の学校に通って簿記を勉強していたので、初めてfreee会計に触ったときは若干の戸惑いを感じました。

ただ私も含め、未経験者が入所する折に触れてfreeeが提供する資料や研修プログラム(freee導入支援サポートプログラム)を活用できたことがとても助かっています。未経験者ですからまずは入力作業とつい考えてしまいますが、実務につく前に研修プログラムで業務設計図(※)の考え方に触れておくことで、成長スピードが上がったと思います。

※業務設計図:freee会計を効果的に活用できるよう、既存会計ソフトから乗り換える際に初期設定すべき、資料回収方法を整理するための資料


――業務設計図のどんな点が特に良かったと思いますか?

瀬之口:ちょうど新入社員が2名入所したタイミングでもあったので、担当先の業務の引き継ぎや説明をする必要が生じていました。「資料の回収」⇒「実際の入力」⇒「確認」という弊所の一連の業務の流れを業務設計図に落とし込むことで、さらに自動化や効率化を進められる余地を見つけられた点が良かったと思います。


―― freee会計を活用することによる効果も感じていらっしゃいますか?

瀬之口:濱崎も常々申し上げていることなのですが、仕訳入力だけではお客様に付加価値を届けられません。freee会計を100%活用できれば月次の業務はほぼ自動化でき、人手を介さずに仕訳入力が完結できるようになるのも夢ではないと思います。弊所でも、ゆくゆくはそこまで極めたいと考えています。

freee会計を使いこなしているお客様との面談では、今後に向けた事業戦略などの議論にじっくり時間がとれます。AIの進化が著しい現在においても、freee会計を活用することで結果的に税理士にしか提供できない価値を届けられていると感じています。


――河野さんも業界未経験で貴事務所に入所されたと伺っています。初めて触ったfreee会計や、やはり初めて経験された巡回監査はいかがでしたか?

河野 由希さん(以下、河野):私も会計業界での勤務経験がなく、freee会計に触れたのはこの事務所に入ってからです。比較対象がなかったので「会計ソフトというのはこういうものだ」と先入観なく入っていけたのは逆に良かったのだろうと思います。

freee会計のわかりやすいUI(ユーザーインターフェース)のおかげで、ここを入力したら次はこのボタンを押して、といった具合に感覚的に理解できました。またfreee会計はヘルプページが充実していますし、それでもわからないことはチャットサポートに相談したりして解決を図っています。

巡回監査については、濱崎からの無茶振りで鍛えられた面があるかもしれません。どういうことかというと、私は最初、濱崎についてお客様を訪問し、面談の間は横に座っているだけでした。ところが、そのうちに濱崎が席を外したり、あるいは面談に現れなくなったり、任せきりにできない状況になりました。そこから、自分で資料を作ってお客様にご説明するようになったのです。


――武村さんは、freee会計や貴事務所での働き方などについてどう思われますか?

武村 陽子さん(以下、武村):私は前職でも会計事務所に勤めていたのですが、そこではオンプレミス型の会計ソフトを利用しており、入力作業の度にCD-ROMにデータを読み込んだり書き込んだりしている状況でした。

freee会計以外に2社のソフトを使った経験があるのですが、freee会計はそれらとはまったくの別物だと思いました。freee会計では銀行口座やクレジットカードを同期できるので、その分の仕訳を手入力しなくていいのはすごく効率的だと感じました。もちろんCD-ROMで物理的にデータの受け渡しをする必要もありません。その点も大きなメリットだと思います。

また弊所の代表の濱崎は発想が柔軟で、私のような主婦にも働きやすい環境を整えてくれています。正社員になったことでより大きな責任を持ちながら仕事ができることにやりがいを感じています。


――皆さんは、お客様に対してどのようにfreeeをご提案しているのか、具体例を教えていただけますでしょうか?

瀬之口:ここ数年のfreeeさんのOCR機能がとても便利なので、新規のお客様にはレシートの撮影からご提案させていただいています。インボイスの自動判定や、8%・10%の自動複数仕訳など、皆様その高性能ぶりに驚かれます。

河野:ご多忙で会計資料の準備に手が回らない社長に対しては、次のような点で利益となることを説明してfreeeの活用をお勧めしています。

・freee内で請求書を作ることで印刷や送付の手間が省ける
・同期することで通帳やクレジットカード明細の印刷や送付の手間が省ける
・請求書の作成から入金確認まで一元的に管理できる
・電帳法に対応している

このように主に資料提出に課題のあるお客様に対して提案し、契約に至ったケースがけっこうあります。次はお客様が使いこなせるようにサポートすることが私の課題となっています。


――武村さんはいかがですか?

武村:瀬之口や河野が申し上げたことに加えて、会計作業の基本を下表に示す6つのグループに分け、それぞれfreeeではこのように登録してください、とお客様にお願いしています。そのうえで「紙の証憑はこまめに撮影する」「仕訳の重複は避ける」といった点を特に意識していただいています。

研修プログラムを活用し、業務ステップと会計ソフトの習熟ステップをリンクさせた人材育成

――貴事務所ではパート従業員が正社員に登用される機会が多いそうですが、どのようなステップを経ているのでしょうか?

濱崎:業務内容に沿って説明すると次のようになります。パート従業員として入所したスタッフは、まず仕訳入力を担当します。その後、正確な帳簿を作成するスキルを得たら、自ら帳簿をレビューします。そのうえでお客様への訪問に同行するようになり、慣れてきてお客様とコミュニケーションが問題なくとれるようになったら1人で巡回監査を行います。


河野:私は業界経験を持たずに入所しましたが、入力を始めてから巡回監査に至るまでにおよそ1年程度だったと記憶しています。

武村:私は前職の経験があったこともあり、1か月程度でfreee会計で試算表を作成できるようになり、訪問にも行っていました。

――この間、freee会計の習熟も同時に進めるのですね?

濱崎:弊所では会計ソフトとしてfreee会計を使っていますので、これらの各フェーズにおいてfreeeを活用することが求められます。具体的には次のようになります。左が弊所における業務内容、右がfreeeの習熟度を示しています。


実は弊所の人材育成のプログラムや制度は最近やっと整え始めたような状況でして、freeeの資料や研修を活用することで人材育成のリソースをうまくやりくりできてきたのだろうと思います。パートから正社員へのステップアップは、巡回監査を1人で行えるかどうかを1つの判断材料にしています。もちろん本人の希望を大切にしていますが、こうして実績ができて見通しを立てることができたおかげで、採用も積極的に行える体制が整いました。

今では業界未経験のパート従業員から正社員に登用した人が5名になりました。また弊所の成長に比例するかたちでお客様の数も増加し、うれしい限りです。


――最後に、今後の目標を教えてください。

濱崎:目標は2つあります。1つは今後も未経験者を巡回監査ができる人材に育て、「身近な相談役」として会計業務や税務をお客様に提供することです。もちろんfreee会計をはじめ、テクノロジーを駆使したサービスを展開していきたいと思っています。

もう1つは全国にお客様をもっと増やしていくことです。freeeからの安定的な送客もあり、現在は200件ほどのお客様がいらっしゃいますが、さらに増やして日本中のお客様にとって私たちが「身近な相談役」になりたいと思っています。ちなみにfreee経由でのお客様が増えたのは、認定アドバイザーの星が5つになった2021年くらいからです。

――本日は貴重なお話をありがとうございました。

濱崎税理士事務所

兵庫県芦屋市
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